先月、亡くなられた高橋幸宏さんの音楽活動を駆け足でなぞったNHK番組視聴。
美術学校生だった頃、メジャーデビュー前のYMOのライブ(冨田勲さんとジョイント)を観たことを自慢にしている者ですが。
その5〜6年後だったろうか。たった一度だけ、幸宏さんにお会いして、ご挨拶したことがある。
音楽関係者4〜5人と入った代官山のおでん屋さんで。カウンター席だけの店内奥の端っこに幸宏さんがお連れさんといらした。自分以外は皆、幸宏さんと顔見知り。和やかに挨拶を交わし合う中、作詞の仕事を齧り始めたばかりの自分はアウェイ感いっぱい。幸宏さんとは逆の端っこ席で萎縮していた。すると幸宏さんのほうから声をかけてくださったのだ。
「そちらはどなた?」
自分以外の皆が口々に「作詞家の◯◯ちゃんです」とニックネームでラフに紹介してくれたが、まだ作詞家を名乗るほど仕事もしてない頃。緊張しながら名を名乗り「はじめまして。こんばんは」とご挨拶。ただそれだけの話ではあるけれど。
当時YMOの活動が一段落していた世界的なスターミュージシャンが、おでん屋でたまたま居合わせた音楽関係者の中に、ひとりだけ知らない顔を見つけて気にかけてくださるなんて、どんだけジェントルマンなんだろう!
「はい。こんばんは」
と返してくださった幸宏さんの優しく柔らかな口調、40年近くを経た今でも鮮明に憶えている。
享年70歳。早すぎます。
画像。iPadで番組をスクショしようとしたらNGだったので、配信表を撮りました。