埼玉のMさんが2番桟橋で釣っていた時、私は1番桟橋にいました。彼がトイレに行ったとき、風が吹いて、使っていたドライフライが水面に落ちたらしい。
それに食いついた鱒がいたんですね。竿ごと持っていかれて、それを見ていたルアーマンが騒いでいました。すぐ隣で釣っていたルアーマンがルアーで竿を回収しようとしますがなかなかうまくいきません。ただ、竿が浮いていて、沖に浮かんでいるのが見えていたことは確かです。
そのうちに、Mさんも帰ってきて、事の重大さを飲み込んだようです。彼はルアーでの回収が無理と判断するとすぐに管理棟に行き、フローターを借りてきました。そうです、私のところに来たわけです。フローターは1番桟橋の横から入る決まりなのです。1番桟橋に知り合いがいるというのは、地獄に仏みたいな感じでしょう。なんてラッキーなやつなんだ、と思いませんか?
彼は何度もすみませんと言いながら、フローターで竿のところまで行って、無事回収してきました。魚はついていたけれど、釣ったわけじゃないから、ティペットを切ってしまったと、私に伝えました。フライは何だと私が聞いたら、アントだったと言っていました。その優秀なアントを俺にくれといった記憶はありますが、まだもらってはいないと思います。
特筆すべきは竿が浮いていたということです。確かにテーピングは当然のことですが、竿自体は浮くでしょう。問題はリールです。ハーディのウルトラライトはそういう意味でもウルトラライトなんですね。素晴らしい。竿を持っていかれても問題なーい。
竿一式を失ったら、もう八千穂には来れないかもと、ぼそっと本音を吐いていましたね、Mさん。アント一つぐらい分けてやってもいいんじゃないですか?
あれ、バッテリーが上がったのを助けたのも私ですよね。それじゃあ、ワインを一本ぐらいワンコインでいんんで考えておいてくださいな。
知り合いがすぐ近くにいるのはあなたの人徳です。