がらんとした土曜の午後の教室に、私は友人とふたりでいた。
教室の奥の窓べでぼんやりしていると、手すりのほうへ小さな青い小鳥が二羽飛んできた。水色の羽毛に覆われた鳥の腹は真っ白だった。二羽はせわしなく羽ばたきながら我々のほうへとやってきた。
私は左手の指に彼等を止まらせて、そのさまを友人に写真に撮ってもらおうと思いつき、手すりのうえへ手を差し出すが、二羽はともに見向きもしない。彼等は開かれた窓から我々の頭上をさっと飛び抜けて、教室へとはいりこんだ。私はむきになって彼等を捕まえようと部屋のなかを右往左往するが、彼等の飛ぶのがあまりに速いので追い付けない。
しばらくして、疲れた私が部屋の真ん中でじっと立っていると、真っすぐこちらへ飛んできた一羽をどうにかうまく捕まえることができた。私の手の平に収まった青い小鳥は、柔らかくとても軽かった。そっと手をひらいてみると、小鳥は白目をむいてすこしも動かない。「殺してしまっただろうか」と心配になって、その小さな頭を覗きこむと、ふいにまた猛然と羽ばたいて私から飛び去った。
私はいまの短い観察から、「どうやら彼等は気を失いながら飛ぶことで、あれだけのスピードに耐えているらしい」と結論した。
青くて小さな美しい小鳥が二羽、ずっと窓辺で羽ばたいている。しきりに羽ばたきながら、囀りというには激しい鳴き声を交している。あんな小さな体のどこからあんなに大きな声が出るのだろうと教室の反対側の隅から眺める私は、二度と彼等を捕まえることができなかった。
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悲しい夢だったのかどうかは分かりません。
でも、小鳥は美しかったな。
教室の奥の窓べでぼんやりしていると、手すりのほうへ小さな青い小鳥が二羽飛んできた。水色の羽毛に覆われた鳥の腹は真っ白だった。二羽はせわしなく羽ばたきながら我々のほうへとやってきた。
私は左手の指に彼等を止まらせて、そのさまを友人に写真に撮ってもらおうと思いつき、手すりのうえへ手を差し出すが、二羽はともに見向きもしない。彼等は開かれた窓から我々の頭上をさっと飛び抜けて、教室へとはいりこんだ。私はむきになって彼等を捕まえようと部屋のなかを右往左往するが、彼等の飛ぶのがあまりに速いので追い付けない。
しばらくして、疲れた私が部屋の真ん中でじっと立っていると、真っすぐこちらへ飛んできた一羽をどうにかうまく捕まえることができた。私の手の平に収まった青い小鳥は、柔らかくとても軽かった。そっと手をひらいてみると、小鳥は白目をむいてすこしも動かない。「殺してしまっただろうか」と心配になって、その小さな頭を覗きこむと、ふいにまた猛然と羽ばたいて私から飛び去った。
私はいまの短い観察から、「どうやら彼等は気を失いながら飛ぶことで、あれだけのスピードに耐えているらしい」と結論した。
青くて小さな美しい小鳥が二羽、ずっと窓辺で羽ばたいている。しきりに羽ばたきながら、囀りというには激しい鳴き声を交している。あんな小さな体のどこからあんなに大きな声が出るのだろうと教室の反対側の隅から眺める私は、二度と彼等を捕まえることができなかった。
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悲しい夢だったのかどうかは分かりません。
でも、小鳥は美しかったな。