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『どいつもこいつも-花の自衛隊グラフィティ-』(全4巻)

2011年06月07日 | 読書日記ー漫画

雁須磨子  原案・取材:川崎利江子
(花とゆめCOMICS 白泉社)



《内容》
日本一のお気楽なWAC(婦人自衛官)朱野と、愉快な仲間達が巻き起こす、アーミーガールズ・スーパーコメディ。




やっぱり雁須磨子さんはコメディがいいと思うんですよね。私は去年の春くらいに雁須磨子さんを知り、それ以来いくつかの漫画を読んでみたわけですが、やっぱりコメディ要素を含んでいる作品が好きです。この人はとても繊細な世界を描き出しますが、それが明るい方向へ進むといいんですけど、暗い方向へいくと、私はなんだかこう立ち直れなくなるようなダメージを受けてしまいますね。しかし、それだけ表現の幅の広い優れた作家であるということでもあるのか。




さて、これは久しぶりに声を出して笑った漫画でした。私はこういうお話が大好きであります!

WAC(ワック)と呼ばれる婦人自衛官を主人公にした自衛隊コメディです。とにかく面白かった。登場人物が主人公の朱野(あけの)を筆頭に全員とても魅力的かつ印象的です。そして、もちろん自衛官を主人公として自衛隊の一部署を舞台としているだけあって、自衛隊についての知識のためのページも確保されていたりする。それも面白かった。自衛官。体力・規律・鍛錬。素晴らしいですね。

朱野も乙犬もまだ二十歳そこそこ。朱野と同室の江口は24歳くらい。みんな若いんです。この作品の舞台は2000年前後ですが、いまもこういう若い自衛官が鍛錬の日々を送っているのかと思うと胸が熱くなりますね。とくに今年は自衛官の方々は各地で大変な活動をなさってますし、本当にご苦労様です。


物語は、主人公の朱野が自衛隊内部で配られるミニコミ紙のアンケート取材を受けるところから始まります。「どうして自衛官になろうと思ったのか?」その質問に朱野はハッキリと答えられない。自分ではその理由を恥ずかしいと思っているのです。
そして、同期で上司でもある男子隊員の乙犬(おといぬ)にもそれを知られたくない。隊に情熱と愛情を強く抱いている乙犬に知られたら、きっとがっかりされるのではないかと、「どいつもこいつも詰まらない理由で来やがって、なんだ、お前もか」と失望されるのを怖れて。


自衛官であるとはどうあるべきか、という真剣なテーマが扱われることも多いのですが、日常的なおかしなエピソードもたくさんあり、それが猛烈に面白いのです。

たとえば、朱野と乙犬の上官である立花二曹(長身のハンサム、だがやや無愛想で不器用)と、その宿敵である綾瀬三曹(広報部。朱野を異常に可愛がっている超絶美人)とのやりとりには毎度爆笑させられます。誤解がもとで(?)普段から可愛がっている朱野をなぐってしまったことのある立花二曹を嫌い、嫌がらせを続ける綾瀬三曹。この人の陰湿な嫌がらせの数々が、いちいち面白いんです。

朱野と乙犬、そして江口らが海へ行く計画を立てるのですが、自動車がないので立花二曹にいつものように運転をお願いする。立花二曹は乗り気でないもののやはりいつものようになんとなく一緒に出かけることになるのですが、海へ着いてみると自分たちがそこにいることを知らないはずの綾瀬三曹とその恋人の岡二曹(立花の上司)がにこやかに立っていた。

この海水浴のエピソードは、最初から最後まで面白かったですねー! ガルシア=マルケスの「美しい水死人」のネタも出てきて驚いた。そして笑った。美女好きの私はもちろん綾瀬三曹が大好きです。すてきだわー。

それから、野球大会の話や、みんなで富士山へ初日の出を見に行く話もおかしかったなー! あはは、あはは!!



全部で4巻しかないのが惜しいです。もうちょっと続いても良かったんじゃないかなー。さらっと始まってさらっと終わっているところが良いとは思いますが、あまりにも面白かったので私はもっと読みたかった。それだけがこの作品の残念なところです。とっても面白かった!!








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