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『魔法少女まどか☆マギカ』

2011年06月20日 | 映像(アニメーション)



《あらすじ》
大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんな平和な日々を送る中学二年生、鹿目(かなめ)まどか。ある晩、まどかはとても不思議な夢を見る。

その日も訪れるはずだった、変わらぬ日常――。しかし、訪れたのは非日常――。まどかの通うクラスにやってきた、一人の転校生・暁美ほむら。まどかが夢で見た少女と瓜二つの容姿をした少女。偶然の一致に戸惑うまどかに、ほむらは意味深な言葉を投げかけるのだった・・・。






少し前に非常な話題となり、大人気を博した『魔法少女まどか☆マギカ』が、このあいだの土曜日にニコニコ動画の生放送で一挙放映されました。迂闊な私は直前までそのことを忘れていて、K氏が「もうすぐじゃない?」というので慌ててニコ動へ駆け込みましたが、時既に遅し…! 会場は満員でプレミアム会員でない私は無惨にも視聴することができなかったのです。

ところがそこへK氏が得意げな顔で「オレはタイムシフト予約をしておいたよ」と言うではないですか。情弱乙☆だのなんだのとバカにされながらも、私はK氏にお願いして無事に一緒にタイムシフトで『まどマギ』を観させてもらえたというわけです。助かった! ていうか、「生放送やるらしいよ☆」とK氏に教えてあげたのは、そもそものところ私だった! さすが私! 抜かりねえぜ! 寧ろ感謝してほしいぜ!




…という前置はどうでもよいのでして、『魔法少女まどか☆マギカ』です。

とても面白かった。素晴らしく良く出来たアニメですね! なるほど完成度の高さはたしかなものでした。キャラクター設定、舞台設定、ストーリー、演出、すべてが素晴らしかった。全12話を5時間以上かけてぶっ通しで観ましたが、少しの中だるみもなく進んで行く展開には、心の底から感心しましたよ! これは実に素晴らしい!!



以下、ネタバレを含んだ私の感想を書いてみたいと思いますので、未視聴の方はご注意くださいませ♪



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【魔法少女もの】というと、14歳くらいで思春期の女の子が魔法の力(&可愛い変身付き)を得て悪と戦ったりする、というのが定番ですよね。この『まどか☆マギカ』の優れたところは、その「定番」の設定に、ひとひねり、大きなひねりを加えたところでしょうかね。つまり、「魔法少女が魔法を使うということを、当たり前のこととしなかった」ことです。

登場する女の子たちは「魔法と奇跡を手に入れる」ことに憧れはしますが、「そのための代償」を怖れもします。キュウベエというウサギのぬいぐるみに似た姿の生命体が、まどかのような少女たちの前に現われては「どんな願いでも叶えて上げる。そのかわりに魔法少女となり魔女と戦うという契約」を持ちかけるのですが、「魔法少女」として「魔女」と戦い続ける日々は常に死と隣り合わせであるという事実に、彼女たちは尻込みするのです。

とにもかくにも、この「契約」と「代償」ということが全編を通してずっとテーマとなっていたようです。それが実に面白かった。少女たちは時に「他の選択の余地がなかったために仕方なく」、時に「安易に、それでもそれなりの信念を持って」キュウベエと契約を交わしてしまうのですが、主人公のまどかは迷い続けるのです。最後まで「魔法少女」になりたいのか、なるべきなのか、なってどうするのかを迷う。『魔法少女まどか☆マギカ』というアニメが、主人公のまどかが魔法少女にならないままで進んでいくのが最高に面白かったです。まあ、先の展開は読めないことはなかったですけれど、しかし、これぞ発想の勝利と言えましょう。



さて、物語は全部で12話。先ほども書きましたが、少しの弛みもありません。ずっと真直ぐに、ぶれずに、最終話まで緊迫したまま進みます。私はこういうのが好きだ。12話しかないのに番外的な回を入れることもあるテレビアニメのシリーズ展開を、これは退けてありました。いいぞ、それでいいんだ!!(あくまで私の好みの問題ですけどね;)


12話でぴったり充分に完成していたと思うけれども、もしも『まどか☆マギカ』がもっと分量のあるアニメシリーズであったら(たとえば30~50話程度の)、私は『少女革命ウテナ』にハマってしまって抜け出せないように、このアニメにもハマりにハマったかもしれません。もしもそれぞれの登場人物をより深く描写する余地がこのアニメの枠に与えられていたら、私はきっと深く深くはまりこんだことでしょう。そのくらいにキャラクターのそれぞれは誰もかもが魅力的でした。

あー、でも「さやかさん」はそうでもないかもー。どっちかというと私の苦手なタイプ。いくつかのアニメに登場する彼女のような、最初は剽軽でチャキチャキした女の子は、わりと高確率で途中から魂の暗黒を撒き散らすようになるんですよね。『とらドラ!』の「みのりん」も酷かったもんなー(いや、最終的にはすごくいい娘なんだけど!)。「さやかさん」ファンがいらしたらゴメンナサイ。でも、彼女の率直さと裏腹の焼けっパチな言動は、なかなかリアルでとても他人事とは思えなくて見ていて辛かったのでございます。そんなことで落ち込むな~! そんな男のどこがいいんだよ~~!(毎日お見舞いに来てくれてた女の子に何も告げずに退院するとか、上条、最低だぜ!) もっとこの先素敵な男の子といくらでも出会えるのに~~!!と言ってやりたくて仕方がなかった。可哀想な「さやかさん」。
でも「杏子さん」との関係性を考え合わせるならば、やはり「さやかさん」のキャラクター設定は完璧でしたね。

で、私は誰が好きかと申しますならば、もちろん「ほむらさん」一択ですね! クールで万能な黒髪ロングの美少女、でも実はドジなおさげの眼鏡ッ子だった過去もあり……なんて、狙い過ぎのキャラクターかもしれませんが、否!! 「ほむらさん」は実に魅力的なのであります。あー、素敵だ! 好きだ!!

ほむらさんは素敵であった。実は彼女が主人公であったのだと私は思う。というか、まどかと表裏一体をなす者としての、もうひとりの主人公だったのだと。不屈の魂。美しい人だ。実に美しい。

そして、キュウベエ。情報をいちいち後だしするのはやめろ! おめーの顔がドアップになるたびに、私はその赤い両目を指で突っついてやりたかったぜ!!
少女のみなさん、一見可愛らしい姿をした怪しい奴と、うっかり契約なんてしてはいけませんことよ!
…しかし、キュウベエは悪ではない。悪ではないけれども、こういう存在とどのように付き合うべきかは一考の価値がありますね。キュウベエのように可愛くすら見えないけれど、このような存在は、この、私たちのこの世界にもいくらでも見つけることができますから。



本当はもっと色々と書きたいことがあるような気もします。けれども、どうにもまだまとまりません。表面的なことにしか言及できなかった…とほほ。もう少しがんばるか。


『魔法少女まどか☆マギカ』の素晴らしい点については私なりにいくつか挙げてみましたが、この作品を素晴らしくしている一番の要素は、「さまざまな解釈の余地を与えてくれている」ということかもしれません。

多くを語りすぎない。そのためにかえって、私たちはその細部からさまざまな問題点をそれぞれが好きなように取り出して、考察し、解釈を試みることができるのです。面白さの正体はきっとこういうことでもあるのではないでしょうか。私たちはこの作品に触れて、色々なことを考えることができるんです。考えたくなるんです。それが素晴らしいと思う。



もうひとつ。途中で『ウテナ』の名を出したので、ついでに書きますが、『まどか☆マギカ』を面白いと思う人なら、『ウテナ』も面白いと思えるのではないだろうかと私は思いました。両者はビジュアルこそ違いますが、実に良く似た要素を持っています。14歳の少女の「力」を扱っている点といい、また主人公のまどかとほむら、ウテナとアンシーの関係性およびそれぞれの役割などに私は共通点を見ました。また、物語の展開の仕方、戦闘シーンにおける特殊演出、舞台の各所に見られる華麗な装飾、忘れがたい音楽、そういったことなどにも、私はウテナと同様の感激と興奮を覚えたというわけです。しかしまあ、よく考えると、こういうことは優れたアニメには共通することですよね。

要するに、『魔法少女まどか☆マギカ』は私の好みにドンピシャであったということですよ。うーむ、面白かったなあ!










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