The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

「刑事フォイル」 S7 感想等

2015-08-20 |  ∟刑事フォイル
”FOYLE'S WAR”: S7


何度も触れていたのですが、「刑事フォイル」再放送中で連日観なおしている中で
いきなりですがS7に触れてみようと思います。

現在も放映中の為 なるべく内容細部には触れない様にしますが、実際に観る前
には封印なさりたい方は申し訳ありませんが回避お願い致します。 


何故いきなりS7かと言うと 内容が何時にも増して心に染みる作品であったし、色々
な点で心に残る点が多かったので、記憶に新しいうちに書き残して置こうと考えました。

何れも2010年制作のエピソードです。
S7E1 「帰れぬ祖国」 ”The Russian House”
S7E2 「差別の構図」 ”The Killing Time”
S7E3 「反逆者の沈黙」 ”The Hide”

前回英国ミステリーリストアップ時は余り細かく触れていなかったので 改めて。

以前名前だけは聞き及んでいたものの 詳細は良く知らなかったので、今回遅まき
ながら今更ですが、企画・脚本を手掛けるアンソニー・ホロヴィッツについて少し
調べてみました。
ホロヴィッツはミステリー界注目の小説家、脚本家で、コナン・ドイル財団公認で
シャーロック・ホームズの続編「絹の家」を執筆し、又「バーナビー警部」、「名探偵
ポアロ」等の脚本も手掛けているようです。
(大変!「絹の家」読んでいません(汗) 何てことでしょう! パスティーシュは
色々読み漁っていたのに失格ですね・・・・ 早速手に入れます。)
そして2014年にはOBEを授与されているそうです。
ホロヴィッツ自身もイギリス在住の裕福なユダヤ人家庭の生まれだそうで、ナチス
のホロコーストやユダヤ人の問題にも特別な思いが有ったのではないかと感じます。
作品中も色々なシーンで触れられています。


これも今更ですが、主要登場人物ご紹介です :

Christopher Foyle (Michael Kitchen)
ヘイスティングス警察署の警視正(DCS=Detective Super Intendent)
温厚な性格ですが人一倍強い正義感を持ち、戦時中と特殊な状況下にも決して
犯罪を許さない信念の人です。
スコッチを愛し、時には釣り、ゴルフを楽しみます。
妻を亡くし、一人息子のアンドリューはオックスフォード在学中に空軍に召集され
パイロットとして従軍していました。

Paul Milner (Anthony Howell)
大戦で片足を失いという不運に見舞われ 失意の中フォイルに出会い生きる希望を
見出し、フォイルの片腕となって活躍する事に。
生真面目で頭が固い印象だが 緻密な捜査で事件に取り組みます。
心の余裕が出来ると共に次第に柔軟になってきた印象もあります。

Samantha Stewart = Sam (Honeysuckle Weeks)
フォイルの運転手。
若く積極的な女性で 事件に関しても臆せず自分の意見を述べ 時に捜査にも赴きます。
大昔の死語で言えば ”おきゃん”、 同じく死語 ”チャキチャキ”(いやー古いですねぇ)。 
サムの物怖じしないで健気に生きて居る姿はややもすると暗くなりがちなテーマの中での
救いになります。


S7に関しては、終戦となり色々な面でこれまでとは違う変化が描かれています。
市政の人々は喜びと共に崩壊した家、街並みの中 元の生活に戻る戸惑い不安も
感じています。
従軍していた兵士たちも帰国し始めますが、生きて帰国した罪悪感、トラウマ、
昔の生活に戻る不安を抱えて誰もが落ち着かない状況下、迎える家族達も戦争前、
戦時中とは違った状況で家族を迎える戸惑い。
ソ連に対する疑心暗鬼、変わらぬドイツに対する憎しみ、ユダヤ人や外国人に対する
(共に戦ったアメリカ人に対する複雑な感情も含め)人種偏見等々でそれぞれが色々
な思いを胸に秘め、それらの事が原因で事件が起こってきます。

登場人物それぞれにも変化が訪れます。
フォイルはいよいよ警察を辞職する意志を固めます。
その為サムは職を失う事となり、日々求職中。
政治家の秘書に応募したり、帰国兵士のケアーをするボランティア、その後ウェインライト
が経営する下宿屋の手伝いをするようになります。
ミルナーはフォイルが去った後、警察に残り部下を持つようになり捜査を続けます。



そんなシリーズ中、私が一番気になったのが E3の「反逆者の沈黙」で、この回には
アンドリュー・スコットが出演していました。


アンドリューが扮するジェームズ・デベローは貴族の家に生まれ高学歴を持ちなが
らナチスのシンパである自由軍に入って居た罪で投獄され裁判を待つ身でありました。
彼は自分の身の潔白を示す反論、弁明は何もしないし、全く口を閉ざして ただひたすら
死刑となる筈の判決を待って居ます。
彼の行動を不審に思ったフォイルは辞職した身でありながら調査を開始するのですが、
何故彼に関心をもったのか?
警察官の身分を離れた為困難に会いながらも 同時に起こったジェームズの父の秘書
殺害事件を受けてのミルナーの登場、協力を得て調査を続け次第にジェームズ・デベローの
過去が明らかになるのです。
そして最後にフォイルの意図が明らかになるのですね。
その間サムは戦時中荒廃した建物を復興すると言う意図で土地開発を進める業者と対立して
下宿屋と周囲の環境を守る運動を始めます。

アンドリューは以前から良い役者さんだとは思っていたのですが、今回のデベロー
は本当に感動しました。 上手い役者さんです。
動きの少ない、押さえたセリフまわしと表情のみでデベローの心の痛み、苦しみ、心の奥底に
仕舞い込んだ悪夢、葛藤、諦観等虚ろな眼差し、繊細な演技で胸を打たれる演技でした。

因みにデベローの判決時法廷のシーンは 被告席に立つ姿、傍聴人席を見上げる
姿等はシャーロックのあのシーンとそっくりで 又別の意味で感激したりして・・・・
それと、以前書いたMI-9 の存在がこのエピソードで言及されていました。

余談ですが、デベローを助けようとする隻眼の弁護士役はシャーロックのThe Sign of
Threeで近衛兵の上司である大佐(ジョンが名刺を投げ返された)の方でした
(お名前は調べていません、スミマセン)。

共演者に触れますと、サムが手伝いをしている下宿屋の経営者であるウェインライトを
演じているのはマックス・ブラウン。 後のMI-5でデミトリーを演じていました。


この作品は細部に迄拘り 配役に関しても些末な役にも経験豊かな有名俳優を
起用しているし、内容の深さも相まって本当にクオリティの高いドラマだと感じます。
何と言ってもマイケル・キッチン素敵ですもの。 髪の毛チョット残念だけど全く気に
なりませんし・・・良い役者さんは髪の毛関係ないですね(独断と偏見)。
ショーン・コネリー然り!
だからジュード・ロー頑張って欲しい!って、どさくさ紛れに何言ってるんでしょう。


最後についでながら、S1の再放送を観ていたらデヴィッド・テナントが出ていました。
ドクターの前ですね。





「ルイス」と共に今一番気になるドラマなので 取り留めも無く長々となってしまいま
した。