一日一トライ~”その記憶の記録”

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Ⓘ-11.映画「道」から学ぶ(2/2)~生き方;映画の主題は?★

2022-12-10 07:00:00 | Ⓘ-ものの見方・考え方
 10歳の頃の典子は、この映画のよさがわからなかったが、20になって見たとき、30になったときでは、この映画の見方も違ったものになってきます。私も、この映画の見方が変わってきました。今は、この映画の主題は、ザンパノとジェルソミナの愛をテーマにしているーと。

  迷い道、回り道、されど我が道か!? これも彼の歩んだ道。歳を重ね、彼女のことをいつも気にかけ・思い、死んだ!とわかって気付いたのです。泣いても、叫んでも、悔やんでも、時は戻らず。彼女は、サンパノにとって、無くてはならない大きな存在になっていたのです。自分は何の役にもたっていないと思っていた彼女は、ザンパノの大きな支えとなり愛されていたのです。         


この映画のもう一つのテーマは、
人間としての存在価値・意義についてです。ザンパノが警察に拘留された夜、綱渡り芸人イル・マットとジェルソミナが話し合うシーンを回想します。
 

 イル・マットは、自信を失っている彼女に、世の中のものは、石ころでも何かの役にたっている。空の星だって、お前だって、役に立っている。この小石にも価値がある。もし、この小石に価値がないとしたらこの世界には価値あるものなど一つもない-と。彼が足下の小石を拾い彼女に渡し、彼女がその石を見つめた瞬間、心に落ちるもの(=悟り)がありました。

  彼女が小石をじっと見、「そうだ自分も、世の、いやザンパノの役に立っている!」と、薄明りのなかで目に涙いっぱいで表現します。このことは、ザンパノは知る由もありません。

パッピーエンドで終わらない映画だからこそ、アレコレ余韻が残ります。ジェルソミナの不幸な運命には同情しますが、ザンパノの歩んだ道も不運でした。これも、ある二人の「ある愛の物語」! で、何か、深く・重く語りかけてくれるような映画でもありました。


ジェルソミナ役の”マシーナ”のこと

 ジェルソミナ役を演じた”ジュリエッタ・マシーナ”が何歳で出演していたのか、と興味を持ちました。顔の表情やしぐさなどから十代の少女のようだし、体型や動き、演技のうまさから成人女性でもあるようだしー、と思い調べてみました。     
                 ナント、33歳!
 1921年生れの彼女がこの「道」に出演し、映画が封切られたのが1954年ですから、32~33歳。大学教授の娘として文学を学んでいましたが途中演劇に転向。ローマ大学で学び、1943年(22歳)、ラジオに出演していた時、そのラジオドラマの脚本を書いたフェリーニと出会い、同年結婚。映画初出演は、他監督の作品であるが、「戦火のかなた」(1946年公開。25歳)。                   

 その後、フェリーニ作品だけでなく幅広く活躍しましたが、やはりマシーナの魅力はフェリーニ作品との評価です。「カビリアの夜」で娼婦を演じ国際映画祭で女優賞を受賞。1970年代以降、女優活動から遠ざかっていましたが、1980年代に再登場とのこと。フェリーニとは1993年に病死するまで連れ添い、マシーナが肺がんで他界。フェリーニの死から5ヶ月後(73歳)。



 マシーナの素晴らしさは、知能の少し劣る少女という役柄の悲しそうな表情や嬉しそうな表情、絶望の表情など感情の起伏を、語らずして見るものにわかせるような演技力です。実に国や人種が違い、言語が違えども、気持ちや感情表現は変わらなく伝わるものも変わらないものと強く感じました。

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