一日一トライ~”その記憶の記録”

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Ⓘ‐15.映画;「アローン」を考える(2/2)~学んだこと

2022-12-24 07:00:00 | Ⓘ-ものの見方・考え方

 この映画は、”戦争”という生死のはざまの非日常的な条件設定ではありますが、ここから気づき、学んだことを記録しておきたいと思います。

❶ タイムリーに決断、実行することの大切さ

 人生の中で、あのとき、あの場で決断し実行できなかったことを反省させられることがある。マイクの場合、テロリストのリーダーを暗殺できる可能性が高かったのに、ターゲットでない新郎新婦(=ターゲットの息子たち)にあたるかも知れないと躊躇し、引き金を引くチャンスを逸してしまう。スポッターのトミーからも催促されるが、射撃までの時間がかかっている間にスコープ(光学照準器)が太陽の光に反射されたため敵に発見され執拗に攻撃を受ける。命からがら逃げて地雷原までやって来て、トミーを失い自分も地雷を踏むことに。もし、暗殺に成功していても敵から攻撃を受けることになったかも知れないが、瞬時の決断で実行していたら居場所が特定されなくこのような窮地に陥らなかったかも知れない。

❷ 死期が近づいたときに脳裡をめぐるもの
 この映画では、マイクが地雷を踏み、52時間(≒4日間)援軍を待つ間の様子にスポットが当たっている。それも、アローン=「たった一人」でー。
 襲いかかってくる狼を排除したものの、だんだん水も食料も尽き、意識ももうろうとし心身とも疲労困憊してくる。この極限状態=死期が近づいたとき、脳裡をめぐるものは何かをよく描写し、どう行動するか・しないかを視聴者に問いかけている。人間共通なことは、人生の中で、大きな精神的なショックや恐怖が原因で起きたこと(=トラウマ)をはじめ、不幸な出来事や嫌な思い出、失敗、恨みなどが脳裡をめぐるものであること。楽しかったこと・うれしかったことより、マイナス思考に陥ってしまう。マイクの場合は、父親から虐待された過去の記憶や、恋人のジェニーに暴力を振るってしまったこと、更には、自分の幻影をも見る。果たして、自分が死に直面する場合、どんなことが頭をめぐるかと想像させられる。


❸ 思い込みと一歩前へ踏み出す勇気
 地雷を踏んで一歩も動けなくなり、極限状態になったとき、偶然近くを通りかかって水をくれたベルベル人の男から、マイクに勇気を持って一歩を踏み出すよう諭される。「足を離しても地雷が爆発しない確率は7%」とのことだが、その時点ではマイクは決断できなかった。
 遂に援軍が来たのが遠方に見える。そのとき、援軍に知らせる発煙筒は手の届かない向こうに転がっている。今援軍に発見されなくちゃ自分は死ぬ!と悟り、地雷から足をはなす。しかし、その”地雷”は爆発しなかった。なぜなら、それはベルベル人の娘のおもちゃの入ったブリキ缶であったから。マイクは自分が踏んだものは、地雷と思い込み信じ切っていた。状況判断で決断することは難しいことだが、困難に遭遇した時の一歩前へ踏み出す勇気が大切であることを示唆してくれている。

❹ 戦争の悲惨、虚しさ、恐怖
 ウクライナでは、ロシア侵攻が始まってから丁度10か月が経過した。氷点下の寒い戦場で命をかけて戦っている兵士をはじめ、生活インフラが破壊され大変な生活を強いられている人たちの現実がある。ここには双方の軍に、当然マイクのようなスナイパーも配置されている。
 いうなれば、この映画は「反戦」を訴えた作品でもある。戦争や紛争には、立ち位置によってそれなりの大儀や正義があろうが、戦争の悲惨さ、虚しさ、恐怖などを改めて感じさせられた。縁があってこの世に生まれてきた命、先達の力で築き上げてきた文化やインフラをはじめ家々などである。殺し合いや破壊は決して許されることではないと。全く生産性のない、ムダなことを繰り替えす人間の愚かさー。この映画を通して、ウクライナをはじめ今もどこかで起きている戦争・紛争に想いが重なった。


 最後に、劇中なれど、心に痛手を負い、時代の流れやいろいろな事情や状況の中でこのような体験をしたマイクが恋人ジェニーとめでたく結婚し、その後幸せな家庭を築いてほしいとエールを送りたい。 

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