元日の地震の影響か?福島市でセシウム降下量が急増したワケより転載
2012年01月17日12時40分
提供:週プレNEWS
放射能汚染に悩む福島県で、ある“異変”が観測されたのは1月2、3の両日のこと。
「福島市に降り注ぐセシウム134とセシウム137の量が劇的に増えたんです。その量は1平方km当たり、2日が432メガベクレル、3日が126.1メガベクレル。合計すると、昨年11月の1ヵ月分のセシウム降下量の1.5倍です。1月9日には28.6まで下がりましたが、依然として注意が必要です」(地元紙記者)
確かに、昨年7月19日の1340メガベクレルをピークに、福島市のセシウム降下量は減っている。例えば、クリスマスの12月25日の量は4メガベクレル。そのため、全国の各都道府県のセシウム降下量の観測結果を公表していた文部科学省は12月26日分のデータ発表を最後に、それまでの毎日更新をやめ、月に1度の更新に切り替えたほどだった。ところが、それから1週間もたたないうちに、まさかの高数値復活。文科省は福島県に限って毎日更新の再開を余儀なくされたのだ。
落ち着いていたはずのセシウム降下量がなぜ急に増えたのか? 気にかかるのは元日の地震だ。鳥島近海を震源とするマグニチュード7クラスの大型地震で、福島第一原発周辺でも震度4を記録した。セシウム降下量はこの元日の地震直後に増えている。怪しい。琉球大学の古川雅英教授(放射線環境地学)も心配する。
「元日の地震は深さ370kmの深発地震で、大きな横揺れが特徴でした。この揺れで原発施設がダメージを受けたのでは。特に心配なのは放射性セシウムなどを大量に含んだ水で満たされた4号機の使用済み燃料プールです。実際に、プール脇に隣接するタンクでは急激に水位が低下しています。地震で水漏れなど、危険な状態になった恐れは否定できません」
ところが、こうした心配の声に東京電力の公報担当者は記者会見でこう答えた。
「原発施設にトラブルはありません。2日、3日のセシウム降下量の激増? 風などで舞い上がって、一時的に降下量の変動が生じただけなのでは」
この観測を発表してきた文科省の原子力災害対策支援本部の担当者も、取材に対しこう語る。
「地面に落ちていた放射性物質が風などに巻き上げられ、それが測定されたのではないでしょうか。2日、3日のデータを測定した福島県の職員に聞くと、測定器の中に土の塊のようなものが混入していたそうですから」
両者とも、元日の地震による福島原発施設のトラブル→セシウム飛散→周辺地へのセシウム降下量激増の可能性をあっさり否定するのだ。これに前出の古川教授が憤(いきどお)る。
「1月2、3日の降下量の激増が、一度落下したセシウムが風で舞い上がり、測定器に入ったことによるものなら、セシウムは土壌や砂、枯れ葉などの細粉に付着している状態のはずで、分析すればすぐにわかる。なのに、なんの調査もせずに、風による舞い上がり説であっさり片づけてしまう東電や文科省の発言は、その場しのぎの無責任発言としか思えません」
国民は政府や東電の発表を信じることができないでいる。これでは除染など、福島の復興はおぼつかない。信頼を回復するためにも、こうした“異変”が観測されたときには徹底した事実究明、説明に力を尽くすべきなのに、それがまだわかっていない。いったい、何枚レッドカードを突きつければ、“原子力ムラ”の無責任体質は改まるのだろう。
2012年01月17日12時40分
提供:週プレNEWS
放射能汚染に悩む福島県で、ある“異変”が観測されたのは1月2、3の両日のこと。
「福島市に降り注ぐセシウム134とセシウム137の量が劇的に増えたんです。その量は1平方km当たり、2日が432メガベクレル、3日が126.1メガベクレル。合計すると、昨年11月の1ヵ月分のセシウム降下量の1.5倍です。1月9日には28.6まで下がりましたが、依然として注意が必要です」(地元紙記者)
確かに、昨年7月19日の1340メガベクレルをピークに、福島市のセシウム降下量は減っている。例えば、クリスマスの12月25日の量は4メガベクレル。そのため、全国の各都道府県のセシウム降下量の観測結果を公表していた文部科学省は12月26日分のデータ発表を最後に、それまでの毎日更新をやめ、月に1度の更新に切り替えたほどだった。ところが、それから1週間もたたないうちに、まさかの高数値復活。文科省は福島県に限って毎日更新の再開を余儀なくされたのだ。
落ち着いていたはずのセシウム降下量がなぜ急に増えたのか? 気にかかるのは元日の地震だ。鳥島近海を震源とするマグニチュード7クラスの大型地震で、福島第一原発周辺でも震度4を記録した。セシウム降下量はこの元日の地震直後に増えている。怪しい。琉球大学の古川雅英教授(放射線環境地学)も心配する。
「元日の地震は深さ370kmの深発地震で、大きな横揺れが特徴でした。この揺れで原発施設がダメージを受けたのでは。特に心配なのは放射性セシウムなどを大量に含んだ水で満たされた4号機の使用済み燃料プールです。実際に、プール脇に隣接するタンクでは急激に水位が低下しています。地震で水漏れなど、危険な状態になった恐れは否定できません」
ところが、こうした心配の声に東京電力の公報担当者は記者会見でこう答えた。
「原発施設にトラブルはありません。2日、3日のセシウム降下量の激増? 風などで舞い上がって、一時的に降下量の変動が生じただけなのでは」
この観測を発表してきた文科省の原子力災害対策支援本部の担当者も、取材に対しこう語る。
「地面に落ちていた放射性物質が風などに巻き上げられ、それが測定されたのではないでしょうか。2日、3日のデータを測定した福島県の職員に聞くと、測定器の中に土の塊のようなものが混入していたそうですから」
両者とも、元日の地震による福島原発施設のトラブル→セシウム飛散→周辺地へのセシウム降下量激増の可能性をあっさり否定するのだ。これに前出の古川教授が憤(いきどお)る。
「1月2、3日の降下量の激増が、一度落下したセシウムが風で舞い上がり、測定器に入ったことによるものなら、セシウムは土壌や砂、枯れ葉などの細粉に付着している状態のはずで、分析すればすぐにわかる。なのに、なんの調査もせずに、風による舞い上がり説であっさり片づけてしまう東電や文科省の発言は、その場しのぎの無責任発言としか思えません」
国民は政府や東電の発表を信じることができないでいる。これでは除染など、福島の復興はおぼつかない。信頼を回復するためにも、こうした“異変”が観測されたときには徹底した事実究明、説明に力を尽くすべきなのに、それがまだわかっていない。いったい、何枚レッドカードを突きつければ、“原子力ムラ”の無責任体質は改まるのだろう。