大川原有重 春夏秋冬

人は泣きながら生まれ幸せになる為に人間関係の修行をする。様々な思い出、経験、感動をスーツケースに入れ旅立つんだね

線量計に鉛カバー強要 作業員の被ばく隠しか

2012-07-23 12:30:00 | 原子力関係
線量計に鉛カバー強要 作業員の被ばく隠しかより転載

2012年7月21日 13時59分



 東京電力福島第一原発事故の収束作業をめぐり、作業を請け負った福島県内の建設会社の役員が昨年十二月、作業員が個別に装着する警報付き線量計(APD)を鉛板のカバーで覆うよう強要していたことが二十一日、関係者への取材で分かった。これまでにカバーの使用を認めた作業員はいない。
 累積被ばく線量が高くなった役員が、遮蔽(しゃへい)効果が高いとされる鉛でAPDを覆い、被ばく線量を偽装しようとしたとみられる。厚生労働省は労働安全衛生法違反の疑いもあるとみて調査を開始、福島労働局などが同日、第一原発内の関係先を立ち入り検査した。
 関係者によると、装着を強要していたのは、東電グループの東京エネシス(東京)の下請け企業「ビルドアップ」(福島県)の五十代の役員。昨年十二月一日、作業員宿舎で約十人の作業員に鉛板で作ったカバーを示し、翌日の作業で装着するAPDをカバーで覆うよう求めた。
 役員だけが装着した場合、一人だけ極端に被ばく線量が低くなって偽装が発覚するのを恐れたとみられる。
 ビルドアップが請け負っていたのは、汚染水を処理する設備の配管が凍結しないようホースに保温材を取り付ける作業。作業現場付近の空間線量は毎時〇・三~一・二ミリシーベルトだった。工期は昨年十一月下旬から今年三月。
 東京エネシス広報室によると、ビルドアップからは「(役員は)カバーを作ったが、作業員は使っていない」と連絡があったという。東京エネシスは「事実だとすれば非常に問題だ」としており、役員が単独で作製したかなどを調べている。
<原発作業員の被ばく線量> 原発で働く作業員の被ばく線量限度は、通常作業時が「5年間で100ミリシーベルトかつ年間で50ミリシーベルト」。事故などの緊急時は「年間100ミリシーベルト」としている。東京電力福島第一原発事故では、作業時間を確保するため特例として100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げたが、収束作業の進展に伴い、昨年12月から原則として通常時の基準に引き下げられた。一般人の年間被ばく線量限度は1ミリシーベルト。
(東京新聞)


「低線量被ばく明らかに」 福島県立医大の新センター

2012-07-23 12:00:00 | 原子力関係
「低線量被ばく明らかに」 福島県立医大の新センターより転載

2012年7月22日 20時12分

 福島県立医大(福島市)は22日、東京電力福島第1原発事故による県民健康管理調査や、放射線研究に取り組む新センターの基本構想の素案を取りまとめた。菊地臣一学長は「低線量被ばくのデータを明らかにして、人類の財産にしたい」と意欲を示した。
 県立医大で同日に開かれた有識者の検討委員会で素案が承認された。新センターは健康調査の他に、被ばく線量モニターの開発など最先端医療機器の整備、早期診断による早期治療、産業界と協力して新薬の開発、放射線被ばくを含む災害医療に関する人材育成の計五つの役割を持つ。予算や規模は未定としている。
(共同)

原発がれき撤去の現場では、給油タンクが宙を舞う

2012-07-23 12:00:00 | 原子力関係
原発がれき撤去の現場では、給油タンクが宙を舞うより一部転載
2012/06/25
木村 駿 [日経コンストラクション]
 2011年9月中旬、圧砕用アタッチメントを取り付けた100tクラスの大型解体重機と600tクローラークレーンが、東京電力福島第一原子力発電所の構内を静かに進んでいた。向かう先は、水素爆発で上部が崩落した3号機原子炉建屋だ。

 東京電力が1号機から4号機の廃炉に向けて11年12月に示した中長期ロードマップでは、12年度に3号機原子炉建屋のがれき撤去を完了。13年度に使用済み燃料プールから燃料を取り出すためのカバーを設置し、14年末に取り出しを始める目標を掲げている。

 3号機原子炉建屋へのカバー設置を担う鹿島は11年9月10日、重機の遠隔操作によって危険な地域でも作業を行える「無人化施工」を駆使して工事を開始。前述の大型重機を含めて合計10台を500m離れた遠隔操作室から同時に操り、障害物となるがれきの撤去や原子炉建屋の付属建物の解体を急いだ。


福島第一原子力発電所で3号機原子炉建屋のがれき撤去に向かう解体重機とクローラークレーン。左下の「鹿島」と記載された建物は厚さ60mmの鉄板で覆った遮蔽退避室。その奥に重機の遠隔操作に用いる通信基地局のアンテナやカメラが見える (写真:東京電力)


写真奥の3号機原子炉建屋から爆発で飛来したがれきを、付属建屋の屋上で撤去する様子。重機がつかんでいるのは最上階の梁だ。2011年11月16日撮影 (写真:鹿島)


遠隔操作した重機は合計10台。600tクローラークレーンは、バケットなどを取り付けてがれき撤去に使うほか、建屋上部で解体重機が作業する際に必要となる構台(図中の下部フレーム)の設置に用いる (資料:東京電力)

専用機を3カ月で納入
 遠隔操作した重機と作業の内容は以下のとおりだ。600tクローラークレーン2台は、バケットなどを取り付けてがれき撤去に使うほか、建屋上部で解体重機が作業する際に必要となる構台の設置に用いる。

 解体重機は100tクラスが1台、50tクラスが3台。撤去して小割りにしたがれきは、2台のバックホーでクローラーダンプ2台に積み込み、保管場所へ運搬する。現場には16台の固定カメラに加えて、重機1台につき3台のカメラを搭載し、周辺の状況を遠隔操作室からくまなく確認できるようにしている。

 使用した重機10台のうち9台は、3号機での作業のために日立建機と日立住友重機械建機クレーンが専用機として新たに製作したものだ。工事を担当する鹿島の領木紀夫副所長は「通常はクレーンだと発注から1年、解体用の重機も半年ほどかかるところを、3カ月で対応してくれた」と振り返る。

 3号機は爆発の規模が他号機に比べて大きく、周囲の放射線量も高かったが、無人化施工の採用によって毎時5マイクロシーベルト程度という低線量下での作業を実現した。鹿島の領木副所長は「有人だと1日に30分から1時間程度しか作業できないが、無人化施工なら現場から離れた操作室で長時間の作業ができる。防護服も着用せずに済み、オペレーターの体への負担が小さい」と説明する。


タービン建屋の上部での解体作業 (写真:東京電力)


建屋周辺に散らばったがれきの撤去 (写真:東京電力)


原子炉建屋からぶら下がった部材の撤去 (写真:東京電力)

続きは原発がれき撤去の現場では、給油タンクが宙を舞う

関電、来週85~88%…でんき予報

2012-07-23 11:30:00 | 原子力関係
関電、来週85~88%…でんき予報より転載
 関西電力は6日、節電要請期間2週目となる、来週の「週間でんき予報」(9~13日)を発表した。大飯原子力発電所3号機(福井県おおい町、出力118万キロ・ワット)の再稼働で供給力が増強されることから、電気使用率は85~88%の「安定」で推移する見通しだ。

 日本気象協会によると、大阪市内の最高気温は30~31度と平年並みの見通し。予想気温や直近の需要を基に、需要は2080万~2170万キロ・ワットにとどまると見込んだ。

 供給力は、大飯原発3号機が9日未明にもフル稼働に達することで、2421万~2466万キロ・ワットを確保できるとし、最大8基の火力発電所(計384万キロ・ワット)の運転を停止する計画だ。

 また、経済産業省が6日発表した9~13日の電力需給見通しによると、各電力会社の最大電力使用率の中で高いのは、北海道電力の91%(10日)、四国電力の85%(11、12日)、九州電力の84%(10日)、北陸電力の83%(9日)。

(2012年7月7日 読売新聞)

福島で除染国際シンポ 「意思決定に住民参加を」

2012-07-23 11:00:00 | 原子力関係
福島で除染国際シンポ 「意思決定に住民参加を」より転載

 国際シンポジウム「欧州の経験と知恵に学ぶ福島の除染」は21日、福島市の桜の聖母短大で開かれ、参加者が今後の除染の進め方と住民参加による地域再生の方向性について認識を新たにした。欧州の研究機関と連携し、除染の共同研究に取り組む福島大と地球環境戦略研究機関の主催、福島民友新聞社などの協力。
 共同研究の一環で、本県の現地視察に合わせて初めて開催。公開討論が行われ、国内外のパネリスト5人が主張を交わした。
 ベラルーシ放射能研究所のヴィクター・アベリン所長は、住民の内部被ばくを減らす仕組みづくりの重要性を挙げ「自分の身を守るため、健康状態を知ることが必要」と訴えた。
 ドイツ・ベルリン自由大のミランダ・シュラーズ教授は、除染で出た土などの仮置き場や、放射性廃棄物最終処分場について「住民が未来の意思決定に参加することが大切。地域社会の復活には、次世代に先送りしてはならない」と強調した。
 本県から参加した馬場有浪江町長は「除染しなければ古里に帰れない。自分たちで地域の除染を進めるためにも、より効果的な除染技術を開発してほしい」と国際社会に協力を求めた。
(2012年7月22日 福島民友ニュース)

トヨタ自動車、今夏の節電で自家発電の8基新設と全工場電力需給管理システム導入

2012-07-23 11:00:00 | 学習
トヨタ自動車、今夏の節電で自家発電の8基新設と全工場電力需給管理システム導入より転載
2012/07/05
ECO JAPAN

 トヨタ自動車は、今夏の節電対策で自家発電設備を8基新設するとともに、全工場の電力需給を効率的に管理するシステムを導入する。これによって政府が中部電力地域に求める節電目標を確実に達成する。目標値は猛暑だった2010年と比べピーク電力の5%以上削減で、関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)の3号機稼働後は4%以上削減に緩和される。

 自家発電設備は、コージェネレーション(熱電併給)ガスエンジン発電機となり、現在、11の工場に設置している。今回新たに8基の最新型高効率機を装備して自家発電能力を拡大。コージェネレーション以外のディーゼル発電機も含む発電設備で総電力使用量の約30%が賄えるようになる。自家発電電力は生産で使用し、運転状況を管理しながら効率的に供給する。

 電力需給を管理するシステムは、新しく開発して「トヨタ・トータル・デマンド・マネジメント」と名付けた。全工場の電力使用と自家発電の稼働状況を一括して「見える化」する。エネルギー使用の無駄などを洗い出すために全工場で使用していた既存のエネルギー管理システムの機能を拡張し、7月から導入している。ピーク電力抑制と節電目標達成を確実にする。

 トヨタは2010年度に、電力会社から供給を受ける買電のピーク電力を1995年度比で35%削減したほか、年間の買電使用電力量を45%削減した。2012年度は、今回の施策などで買電ピーク電力の1995年度比40%削減と、買電使用電力量の53%削減を見込んでいる。今後も電力使用量を一層低減すると同時に、エネルギー管理を発展させ、海外拠点での拡充も進める。

(日経BP環境経営フォーラム)

鉛カバーで被ばく量偽装 線量計に装着指示

2012-07-23 10:30:00 | 原子力関係
鉛カバーで被ばく量偽装 線量計に装着指示より転載

 東京電力福島第1原発事故の収束作業に当たっていた浪江町の建設会社「ビルドアップ」(和田孝社長)の役員が昨年12月、同社作業員に対して原発作業時に身に着ける警報付き線量計(APD)を鉛製のカバーで覆うよう指示、作業時の被ばく線量を偽装していたことが21日までに、同社などへの取材で分かった。厚生労働省は労働安全衛生法違反の疑いもあるとみて調査に着手、福島労働局などが同日、第1原発内の関係事業所内を立ち入り調査した。
 鉛は放射線の遮蔽(しゃへい)効果が高いとされ、APDを鉛製のカバーで覆うことで実際よりも被ばく線量を低く見せかけ、原発作業時の作業員の線量限度とされている年間50ミリシーベルト以下を保つよう偽装したとみられる。
(2012年7月22日 福島民友ニュース)

魚介類、売れ行き好調 原発事故後県外へ初出荷

2012-07-23 10:00:00 | 原子力関係
魚介類、売れ行き好調 原発事故後県外へ初出荷より転載

 相馬双葉漁業協同組合による相馬沖の試験操業で、水揚げされたタコなどが21日、宮城県に出荷、販売された。東京電力福島第1原発事故以降に本県近海で取れた魚介類が県外に出荷されるのは初めて。
 出荷されたのは、ゆでたミズダコ計300キロ、シライトマキバイ(ツブ貝)計38キロ。いずれも同県亘理町のスーパー、仙台市の水産卸会社に出荷された。
 このうちミズダコ100キロ、ツブ貝15キロは、同町のスーパーシシド亘理店(本店・相馬市)で販売。同店によると、同日は仕入れのほぼ半分を販売。販売開始を記念してミズダコ100グラム138円など価格を原発事故前の約4割に下げたこともあり、昼過ぎには販売予定分が売り切れた。相馬市などから訪れた人もいたという。
 同店鮮魚担当者は「価格が安く、新鮮ということで売れ行きは好調。風評被害も心配だが、売れ行きは期待できると思う」と話した。
 ミズダコを購入した同町の主婦堀川政子さん(78)は「検査をしているので大丈夫。試食してもおいしかった」と話した。
 このほか「検査もしているので、子どもに食べさせるのもためらいはない」と話す母親もいた。
 水産卸会社が仕入れたタコなどは23日に仙台中央卸売市場で競りにかけられる。
(2012年7月22日 福島民友ニュース)

ドイツが脱原発を決めた本当の理由 2

2012-07-23 10:00:00 | 学習
復興ニッポン:ドイツが脱原発を決めた本当の理由より転載
環境NGO「グリーンピース」トーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長に聞く
2011年11月11日

環境NGO「グリーンピース」トーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長

再生可能エネルギーには経済的なメリットも
――再生可能エネルギーの発電コストは、火力発電などと比較して高いと言われます。また、日本では、原子力のコストが適正に評価されていないという指摘があります。

ブリュワー ドイツでは、再生可能エネルギーの導入は経済的なメリットが大きいという試算が広く知られています。単なる発電コストの比較ではありません。再生可能エネルギーの導入にまつわるコスト増よりも、石油や天然ガス、ウランなどの燃料を使わないで済んだことによるコスト削減や、酸性雨や健康被害などの対策コストの削減、新規に生まれる雇用や、企業の競争力工場などのメリットの方が大きいというわけです。

 原子力のコストの不透明さはドイツも同様です。1950年から現在までに原子力産業に政府が投入した補助金などの総額は、24兆4200億円に上ります。核廃棄物の処理費用などは部分的にしか含まれていませんので、国費の投入はさらに増えるでしょう。

 問題は、原子力産業のコスト削減努力が不十分であることです。これだけの国費がなければ立ちゆかないのだから、原子力産業が自立しているとは言い難い。今後もさらに原子力産業にカネを投じ続けることには、疑問符が付きます。


――再生可能エネルギーが本当に経済的なメリットがあるなら、なぜ産業界は脱原発に反対するのですか。

ブリュワー ドイツ産業界にも、様々なポジションの企業が存在します。脱原発の声を発しているのは、電力や化学、重工業、自動車などの大企業。これが産業界の総意であるとは考えていません。

 というのも、再生可能エネルギーの導入を、ビジネスチャンスと捉える企業が増え始めているためです。象徴的なのが、アルミ精錬のトップ企業が政府の判断を歓迎していることです。

 アルミ精錬といえば、電力多消費産業の代表格。電力料金の高い地域ではビジネスが立ちゆかなくなることもある業種です。そのアルミ精錬企業の歓迎が意味していることは、「再生可能エネルギーは儲かる」ということに尽きます。

 これまで彼らの最大の顧客は自動車メーカーでした。ですが、自動車メーカーは値下げ圧力が強い。値下げばかり求めてくる自動車メーカーよりも、彼らにとっては、風車メーカーの方が優良顧客になったのです。

再生可能エネルギーは成長著しい産業
――再生可能エネルギーの導入が、新産業として確立しつつあるのですね。

ブリュワー その通りです。雇用創出効果は数値となって現れています。産業界の声の大きなプレイヤーの影で、ビジネスをシフトさせる動きが顕在化しています。

 再生可能エネルギー市場は、右肩上がりで目覚しい成長を続けています。これほどの成長力を持った産業は、ほかに見当たりません。

 だからこそ、日本に言いたいことがあります。原発に賛成か反対かという議論にとどまらず、将来の産業について議論すべきではないでしょうか。

 日本企業が再生可能エネルギー市場で存在感を発揮したいと考えるなら、日本政府は早急にエネルギー政策の方針転換をすべきです。一刻も早く、国内市場を立ち上げなければ、手遅れになる。もうギリギリのタイミングです。既に日本は相当、遅れを取っているのです。

 ドイツに参考になる例があります。かつてドイツの鉄道会社は、新幹線のような高速鉄道を新興国に売り込もうとして失敗しました。その理由は、国内での導入実績がなかったためです。新興国からしてみれば、「そんなに良い技術ならば、なぜ自国でやらないの?」と信頼を得られませんでした。

 日本の再生可能エネルギーの導入量は、世界的に見ても少なすぎます。国内市場はあまりに脆弱です。日本には、技術開発に長けた企業が多く存在します。再生可能エネルギーに本気で取り組めば、世界で高い競争力を発揮できるはずです。

 政府が本気で国内市場を立ち上げることを決断するかどうか。ここに、日本企業の将来が委ねられています。

ドイツが脱原発を決めた本当の理由 1

2012-07-23 09:00:00 | 学習
復興ニッポン:ドイツが脱原発を決めた本当の理由より転載
環境NGO「グリーンピース」トーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長に聞く
2011年11月11日

環境NGO「グリーンピース」トーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長

 東京電力福島第1原子力発電所の事故は、世界の原発に多大な影響を及ぼした。なかでも、ドイツの動きは世界に驚きを与えた。メルケル首相は事故発生からわずか3日後、老朽化した原発7基を3カ月停止し、全原発の安全検査を徹底するように命じた。さらにドイツ政府は、2020年の脱原発を決めたのだ。

 ただし、ドイツが事故を受けて脱原発を決めたのかといえば、そうではない。緑の党と社会民主党との連立政権は2000年に脱原発を決め、2022~23年を脱原発の期限に定めた。だが、2009年秋にキリスト教民主・社会同盟と自由民主党政権の連立政権が発足し、脱原発ムードが減退。2010年には、脱原発の期限を12年延長した経緯がある。

 こうしたなか、福島第1原発事故が発生。ドイツ政府は高まる世論をくみとって、再び脱原発の期限を早めたわけだ。ドイツの脱原発をめぐる国民議論の蓄積は、既に10年を超える。

 なぜ、ドイツ政府は脱原発を選択したのか。脱原発が産業界に、どのような影響を及ぼしているのか。ドイツ銀行で金融アナリストとしての経験を積んだ後、環境NGO「グリーンピース」に移ったトーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長に聞いた。

――結局のところ、なぜドイツは脱原発を決めたのですか。

ブリュアー 原発がリスクの高い技術だからです。ドイツ政府は原発をどうするべきか、倫理委員会に諮りました。そこで委員会が出した結論は、「原発の賛否は別にして、原発はリスクの高い技術。一方の再生可能エネルギーはリスクが低い。ならば原発は廃止すべきだ」と政府に勧告したのです。後述しますが、産業政策の側面も大きかった。

 ドイツの脱原発議論の特徴は、「原発に賛成か反対か」という話とは別なのです。

――欧州の電力網はつながっており、電力市場は自由化されています。国境をまたいだ電力の売買も当たり前です。ドイツが脱原発しても、不足した電力を原発大国のフランスから輸入することになり、結果的に原発による電力は減らないという指摘もあります。

ブリュアー それは間違った認識です。確かに、ドイツとフランスの間では電力の輸出入が行われています。原発は発電量を変動させずに運転するのが最も効率が良い。このため、原発比率が8割弱と非常に高いフランスは、電力需要の変動に対応するために、原発による電力を安価で他国に売っているのです。脱原発いかんにかかわらず、ドイツはフランスから電力を購入してきたわけです。

 ただ、フランスから購入している量は、ドイツ全体の需要のごく一部に過ぎません。むしろ10年以上前から、ドイツは電力輸出国なのです。原発停止後は他国へ輸出する余裕は減ってしまいます。ですが、原発以外の発電設備に余裕があるため、輸入が大幅に増えることはないでしょう。

 ちなみに、2010年のドイツの総発電量に占める原子力の割合は24%。福島第1原発事故後に7基停止してからは、14%まで落ち込みました。電力の輸出量は減少していますが、輸入量は変わっていません。

 ドイツ政府は再生可能エネルギーの導入量を増やすことによって、エネルギー自給率を高める目標を掲げています。2020年を目途に原発を全基停止してどうなるのかは不透明な部分も残りますが、大きく輸入が増えることはないと見ています。

――脱原発によって原子力産業の雇用が減少する懸念はないのですか。

ブリュワー 現在、原子力産業は約3万5000人を雇用しています。2020年に原発を止めても、この雇用が減るのはもっと先の話です。というのも、廃炉を完了させるには、膨大なプロセスを経る必要があります。長期間にわたり、相当の人員が必要です。

 一方で、再生可能エネルギーの導入促進は、原子力を上回る雇用を生みだします。ドイツ政府によると、2004年に16万人だった再生可能エネルギーによる雇用は、2010年に37万人へと急拡大しました。原発の雇用は発電所の立地地域などに集中しがち。ところが、分散電源である再生可能エネルギーは、ドイツ国内に分散して雇用を生み出す利点もあります。


 現在、ドイツ政府が掲げている再生可能エネルギーの導入目標は、2020年に35%というもの。その先も、2030年に50%、2040年に65%、2050年には80%まで高めるとしています。さらに、ドイツ議会の専門委員会は2010年、「2050年に100%再生可能エネルギーにすることも可能」だと表明しました。

 脱原発を実現して原子力産業での雇用が失われても、再生可能エネルギーの導入で大量の雇用が発生します。雇用面の心配はしていません。

2に続く