大川原有重 春夏秋冬

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子牛高騰 不安の声 原発事故影響で繁殖農家減

2014-10-02 10:00:00 | 原子力関係
子牛高騰 不安の声 原発事故影響で繁殖農家減
2014年10月01日 讀賣新聞

みやぎ総合家畜市場で行われた子牛の競り(9月16日、美里町で)

 県内の肉牛の肥育農家が、子牛の価格高騰に頭を抱えている。県内で唯一、子牛の競りを行っている「みやぎ総合家畜市場」(美里町)では、9月の1頭あたりの平均価格が59万6279円と、1999年の開設以来、最高値を記録した。東京電力福島第一原発事故の影響により、子牛を育てる繁殖農家が減ったのが主な理由で、関係者からは不安の声が漏れる。(安田龍郎)

 同市場には9月16日、県内外の約250人が集まり、子牛の競りに臨んだ。

 終盤、血統の良い子牛が登場すると、当初は30万円台だった価格が瞬く間に上昇。最終的には69万9000円と、この日の最高値で落札された。「まるでバブル。2年前なら、これより15万円は安かったのに」。大郷町で肉牛約120頭を肥育する男性(60)は肩を落とした。

 男性の予算は1頭あたり60万円。出荷までにかかる約30万円の餌代のほか、人件費や光熱費を加えると、この予算が利益を出せるギリギリの線となる。6頭を買う予定だった男性は10回以上も競りに参加したが、落札できたのは2頭だけ。「このままなら、どの農家も廃業しかねない」。ため息をつき、市場を後にした。

 肉牛生産は、繁殖農家が8か月ほど育てた子牛を肥育農家が競り落とし、さらに20か月ほど育ててから出荷するのが一般的。独立行政法人「農畜産業振興機構」(東京都)によると、震災前の2010年度に41万2926円だった県内の子牛の平均価格は、昨年度には24%増の51万3417円に高騰。今年度に入っても上昇傾向は続き、9月は月間で最高値を付けた。これに対し、仙台中央食肉卸売市場によると、肥育農家が出荷する肉牛の平均市場価格は昨年度、最高ランクで109万6364円。108万1346円だった10年度とほぼ同水準で、子牛を育てても利益が出にくくなっている。

 子牛価格高騰の大きな要因は、取引頭数の減少だ。同機構によると、全国の子牛取引頭数は昨年度、35万1119頭で、34万6596頭だった10年度から5000頭近く増えたが、県内では昨年度、1万4773頭と10年度比で13%減った。

 県によると、県産牛から国の基準を超える放射性セシウムが検出され、出荷停止措置が取られるなどしたため、繁殖農家が1割減った。経営規模の縮小も相次いでおり、生産数が減少している。

 子牛の供給不足を解消しようと、県は昨年度から、優良な母牛を購入した繁殖農家に1頭13万円の助成金を支払う支援策を始め、昨年度は予定件数を上回る申請があった。県畜産課は「県内の畜産業全体が地盤沈下しかねない。さらなる支援策を検討しなければならない」と話している。