沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

溶融炉の選定を見送った市町村の主な理由

2015-09-03 22:34:59 | 溶融炉
平成15年度までは、国の補助金を利用して焼却炉を整備する場合は溶融炉の併設が義務付けられていました。

現在、県内で溶融炉を休止している中城村北中城村清掃事務組合や、座間味村、渡名喜村は、その平成15年度に供用を開始しています。

ここにある溶融炉の選定を見送った各市町村の理由は、平成20年度からのものなので、溶融炉に対する様々な問題が顕在化してきた頃からのものです。

国や県には、当然、このような情報が蓄積されています。しかし、国は溶融炉に対して今でも補助金を交付しています。そして、溶融炉の併設を義務付けていたころに整備された溶融炉に対して長寿命化(延命化)を求めています。

しかも、我が沖縄県は県の廃棄物処理計画において溶融炉の整備を推進しています。

ただし、沖縄県の計画は最終処分場の延命化が目的になっているので、各市町村が溶融処理以外の方法で焼却灰の資源化を行うことができるようになれば、県は溶融炉の整備の推進を抑制していくことになると考えます。

いずれにしても、「沖縄県に溶融炉は似合わない」というのが管理者の率直な意見です。

※平成26年9月に会計検査院は、環境省に対して「溶融スラグの利用が行われていない場合は溶融炉を稼動していても補助目的を達成していないことになる」という意見表示(是正改善処置要求)を行っているので、今後は溶融スラグの品質管理が厳しくなると思われます。温暖化対策についても、温室効果ガスの排出量を削減するためにさらなる設備投資が必要になると思われます。

沖縄県における理想的なごみ処理方法(私案)

2015-09-03 15:54:51 | ごみ処理計画
このブログの管理者が考えた私案です。

こうすれば、沖縄県において最終処分場に埋め立てるものはほとんどなくなります。もちろん、溶融炉も不要になります。

※沖縄県は人口としては内地の政令指定都市並みの地方公共団体なので、県が市町村の対して本気になって廃棄物処理法及び海岸漂着物処理推進法の規定に基づく技術的援助を行うようにすれば実現可能な計画になると考えています。

中城村と北中城村のリスクの確認とリスクの最少化

2015-09-03 14:28:25 | ごみ処理計画
本島で溶融炉を休止しているのは中城村北中城村清掃事務組合だけですが、中城村と北中城村はこれから人口が増加することが予想されているので、やはり、国の財政的援助を受けずにごみ処理を行っていくことは、村の財政上、大きなリスクになると考えます。

座間味村や渡名喜村と違って組合の溶融炉はガス化溶融炉ではないので、中城村と北中城村においては、とりあえず溶融炉のことだけを考えればよいというメリットがあります。

ただし、溶融炉を休止したままでは国の財政的援助が受けられないので、焼却炉の長寿命化を自主財源で行わなければなりません。

したがって、中城村と北中城村が国の財政的援助を受けるためには、今のところ溶融炉を再稼動するしか方法がないことになります。

ところが、その溶融炉は国内に1基しかないとても珍しいもので、しかも、メーカー側は処理方式をガス化溶融炉に移行しているので、再稼動ができたとしても長寿命化が困難になる可能性があります。

仮に、長寿命化ができたとしても、元々が村のごみ処理費を高くしている要因になっている設備なので、維持管理に関する財政負担を削減することはできません。また、溶融スラグの利用が困難になった場合や事故で溶融炉が使用できなくなった場合は、国から補助目的を達成していないとみなされるので、その場合も国の財政的援助が受けられなくなってしまいます。

そうなると、座間味村や渡名喜村と同じように溶融炉を廃止して焼却灰の常温処理による資源化を推進することがリスクを最少化する最善手になると考えます。

しかも、その場合は、焼却炉の長寿命化に当って国の財政的援助を受けることができるので、このまま溶融炉を休止したままでいるよりも村の財政負担を削減することができると考えます。

※中城村と北中城村は「焼却炉+溶融炉」という処理方式そのものが、すでに時代遅れになっているということを前提にしてこれからのごみ処理計画を考えていく必要があると思います。

座間味村と渡名喜村のリスクの確認とリスクの最少化

2015-09-03 14:11:34 | ごみ処理計画
現実問題として、民間の廃棄物処理施設の少ない沖縄県において市町村が国の財政的援助を受けずにごみ処理を行うことは財政負担に関するリスクが大きすぎると考えています。

これは、離島でも本島でも大きな違いはありません。なぜなら沖縄県そのものが「大きな離島」だからです。

座間味村と渡名喜村は溶融炉(ガス化溶融炉)を休止しているために、国の財政的援助が受けられない状態になっていますが、諸々の状況から判断して再稼動は困難だと思われます。

しかし、建物はまだ十分に利用できます。

したがって、この建物を生かして国の財政的援助を受けながら少ないコストで身の丈に合ったごみ処理を行っていくことがリスクを最少化するための最善手になると考えます。

そのためには、小型焼却炉の整備と常温処理による焼却灰の資源化を推進して行くことがベターだと思われます。

※座間味村と渡名喜村は建物の有効活用を図るという前提でこれからのごみ処理計画を考えていく必要があると思います。

溶融炉の休止に対する国の適正な技術的援助

2015-09-03 12:08:35 | 溶融炉
市町村が溶融炉を休止する場合も、通常は、事前に国に相談をして国から適正な技術的援助を受けることになります。

その場合の国の技術的援助は基本的に廃棄物処理法と補助金適正化法の規定に従って行われることになります。

国には廃棄物処理法の規定に基づく廃棄物処理施設整備計画を達成するための措置を講じる責務があります。また、市町村(補助事業者)には補助金適正化法の規定に従って補助事業を補助金の交付の目的に従って誠実に遂行する責務があります。

したがって、国の職員は溶融炉を休止する市町村に対して休止の中止又は他の方法により補助金の交付の目的に適合する代替措置を確保するための技術的援助を行うことになります。

その上で、市町村が国の技術的援助を無視して溶融炉を休止する場合は、市町村に対して国の財政的援助を停止することを周知するとともに、補助金適正化法の規定に基づいて財産処分の承認手続を求めることになります。なぜなら、国には国の補助制度を活用して市町村のごみ処理施設の整備を推進する責務があるからです。そして、市町村が補助施設を補助金の交付の目的に反して使用する場合(溶融炉を休止する場合は溶融炉を整備して焼却灰の資源化を推進するために補助金を交付した建物部分を目的外使用することになる)は、国(大臣)の承認を受けなければならないからです。

なお、この場合の国には防衛省も含まれています。

※国の職員が溶融炉を休止する市町村に対して不適正な技術的援助を行った場合は、法令に違反する技術的援助を行ったことになるため、国家公務員法違反になります。