沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

そもそも溶融炉って何?

2015-09-09 23:36:40 | 溶融炉

おそらく、溶融炉に依存している沖縄県民(約100万人)のうち、溶融炉とはどのようなものであるか詳しく知っている人はものすごく少ないと思います。

そこで、県民の皆様には是非知っておいていただきたい溶融炉の処理技術とその特徴を整理してみました。

現在、溶融炉を休止(廃止)している座間味村と渡名喜村の溶融炉は約10年前に整備した「ガス化溶融炉」ですが、このブログの管理者としては整備する時期が早すぎたと考えています。

また、座間味村と渡名喜村とほぼ同時期に整備して平成26年度から休止(平成27年度から事実上廃止)している中城村北中城村清掃事務組合の溶融炉は「焼却炉+溶融炉」に分類されますが、焼却炉は一般的なストーカ炉ではなく流動床炉という塩分濃度が高く水蒸気爆発のリスクも高い焼却灰(飛灰)が排出される焼却炉で、溶融炉もなぜか一般的な電気式ではなく温室効果ガスの排出量が多い(運転経費も高くなる)燃料式を整備しています。このブログの管理者としては機種の選定に当って組合において十分な評価が行われていなかったのではないかと考えています。

内地からの移住者としては、溶融炉を休止(廃止)している市町村に対して、溶融炉を整備するときに県がどのような技術的援助を行っていたのかとても気になるところですが、今は、溶融炉を休止(廃止)している市町村に対して溶融炉の整備を推進している県がどのような技術的援助を行っているのか、その方が気になっています。

なお、「焼却炉+溶融炉」はメーカー側が「ガス化溶融炉」に移行(モデルチェンジ)しているため、近年は発注する市町村はゼロの状態になっています。また、メーカー側も受注活動(新たな技術開発や市町村に対する提案等)は行っていません。

※座間味村と渡名喜村の溶融炉は、メーカー側に不明な点が多い(実績が少なすぎる)ので再稼動は無理だと考えています。また、中城村北中城村清掃事務組合の溶融炉は国内では稼動している事例がない極めて特殊な溶融炉(メーカー側の実験炉に近い溶融炉)であり、水蒸気爆発のリスクも高い溶融炉です。したがって、再稼動はリスクが高すぎると考えますが、再稼動した場合は長寿命化を行うことになるので、再稼動の前に十分なリスク評価を行う必要があると思います。


沖縄県民(約100万人)が溶融炉に依存している理由

2015-09-09 21:24:42 | ごみ処理計画

このブログでは、「沖縄」のごみ問題をできるだけ客観的に考えていきたいと思っています。

国の計画と県の計画を比較してみると、県の計画が溶融炉に過剰依存していることが分かります。他にメニューがないのなら仕方がありませんが、国は他のメニューも用意しています。

一般の沖縄県民は多分、そんなことは知らないと思います。しかし、知らないでいると、多くの場合、高い買い物をすることになります。

内地からの移住者がこのようなブログを開設していることは多くの沖縄県民の皆様にとって不愉快なことかも知れませんが、「沖縄」の未来のことを考えた場合、事実は事実として確認しておいた方がよいと考えています。

なので、県民の皆様に嫌われても、今のスタンスを変えずにこれからもブログの管理を続けていく予定です。

なぜなら、「沖縄」が大好きだからです。そして「沖縄」には化石燃料依存型の高価な「ハイテクプラント技術」は似合わないと考えているからです。 

※すでに、県内では座間味村と渡名喜村と中城村と北中城村が後から高い買い物だったことに気付いて溶融炉を休止(廃止)していますが、伊平屋村は休止していた溶融炉を再稼動して長寿命化する計画を県を通じて国に提出しています。伊平屋村が溶融炉を再稼動することについては、離島においても県は県の計画を推進して行く考えであることを示しています。

国の計画(廃棄物処理施設整備計画)

県の計画(第三期沖縄県廃棄物処理計画)



一般廃棄物の最終処分場に関する国(環境省)の考え方

2015-09-09 12:37:48 | ごみ処理計画

このブログの管理者が中城村北中城村清掃事務組合(以下「組合」という)のごみ処理計画に関心を持っているのは、①組合のごみ処理計画が国や県の計画とまったく異なる計画であること、②沖縄県の市町村が国の財政的援助を受けない計画を策定していること、③事故や故障等が原因ではなく「運転経費が高い」という理由で溶融炉を休止(廃止)していること、④焼却灰の最終処分場の整備を行わずに民間委託処分を行う計画を策定していること、⑤組合を構成している中城村と北中城村が県内(本島)で突出して住民1人当たりのごみ処理費が高いこと、⑥防衛省の補助金を利用してごみ処理施設を整備していることにあります。

そして、そのような市町村のごみ処理計画に対して、⑦県が国や県の計画との整合性の確保を求めていない(国や県の考え方よりも市町村の考え方を尊重している)ことにあります。

つまり、沖縄県には国や県の計画には従わない(国の補助金も利用しない)市町村が存在していることが、内地からの移住者であるこのブログの管理者にとっては、見逃せない状況になっているということです。

このことは、根本的なところで沖縄県における基地の問題にも繋がっていると考えています。ただし、このブログは沖縄のごみ問題を考えるブログなので基地問題については発言を控えます。

ということで、本題です。

組合のごみ処理計画は沖縄県における市町村のごみ処理計画の策定に関する事務処理において、県が国の補助制度や国の計画、そして県の計画よりも市町村の自主的な考え方を尊重していることを明確に示しています。このことは県が県内の市町村を基礎的自治体とする「地方自治の本旨」を尊重していることを明示していることになります。

しかし、地方公共団体は地方自治法の規定により、いかなる場合(国が法令に違反している場合)であっても法令に違反する事務処理を行うことはできません。なぜなら、日本は法治国家だからです。

このブログの管理者は組合のごみ処理計画については国の財政的援助を受けない勇気のある計画として評価していますが、溶融炉を休止した理由と最終処分場の整備を行わない考え方については法令の規定に抵触していると考えています。特に最終処分場の整備を行わない計画については見直すべきではないかと考えています。そうでなければ、組合の勇気が「暴挙」になる可能性もあると危惧しています。その理由については、上の画像をご覧下さい。

※このブログの管理者は内地からの移住者なので、組合(中城村と北中城村)のごみ処理費が本島でも突出して高い理由が何なのかはまだ理解していません。しかし、その理由を解明することによって沖縄のごみ問題を解決するための根本的な問題を解明することができると考えています。なぜなら、組合は県の計画に「反抗」して溶融炉を休止(廃止)しているからです。


焼却灰の民間委託処分に関する市町村のリスクを考える

2015-09-09 10:25:36 | ごみ処理計画

市町村のごみ処理は地方自治法の規定に基づく「自治事務」として整理されています。このため、焼却灰の民間委託処分を行う場合は民間の排出事業者が委託処分を行う場合とは異なり、極めて高いリスクを引き受けることになります。

それは、市町村が民間委託により民間の最終処分場に焼却灰を処分した場合は、委託してから最終処分場が廃止されるまで市町村の責任において「環境負荷の低減」を図る必要があるからです。

通常、廃棄物の最終処分場(管理型)は閉鎖(埋め立てが終了した状態)から廃止(管理が不要になる状態)まで15年以上の期間を要します。したがって、それまでの間に処分を委託した民間の最終処分場に問題が発生した場合は、市町村の責任において問題を解決しなければならないことになります。

なぜなら、市町村の「自治事務」に対する民間の事業者の立場は、あくまでも市町村の「自治事務」に対する補助事業者でしかないからです。

市町村には一般廃棄物の処理に当って「環境負荷の低減」を図る責務があるので、焼却灰の処分を行う場合はリスクを最少化するために自らの責任で日常的に管理を行うことができる最終処分場を整備するのが一般的な考え方になります。それが困難な場合は、溶融炉を整備して焼却灰の資源化を図るか、溶融処理以外の方法で焼却灰の資源化を図るのが一般的な考え方になります。

なお、民間の排出事業者には地方自治法は適用されないので、廃棄物処理法の規定により適正なコストを負担して処分が完了したことを確認すれば、それ以後の責任はなくなります。

※焼却灰の民間委託処分を行っている市町村は、処分を委託した最終処分場が廃止されるまで処理責任者としての責務が残っていることになります。したがって、処分を委託する場合は委託先の最終処分場を自らが整備した最終処分場と考えて委託する必要があります。