沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

浦添市と中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理計画の違い

2015-09-06 23:34:58 | ごみ処理計画

浦添市と中城村北中城村清掃事務組合は、ほぼ同時期に溶融炉を整備しています。そして、ほぼ同時期にごみ処理計画を改正しています。

そして、どちらのごみ処理計画も沖縄県廃棄物処理計画を上位計画として策定されています。

しかし、浦添市は溶融炉の長寿命化を行っていますが中城村北中城村清掃事務組合は溶融炉を休止(実質的には廃止)しています。

浦添市のごみ処理計画は国の計画や県の計画に即して策定されていますが、中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理計画は国の計画や県の計画には適合しない計画になっています。しかし、表向きは県の計画に即して策定した計画になっています。

果たして、中城村や北中城村の住民、そして議会は行政が策定したこのような一般人にはとても分かりにくいごみ処理計画に対して、どこまで理解しているのでしょうか?

※平成25年度における浦添市の住民1人当たりのごみ処理費は年間約8,500円(本島の平均は年間約8,200円)ですが中城村北中城村清掃事務組合(中城村と北中城村)のごみ処理費は住民1人当たり約15,000円で、本島の市町村の中では突出してごみ処理費の高い市町村です。そして、浦添市は溶融炉を長寿命化していますが中城村北中城村清掃事務組合は溶融炉の「運転経費が多額」という理由(補助金適正化法に違反している不適正な理由)で溶融炉を休止しています。そのため、中城村北中城村清掃事務組合は国の財政的援助が受けられない状態になっています。

沖縄県(本島)におけるごみ処理費のランキング


中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理計画を考える

2015-09-06 21:45:39 | ごみ処理計画

このブログの管理者は内地からの移住者ですが、内地では長年、市町村のごみ処理に関係する仕事をしてきました。そのため、沖縄県内の市町村のごみ処理計画はインターネットに公開されている範囲において全てチェックしています。

そのごみ処理計画の中で「異彩」を放っているのが中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理計画です。おそらく、このような大胆なごみ処理計画は内地にはないと思われます。

ごみ処理は市町村の「自治事務」です。したがって、国の財政的援助を受けない限り、そして、廃棄物処理法の規定に違反しない限り、市町村(市町村民)は国や県の計画とは一線を画して、自らの自主的な判断に基づいて自由にごみ処理を行うことができます。

その意味で、中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理計画は、極めて自由度の高いごみ処理計画になっています。ただし、ごみ処理の専門家を自認しているこのブログの管理者としては、1つだけ理解に苦しむところがあります。

それは、国内に例を見ない市町村の自主的な判断に基づいて策定されている中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理計画が、環境大臣が定めた廃棄物処理法の基本方針に即して定められている県の廃棄物処理計画を上位計画として策定されていることです。

沖縄県は溶融炉の整備を推進して最終処分場の延命化を図る計画を策定していますが、中城村北中城村清掃事務組合は県の計画に従わずに溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行う計画を策定しています。

正反対とも言えるこの2つの計画のどこに繋がりがあるのか?

移住者としては極めて興味深い「謎」です。


溶融炉の「休止」に関するメリットとデメリット

2015-09-06 20:14:49 | 溶融炉

市町村が運転経費が高い溶融炉を休止すると、とりあえず短期的には「財政負担を削減」することができます。しかし、溶融炉を休止すると「国の財政的援助が停止」されるので、中長期的に考えた場合にメリットがどの程度あるのか、とても微妙な問題になります。

このブログの管理者は溶融炉を休止している市町村の住民ではないので、休止している市町村の「自治事務」に対して必要以上に関与するつもりはありません。ただし、沖縄県民ではあるので、自らの財政負担を中長期的に削減するために県を含めて沖縄県における地方公共団体が「最少の経費で最大の効果を挙げる」ためにどのような事務処理を行っているかについては、常にウオッチングして行こうと考えています。

したがって、このブログでは沖縄県における地方公共団体のごみ処理に関する成功例や失敗例等をできるだけ客観的な視点に立って沖縄県民の皆様に報告して行きたいと考えています。

※市町村が国や県の計画と適合しない計画に基づいてごみ処理(自治事務)を行う場合は、国の財政的援助は受けられないルールになっています。なぜなら、そのような市町村に対して国が財政的援助を与えると、国や県の計画は無意味(単なる絵に描いた餅)になるからです。


市町村が溶融炉を「休止」する場合の注意点

2015-09-06 18:22:59 | 溶融炉

沖縄県では9つある溶融炉のうち既に4つの溶融炉(座間味村、渡名喜村、伊平屋村、中城村北中城村清掃事務組合)が休止(再稼動を検討している伊平屋村以外は事実上は廃止)していますが、溶融炉に対する依存率の高い沖縄県においては、5つ目、6つ目の溶融炉の休止(又は廃止)が行われる可能性があります。

しかし、市町村が溶融炉を休止する場合に必要となる法令上の事務処理について100%理解している市町村の職員は皆無に近いと思われます。このため、一般的には県や国の職員と事前に協議を行い、法令違反にならないように適正な技術的援助を受けることになります。

しかし、県や国の職員であっても、溶融炉の休止に当って適正な技術的援助を行うことができる職員は滅多にいません。その理由は、市町村における溶融炉の休止という事案が極めれレアな事案であること、そして、市町村から相談を受けた休止という事案が、実際は休止なのか廃止なのかよく分からないということにあります。

しかし、昨年(平成26年)の9月に会計検査院が国や県の職員が適正な技術的援助を行うことができる「意見表示」を行ってくれました。これにより、市町村が溶融炉を休止する場合に必要になる法令に基づく適正な事務処理が明確になりました。

そこで、国や県や市町村の職員の皆様のために、その概要を整理しました。この概要の中で、4と5(休止の理由)については事務処理に関するものではありませんが、この理由によって事務処理の内容が変わる重要な事項になります。

※溶融炉の休止に当って国や県の職員の技術的援助がどのようなものであっても、それは市町村の「自治事務」に関する国や県の助言でしかないので、万が一、法令に違反する事務処理が行われた場合は、市町村の職員が地方公務員法に違反することになります。また、市町村における溶融炉の休止という事案は、国の補助金を利用している高額な財産の処分に関する事務処理になるので、事務処理を間違えると、場合によっては市町村(住民)に損害を生じさせる恐れがあります。市町村の職員の皆様にはごみ処理に関する事務処理が市町村の「自治事務」に関する事務処理であることを再確認していただくことを強く希望します。


沖縄県(本島)における市町村の溶融炉依存率

2015-09-06 11:11:31 | ごみ処理計画
どれだけの沖縄県民が知っているかは分かりませんが、沖縄県(本島)における市町村の溶融炉依存率は約80%に達しています。つまり、本島においては約100万人の沖縄県民が溶融炉に依存して暮らしていることになります。

本島で溶融炉を整備している市町村のうち中城村北中城村清掃事務組合は平成26年度から溶融炉を休止(平成27年度からは事実上廃止)していますが、同組合は人口が少ないので本島における県民の溶融炉依存率はやはり約80%ということになります。

全国的な統計データはありませんが、この依存率の高さは間違いなく日本一です。

最近、内地では溶融炉を整備する市町村が激減しています。「維持管理費が高い」とか「トラブルが多い」という理由もありますが、溶融炉を選定しない決定的な理由になっているのが「溶融スラグの安定的な利用が困難」というものです。

内地における溶融スラグの利用率は平均すると50%以下です。そして人口の多い市町村ほどこの利用率が低くなっています。

沖縄県の本島は内地においては政令指定都市並みの人口ですが、その住民の約80%は溶融炉に依存しています。この場合1年間に約5万トン(全国平均)の溶融スラグが発生していることになりますが、これだけの量を「沖縄県の本島」という限られた地域で長期間100%安定した利用を続けていくことは不可能に近いと考えています。

実は、このブログの管理者は沖縄県民としてこのことを一番心配しています。

会計検査院は溶融炉を稼動していても溶融スラグの利用が行われていない場合は「補助目的を達成していない」と判断しています。そして国(環境省)もそのことに同意しています。そうなると、沖縄県においては約100万人の県民が今後とも溶融スラグの安定した利用を続けていかなければならないことになります。しかし、実際に利用を行っていくのは国の補助金を利用して溶融炉を整備している市町村になります。国や県はアテになりません。

仮に、各市町村において溶融スラグの利用が困難になった場合はどうなるか?

このブログの読者であれば容易に理解できるはずです。

沖縄県が県の計画において今後とも溶融炉の整備を推進していくのであれば、県の公共事業において溶融炉を整備している全市町村から排出される溶融スラグの利用を引き受ける必要があると考えます。

※沖縄県において溶融炉を休止している市町村が、法令違反を是正するために溶融炉を再稼動しても、国の計画に従って長寿命化を行い、補助金適正化法の規定に従って補助目的を達成するために溶融スラグの100%利用を続けて行かなければなりません。それができない場合は、国の財政的援助が受けられなくなります。