沖縄県だけに限ったことではありませんが、県内の溶融炉には内地にはない特殊な溶融炉が多いので、改めて長寿命化に関するリスクを整理してみました。
休止している座間味村と渡名喜村の溶融炉は、再稼動そのものが困難であると思われるため長寿命化を行わずに廃止されると思われます。
また、平成26年度から休止している中城村北中城村清掃組合の溶融炉は、飛灰を単独で処理する燃料式の溶融炉で国内では稼動している事例がない(長寿命化が行われている事例もない)極めて特殊な溶融炉なので、長寿命化が困難か長寿命化が可能であるとしても事業費がかなり過大になると思われます。しかも、塩分濃度が高い飛灰(流動床炉の焼却灰)のみを単独で処理する溶融炉であるため、水蒸気爆発のリスクを軽減するために維持管理費も他の市町村に比べると過大になると思われます。
伊平屋村の溶融炉も休止していますが、長寿命化計画を策定している模様です。
ちなみに、浦添市は既に長寿命化を終了しています。
伊平屋村循環型社会形成推進地域計画
浦添市循環型社会形成推進地域計画
循環型社会形成推進地域計画一覧
この特徴は沖縄県において県の廃棄物処理計画に従って溶融炉を整備している市町村のごみ処理計画の特徴になります。
市町村のごみ処理は市町村の「自治事務」として整理されているため、廃棄物処理法の規定においては上の画像の左側のように県や国が市町村のごみ処理計画を技術的財政的に援助する形になっています。
しかし、沖縄県においては市町村のごみ処理計画を県の廃棄物処理計画の下位計画として位置付けているために上の画像の右側のような形になっています。
この形は簡単に言うと地方分権一括法が施行される前の古い形をそのまま継承している形(県主導型)になりますが、市町村が「それでよし」と判断している限り有効になります。したがって、沖縄県において県の計画に従って溶融炉を整備している市町村は「県の考え方に従順な市町村」ということになります。
ただし、県が県の廃棄物処理計画を市町村のごみ処理計画の上位計画として位置付けていることについては「法的瑕疵」があります。なぜなら、市町村の「自治事務」については都道府県は市町村の自主性を尊重しなければならないからです。
なお、下の画像の右側は中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理計画になります。同組合のごみ処理計画は整備していた溶融炉を休止(廃止)しているために国の技術的援助や財政的援助、そして県の技術的援助も受けない計画なっています。その意味では県や国と一線を画した国内では例を見ない極めて珍しい形(自主独立型)になっています。
しかし、溶融炉を休止(廃止)している同組合のごみ処理計画は表向きは溶融炉の整備を推進している県の計画を上位計画としています。表向きとは住民に告示しているごみ処理計画がそういう形(擬似県主導型)になっているという意味です。
こういう告示の仕方をすると、実際は国の技術的援助や財政的援助、そして県の技術的援助を受けない計画になっているにもかかわらず県の考え方に従って溶融炉を休止(廃止)しているように見えてしまいます。
県がこのような「瑕疵」のある計画に対して見直しを求めていないとすれば、県は廃棄物処理法の規定に基づく県の責務を果たしていない(県に対する国の技術的援助も拒否している)ことになります。
このブログは沖縄のごみ問題を扱っているブログですが、ごみ問題は「地方自治の問題」と直結しています。また、「基地の問題」とも繋がっています。したがって、沖縄県としては組合に対して計画の見直しを求める(国の技術的援助に基づく市町村に対する適正な技術的援助を行う)必要があると考えます。
※沖縄県において県の計画を上位計画としてごみ処理計画を策定している市町村は結果的に「県の計画に従っていれば問題はない」という考え方をしていることになりますが、県の計画に従わずに溶融炉を休止(廃止)している中城村北中城村清掃事務組合は、このままでは住民に対して「虚偽」のあるごみ処理計画を策定していることになると考えます。
市町村がごみ処理施設を整備する場合は一部の例外を除いて国の補助金を利用することになります。一般的には環境省の補助金を利用することになりますが沖縄県の場合は他の都道府県よりも防衛省の補助金を利用する場合が多くなります。
そこで、環境省の補助金と防衛省の補助金の違いを整理してみました。
環境省の場合は設備の処分制限期間は7年で防衛省の場合は10年になっています。したがって、この期間を過ぎるまでに補助事業を休止又は廃止した場合は設備のために利用した補助金と建物のために利用した補助金(残りの部分)を返還しなければなりません。また、設備の処分制限期間を過ぎても建物の処分制限期間を過ぎていない場合に補助事業を休止又は廃止する場合は建物のために利用した補助金(残りの部分)を返還しなければなりません。
なお、環境省の場合は加重平均耐用年数という特例があるため、経過年数が15年から20年を超えると補助金の返還義務はなくなります。しかし、防衛省の場合はそのような特例はないので、50年間は補助金の返還義務が残ります。
もう1つ、国の補助制度には包括承認事項という特例がありますが、これは全省庁共通の特例になっています。ただし、ごみ処理施設に対してこの特例が適用されることはほとんどありません。なぜなら、包括承認事項が適用されるのはその地域においてその施設が不要になっている場合(過疎化や市町村合併等により不要になっている場合)に限られるからです。
この包括承認事項については国や県の職員であっても十分に理解していない場合が多いので、市町村の職員は注意が必要です。
※中城村北中城村清掃事務組合は供用開始から10年を経過した平成26年度からごみ処理施設の整備(焼却炉の長寿命化や更新等)に当って国の補助金を利用しないごみ処理を実施していますが、同組合のごみ処理施設は防衛省の補助金を利用しています。したがって、同組合が建物の目的外使用を行う場合(溶融炉を休止又は廃止する場合等)は建物を整備するために利用した補助金のうち40年分を返還することになります。
国内において70%以上の住民が溶融炉に依存している都道府県は沖縄県だけです。その理由はどこにあるのか?
このブログの管理者は内地からの移住者ですが、結果的に今は溶融炉に依存して暮らしています。しかし、内地で暮らしていたときは溶融炉に依存しない暮らしをしていました。
そこで、移住者なりに沖縄県民の多くが溶融炉に依存している理由を調べてみました。
先祖代々沖縄で暮らしてきた沖縄県民の皆様にとっては不愉快な理由になると思いますが、当らずとも遠からずのはずです。
なお、このブログの管理者は内地の人間も沖縄も人間も同じ日本人だと考えています。そして、日本人が日本人の問題点を指摘する場合は問題を解決するための代替案を提示する義務があると考えています。
なので、日本人の礼儀として、最後に代替案を提示しておきます。