9.11について

2001年の9.11事件や、その他色々な感想、思い、などを書いていけたらなと、思っています。

9.11について <世界恐慌への序章 最後のバブルがやってくる それでも日本が生き残る理由> 岩本沙弓 著2012年4月 その2

2018年05月04日 | 日記
とあるスナックで

小林
それでは続きを読んでいきましょう。 p-181


・・・。
しかし、日本の場合はもともと海外からの資金が大量に入ってきているわけではありませんので、慌てて海外へと逃げ出す資金が物理的にありません。むしろ、経済的なダメージが発生すると、「国内の一大事に海外へと投資をしている場合ではない!」という状況になり、通常は日本から海外へと貸し出されている資金が、日本国内に向かって戻ってきます。東日本大震災の際に発生した円高が、その何よりの証拠です。生命保険会社や損害保険会社は海外資産を売って、国内の支払いに振り向けなければなりません。実際に海外資産の売却がなかったとしても、「日本が世界最大の投資家である」ことは日本以外の投資家の間では常識です。日本人が海外資産を売却するのではないかという思惑が働いただけでも、円高に振れる理由に十分なり得ます。日本が債務国であれば、国難に見舞われると、海外からの投資資金は慌てて日本から逃げ出します。その場合は、円安になってもおかしくはありません。しかし、日本は債権国であるからこそ、円高となります。世界中に資金をどこの国よりも貸しているのは日本であることを忘れると、相場の動きはわからなくなるでしょう。

というわけで、日本は対外純債務国であり、海外から大挙して引き上げられてしまう資金など、もともと国内に存在しないのですから、今の状況では国家破綻になりえません。
これが債権国と債務国の大きな違い、ということになります。

それでもヘッジ・ファンドが大規模な空売りをしてくる可能性があるのでは?という疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし実はサプライム危機以降、ヘッジ・ファンドの経営状況はあまりよろしくありません。積極的に国債の暴落を仕掛けるほど大量の資金がないのです。また、2012年7月からはボルカー・ルールが施工される予定です。これは、商業銀行にたいしてヘッジ・ファンド等への投資・出資を禁ずるものです。これによって、金融機関から巨額の資金を調達して暗躍してきたヘッジ・ファンドは、ますます身動きがとりにくくなるでしょう。その解説をする前に、日本についての基本情報をもう少しだけ確認していただければと思います。

日本の財政破綻の可能性は極めて小さい

日本は過去20年間、ひたすら経済が低迷している状況ではないか。それがどうして債権国であり続けられるのだろうか、と疑問を持たれるのも当然です。しかし、我々が感じる景況感は多かれ少なかれ既存のメディア報道に影響を受けますので、ずっと悪い悪いといい続けられると全てが悪いような錯覚に陥られるかも致し方ありません。例えば、日本の大手企業は2006年に株価が上昇し、社内留保も格段に増えた状況がありました。確実に景気は回復していたはずなのに、一般には給料は上がらず、派遣切りなどもあり、これでは景気は悪くなる一方という感覚になります。しかし、正確な数字を追いかけていくと、往々にして感覚と実態にはズレが生じているものです。

最新の日本の対外的な貸し借りの状況は、財務省が発表する「本邦対外資産負債残高の概要」でも確認することができます。左の図表19のグラフを見てもわかりますが、日本の対外純資産は公表されている期間を通じて右肩上がりに増加しています。つまり、国内での貸し借りをしてもまだ余っている資金が海外への貸出しとなり、それがひたすら増え続け、2010年のデータでは何と251兆円もの資金を海外に貸し出しているのです。
給与は上がっていないし、企業が儲かっているという話も耳にしません。それなのに日本はいったいどこでそんなに儲かっているのかと思われるでしょう。
日本の収支がプラスになるためには、対外的な経済取引の総和がプラスになっていなければなりません。モノ(財)の取引である貿易収支、サービス収支、あるいは海外資産の生み出す利子所得や配当などを示す所得収支などの合計がプラスとなっているか。これら複数の収支項目を合計したものが経常収支になりますが、左の図表20のように、日本の場合は長期間、この経常収支が黒字で推移しています。特に所得収支はここ数年毎月1兆円前後の黒字で推移しています。2011年は貿易収支が31年ぶりに赤字に転落しましたが、所得収支のプラスで補って余りあるほどで、結果的に経常収支はプラスとなりました。



コー
なるほどね。だからすぐに日本は国家破綻にはならないという事か。 p-190

・・・・。
海外から資金を借りているのか、それとも海外へと資金の貸出しをできる立場なのか。そこには雲泥の差があるのですから、債務国であるギリシャやイタリアと債権国である日本を同じステージで語るのは意味がありません。
それでも債務国と我が国をどうしても同列で語りたいならば、国家破綻するまでには、次のステップを踏む必要があります。逆にこのステップを踏まなければ、国家破綻にはたどり着けません。

(1)日本国民が国債を買うのをやめ、買い手が国内に誰もいなくなった状態となる。

(2)更に日本政府が調達しようとする資金に不足が発生する一方で、今現在、発行残高の5%程度しか日本国債を所有していない海外の投資家たちがどんどん日本国債を買い進め、デフォルトした国々同様、海外の投資家が全体の50%~70%を保有するような状況になる。

(3)海外投資家が相当量の日本国債を買い込んだ後に、彼らが一斉に日本国債を売り出したくなるような経済危機が日本を訪れる。


果たしてこのような状況になるまで、何年かかるでしょう。少なくともこれまでの20年間で(1)の状態になることすら起きていないのです。今後の1年や2年でそういった状況が突然発生するとは考えにくいのです。

家計も企業も借金をしない、それどころか貯蓄が有り余っている。その貯蓄を基に政府が国債を発行して、結果的に財政赤字が発生しているという側面があるのです。本当の意味での財政赤字で四苦八苦しているならば、海外に250兆円余りもの資金を提供する余裕などありません。



小林
この本の著者、岩本沙弓は、かつて銀行の短期金融市場取引を中心にトレーディング業務に従事していたようですね。

なるほど日本が財政破綻するかどうかは、上の3項目をチェックしなければならないということですか。いろいろ勉強になりますね。
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9.11について  <世界恐慌への序章 最後のバブルがやってくる それでも日本が生き残る理由> 岩本砂弓 著 2012年4月 集英社

2018年05月04日 | 日記
とあるスナックで

小林
この人のこの本は、日本は簡単には財政破綻しないと、分かりやすく書かれていますね。カイル・バスもこの本を読んでいれば、よかったんでしょうか。  p-177

第7章 「日本国債暴落論」は間違っている

純債務国と純債権国の立場は全く違う

現在、私自身はディーラー業務からが足を洗い、こうして執筆活動に勤しんでいるわけですが、現場にいる頃には当たり前とされていたことが市場取引外の世界ではずいぶんと違った解釈をされていることに驚きを覚えます。その最たるものが、「日本の財政破綻」説でしょう。
日本国債は95%程度を日本人が保有(2011年12月末)しており、言わば家庭内で資金のやりとりをしているようなものです。親(国)が子供(国民)からお金を借りているような状況を指して、ディーリング・ルームではよく、「親子麻雀をしているようなもの」とたとえられていました。もちろん、親子の貸し借りだから問題がないというわけではありません。いったい親は子供から借りたお金を何に使っているのか、使い途に無駄はないのか。生活費と思って渡していたのに遊興費に変わっていた、などということがないように注視することは必要です。ただ、消費者金融(国外)からお金を借りている状況と家庭内(国内)での貸し借りでは話の次元が違うという認識です。

そして、日本の場合は親子間(国内)で貸し借りをしてもなお余剰資金があるので、それが恒常的に海外への貸出に回っている状態です。つまり、国家間で見れば日本のほうこそ対外的には消費者金融業者の立場であり、お金を貸した相手が資金を返さないならば耳を揃えて返すようにと強気に出られる状況でもあるわけです。貸す側と借りる側ではそれほどまでに立場が違うわけです。しかも日本国債の場合は自国通貨建て(=円)ですから、いざとなればお札が刷れる状況にあります。95%の保有率と円建てであることから「デフォルトは考えられない」と、当の財務省ですら2002年に外国格付け会社宛意見要旨で、はっきりと述べています。しかし、国家破綻の前提となるこれらの点が曖昧にされているので、どうやら日本国民のほとんどはすっかり誤解させられているようです。

債務国でなければデフォルトできない

基本中の基本の考え方として、「海外からの借金で成り立っている国」なのか、「自国内で収支を賄えている国なのか」で話は180度変わってきます。純債権国と純債務国では、かたや資金の貸し手であり、かたや資金の借り手の話なのですから、立場が逆である以上、話も別と考えてください。
これまで国家破綻あるいは現在その可能性を示唆されている国として、ロシア、アルゼンチン、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、などがあります。これらの国は国家予算における海外からの借金の比率が50%~70%を占める対外純債務国です。海外からの借金が返せなくなる、あるいはその可能性があるのではないかと思われた瞬間から、当該国の通貨は為替市場で売られます。その結果、急激な通貨安に見舞われ、海外からの投資資金があっという間に国外へと退散していきます。これまでデフォルト(債務不履行)を起こしたロシアでもアルゼンチンでも、財政赤字懸念から通貨安となるのは、財政赤字の大部分を、言わば海外の投資家に補填してもらっているからです。

例えば、米国の投資家が利回りがよいA国の債権を買っていたとしましょう。A国は税収が少ないため、米国の投資家からお金が入ってこないと公務員の給与も払えません。身近な生活では、ごみの収集などもできないかもしれません。しかし、いったんA国にお金を貸していられないような状況が生まれると、米国の投資家はA国の国債を直ちに売り、A国の通貨で受け取った資金を慌てて米ドルに戻すという作業をします。

実際にロシア通貨危機の際には、その直前までは多くのヘッジ・ファンドが円キャリートレードをしてロシアに投資をしていたのです。彼らはまず金利の安い円を調達して、(1)円売り、ドル買いをし、それから(2)ドル売り、ルーブル買いをして(3)ロシアに投資をしていましたので、ロシア危機が発生するとその逆のプロセス、(3)ロシア債権や株を売却ー>(2)ルーブル売り・ドル買いー>(1)ドル売り・円買い が発生したのです。
1998年の10月にわずか2日間で1ドル=130円台から111円台へと20円近くもの円高が進んだのは、ロシアから大慌てで投資資金が撤収されたためです。いかに突然、激変が起こるのかを、実感されることでしょう。
このようにロシアへの投資が国外からであればこそロシア国債が売られ、ロシア・ルーブルが急激に売られて通貨安となってしまったのです。こうなるとロシア・ルーブルを支える資金を誰も提供してくれませんので、ロシアは財政破綻してしまいました。これがロシア危機です。
海外からの借り入れもできず、お金は出ていくばかり。これでは借金で成り立っている国の経済は途端に立ちいかなくなります。ギリシャ危機の際にも投資資金がユーロから流出している、といった記事を目にされたかと思います。

しかし、日本の場合は・・・・・・。(つづく)
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