とあるスナックで
小林
コー
小林
コー
小林
いやーコーさん、きのうはいい天気でしたね。
コー
ほんとだね。いい空の青だったね。実に濃い青だった。空気も気持ちよかったね。
小林
ところで本の続きですが、 p-29
税務署が赤字を計上するという怪
ーーーーー。
そうした疑問を生じさせる事例のひとつが「税務署の赤字」の存在である。税を徴収する税務署がなぜ赤字を計上するのか、疑問に思われることだろう。
先述の湖東氏は、所轄地域に輸出大企業が存在している税務署の課税状況についても国税局発表の資料により調査をしており、輸出還付金額の上位20社に入っているような巨大企業を管内に置く税務署は、軒並み消費税収が赤字となっていることをつきとめている。
とある税務署は消費税収が1000億円を超える赤字になっているが、これは税収としての受け取りよりも還付金の支払いが大幅に上回っているためである。
問題は、大企業が下請けにきちんと消費税分を払っているかということである。
下請け会社は税務署ではないため、権力を持って消費税分の金額を大企業から徴収することができない。
それどころか、大企業に価格支配権を握られているため、円高や海外の競争相手などを理由に消費税分を値切れと言われれば、そうせざるをえず、それが下請け企業の収益の圧迫となっているのである。
消費税は言うなれば、1年の決算を終えた段階で1年間の付加価値(企業が新たに生み出した価値。売上からその売り上げを達成するために調達した商品やサービスの金額を差し引いた金額)に対して事業者にかかってくる税金である。利益ではなく付加価値に課税される税金であるということは経営者にとっては非常に厳しい。つまり、たとえ利益が上がっていなくても納税しなければならないのが、消費税なのである。そもそも消費税は、法的には価格への転嫁が保証されていないものである。消費税法には、価格への転嫁の義務も権利も規定されていないために、消費税分は価格に埋没してしまう、というのが実態だ。こうした厳しい状況のなかで集められた税金が、巨大企業へと輸出還付金という形で渡っている。そのことが赤字の税務署の存在から浮き彫りになってくるのである。
税務署が赤字を計上するという怪
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そうした疑問を生じさせる事例のひとつが「税務署の赤字」の存在である。税を徴収する税務署がなぜ赤字を計上するのか、疑問に思われることだろう。
先述の湖東氏は、所轄地域に輸出大企業が存在している税務署の課税状況についても国税局発表の資料により調査をしており、輸出還付金額の上位20社に入っているような巨大企業を管内に置く税務署は、軒並み消費税収が赤字となっていることをつきとめている。
とある税務署は消費税収が1000億円を超える赤字になっているが、これは税収としての受け取りよりも還付金の支払いが大幅に上回っているためである。
問題は、大企業が下請けにきちんと消費税分を払っているかということである。
下請け会社は税務署ではないため、権力を持って消費税分の金額を大企業から徴収することができない。
それどころか、大企業に価格支配権を握られているため、円高や海外の競争相手などを理由に消費税分を値切れと言われれば、そうせざるをえず、それが下請け企業の収益の圧迫となっているのである。
消費税は言うなれば、1年の決算を終えた段階で1年間の付加価値(企業が新たに生み出した価値。売上からその売り上げを達成するために調達した商品やサービスの金額を差し引いた金額)に対して事業者にかかってくる税金である。利益ではなく付加価値に課税される税金であるということは経営者にとっては非常に厳しい。つまり、たとえ利益が上がっていなくても納税しなければならないのが、消費税なのである。そもそも消費税は、法的には価格への転嫁が保証されていないものである。消費税法には、価格への転嫁の義務も権利も規定されていないために、消費税分は価格に埋没してしまう、というのが実態だ。こうした厳しい状況のなかで集められた税金が、巨大企業へと輸出還付金という形で渡っている。そのことが赤字の税務署の存在から浮き彫りになってくるのである。
コー
消費税は、アメリカが採用している<小売売上税>と日本やヨーロッパが採用している<付加価値税>の二つがあるということか。そして<輸出還付金>のある<付加価値税>の消費税は、けっして公平な税ではないと著者は言っている。p-32
中小企業は消費税を価格に転嫁できていない
輸出還付金だけをとってみても、消費税はまったく公平な税と言えない。
政府も財界も、消費税は最終的には消費者が負担するものだから「特定の者に負担の集中しない公平な税」なのだと主張するが、実態とは大きく乖離している。
もし消費税の負担者が消費者であるとすれば、消費税は消費者が購入する段階で商品やサービスの価格に上乗せすればいいことだ。たとえば消費税3%のときは税込103円だった商品を、税率5%に引き上げられた段階では105円で販売すれば、形式的には消費税分を価格に転嫁できたことになる。
しかし、現実には多くの事業者が消費税を価格に転嫁できていない。前述のとおり、大企業に値切られ、過酷な価格競争に巻き込まれ、自腹を切るような形で消費税分を負担している中小企業が非常に多い。
国立国会図書館財政金融課の加藤慶一氏は、消費税の価格転嫁の実態について論考を発表している。その中でーーーーー。
中小企業は消費税を価格に転嫁できていない
輸出還付金だけをとってみても、消費税はまったく公平な税と言えない。
政府も財界も、消費税は最終的には消費者が負担するものだから「特定の者に負担の集中しない公平な税」なのだと主張するが、実態とは大きく乖離している。
もし消費税の負担者が消費者であるとすれば、消費税は消費者が購入する段階で商品やサービスの価格に上乗せすればいいことだ。たとえば消費税3%のときは税込103円だった商品を、税率5%に引き上げられた段階では105円で販売すれば、形式的には消費税分を価格に転嫁できたことになる。
しかし、現実には多くの事業者が消費税を価格に転嫁できていない。前述のとおり、大企業に値切られ、過酷な価格競争に巻き込まれ、自腹を切るような形で消費税分を負担している中小企業が非常に多い。
国立国会図書館財政金融課の加藤慶一氏は、消費税の価格転嫁の実態について論考を発表している。その中でーーーーー。