とあるスナックで
小林
コーさん、この本を読むとだんだん気が重くなるんですけど。
コー
そうかも知れない。でも現実がコールマンの言っていた通り、心配していた通りに、進んでいるんだ。時間がない。
気が重くなったら、バンドメイドの曲を聴くんだ。元気が出る。
p-61
「世論調査屋が仕掛けるタヴィストック手法」
米国大統領という最高の地位についている人間が、嘘つきで、ペテン師だと暴かれた後も、汚点などさもなかったかのように権力の座に居座っていることこそ、タヴィストック研究所の「長期的浸透」と「心を操る条件付け」の史上類を見ない力が米国民を絡めとっていることを如実に示している。国民は街頭で怒りをぶちまけるでもなく、恐怖に満ちた状況を甘受している始末だ。
ヘンリー・フォードはよくこう言った。「国民は自分たちが手にした政府に見合うものだ」。国民が米国憲法で保障されている権利を行使してそうした政府を排除しなければ、祖国と国民の生活を支配している嘘つきやペテン師の手にかかる破目になる。
その一方で米国民は、タヴィストックの”上級精神科医”を務めたことのあるフレッド・エメリー博士が「社会的な環境じゅう乱」と述べた三つの相の第一相に耐えていかねばならない。エメリーによると、「大人数の集団が激しい社会変化、ストレス、騒乱といった条件を受けると、次のような三段階に分類できる兆候が現れる。
その第一相である(皮相)とは、脅えた集団が薄っぺらなスローガンをつくりだして反応するときに現れる状況である。おまけに、人々はそのスローガンがあたかも理想であるかのように思い込む。この第一相を「不適切な反応」と判断するような「自己投資」はまず起こらない。エメリーが「危機の原因は単独ではないし、確定できない」と述べたように、危機や緊張感は衰えることがなくて支配者の望む限り続くからである。
危機に反応する第二相は<分裂>、すなわち、パニックに襲われて社会的つながりが瓦解する状況を表す。この状況は、きわめて小さな集団に降りかかった危機に対する自己防衛から生まれるものであり、分裂した他の小集団をほとんど、あるいは一切顧みなくなる。この第二相を、エメリーは、危機の真相を見抜けないでいる「受動的不適応」と呼んでいる。
第三相は、誘発された危機とそれにともなう緊張の源から犠牲者が目をそむけることによって生まれる。彼らは「心の内をさすらい、内省し、自我でがんじがらめになった旅を空想する」。これがタヴィストックのいう<分離と自己認識>だ。エメリーの説明によると、「受動的不適応」の反応が「能動的不適応」に結びついたのである。
エメリーは、過去50年にわたる応用社会心理学の実験と、その結果から得られた「危機管理」が米国民の生活の隅々までを支配し、そうした結果がスタンフォード大学などの巨大な「シンクタンク」のコンピュータに蓄積されていると語る。さまざまなシナリオが取り出されて利用され、そのつど状況に応じて改変される。タヴィストックによれば「そのシナリオは現在も進行中」である。
端的に言えば、タヴィストックは米国民の大多数をプロファイリングし、洗脳してしまった。米国大衆のだれにせよ、ここ70年間に故国を襲った危機の原因を特定できれば、タヴィストックによって構築された社会工学的構造は砕け落ちるはずだ。しかしいまだにそれは実現していない。
タヴィストックはみずからが創造した世論の海に米国民を溺れさせている。タヴィストックの社会科学者が発展させた社会工学は、20世紀の二度の大戦、とりわけ第一次世界大戦に武器として使われた。その発展に寄与した世論調査屋はきわめて率直に、敵陣営に仕掛けたのとまさしく同じ工夫や手法を米国民にも仕掛けたことを認めている。
今日、世論調査による世論の操作は、タヴィストックや英米両国に散らばる多数の関連「シンクタンク」で働く社会科学者の仕掛け人や社会工学者の武器として重用されている。
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小林
当然今もそのような世論の操作が行われているということですね。
問題は どの方向に向かって誘導しているかですね。
コー
それは、間違いなく、「 ディストピア 」な世界に向かっている。