田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ジイャン今助けに行くよ イジメ教師は悪魔の顔/麻屋与志夫

2011-10-16 18:24:27 | Weblog
2

わさわさと蛇が重なっていく。
竜になった。
空にとびあがった。
あれはバアチャンたちだ。
ボクのゴセンゾサマだ。
ボクには見える。
見えるんだ。
ひとには見えないものが見える。
あれはゴセンゾサマだ。

これは、ゲームだ。
リアルな世界ではない。
ゲームの世界なんだ。
ここでは、ボクは王だ。
バァチャルな世界の――。
勇者だ。
狼なんかこわくない。
負けないぞ!!
竜がおおきな口から火をふいている。

いいぞ。
いいぞ。

火は狼の群れにむかっておそいかかった。
火はまるで生きているようだ。
毛のやける、いやな臭いがする。
勝平ジイチャンがの中央、釣瓶井戸のそばで戦っている。
日本刀をきらめかせている。
ジイチャンが剣士だというのはほんとのことだった。

すごい。
人狼をきりたおしていく。
ボス狼にむかっていく。
副谷と戦っている。

でも、狼人間は大勢いる。
大勢いる。

「ジイジイ。ボクがいくから。負けないで。ボクも戦うから」

ボクたちの両サイドには蛇がいる。
蛇がボクたちを守っていてくれる。
ジイジイ。
ボクは叫びながら猫たちとつつこんだ。
狼にむかって進撃した。
どう戦えばいいのかボクのからだが知っていた。

超音波の〈声〉と〈気〉人狼の群れにたたきつける。

群れが両サイドに別れる。

そいつらを蛇がおそう。

海を別けて進んだモーゼの気分だ。

ぼくは進む。



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「永六輔 戦いの夏」を見る

2011-10-16 12:49:56 | Weblog
10月16日 日曜日
「永六輔 戦いの夏」を見る
●NHK。とっておきサンデーアンコール「永六輔・戦いの夏」をたまたま見た。
見たといってもラストシーンに近く、携帯を闇で光らせている群衆の場面からだ。
そのあとで、病院帰りのように見受けられたが、街頭でのシーン。
元気な顔をみてほっとした。
あれほどの弁舌家も声がもつれているのにはおどろいた。
やはり病気にはかなわないのだなとおもった。
それでも永さん、意気軒昂。
よかった。
よかった。

●永さんとは、なんどかあっているが、とおいむかしのことである。
名のりあったわけでもない。

●おもしろいことがあった。
河田町のT病院で5年ほどまえにすれちがった。
向こうでも「あれ……どこかで……会ったかな」というような表情をしてくれた。
なつかしかった。
モノカキは仲間の臭いがわかるんだ、とカミサンに得意になってはなしたものだ。
こちらはこのまま朽ち果てようとしている、売れない作家だ。
すれちがうときの、永さんのちょっとした視線にはげまされたおもいだった。

●もうひとつ。
南千住で「人間座」を主宰しているIさんが永さんと親交がある。
彼が出す芝居のパンフレットに軽妙なコメントを永さんは寄せている。
Iさんとは「21世紀の会」いらいの仲だから、ずいぶんながいつきあいになるなぁ。
ことしは、「人間座」の公演をみにいけなかった。
ざんねんだ。

●ひとはかならず、老いる。
友だちにも、不義理をしてしまう。
Iさん。
ゴメン。
らいねんはかけつけるからね。
えっ、おまえ、まだ走れるのか。
アヤ。
ことばの綾だよ。
ごめん。
ごめん。

●わが家の大谷石の塀の外にハコネウズキの枝がのびている。
その枝にカラスウリがなっている。
同じツルの同じ場所に、赤く色づいたものと青いままのカラスウリがなっている。

    

●わたしはふとたちどまった。
赤く熟れた実はつややかにかがやいていた。
わたしはその光沢のある実にともだちの顔をだぶらせていた。
作家や画家。
実業家として成功したともだち。

●わたしは青い。

    

いつまでも青いことばかりいっている。
世間智にたけたものにはいつもだまされている。
わたしは青い。
いつまでも青春していて、ビタースィートの小説ばかりかいている。
おとなをこわがらせるような、恐怖小説がかけない。
大人の読者をうならせるような推理物がかけない。
青い。
未熟。

●田舎町でほそぼそと「アサヤ塾」という学習塾をやって食いつないでいる。

●カミサンを旅行につれだしたこともない。

●北関東の小さな田舎町の裏路地の古い家のホリゴタツでまいにちブログ小説をかいている。

●これからだって青いままなのだろう。
熟することはないだろう。
秋風にかすかにゆれるカラスウリを見ながらかんがえていた。

    

●玄関のカギをかけているカミサンの気配がする。
カチカチとカギを閉めている。

●「おまたせ……」カミサンのハズンダ声。
買い物かごを手にしている。

●「なにみてたの……」



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ご先祖様の助け イジメ教師は悪魔の顔/麻屋与志夫

2011-10-16 08:07:32 | Weblog
第九章 翔太の戦い。翔太――ボクの視線。

 義なる者の角は高められるのです。
                               詩編 七十五 

1
 
 ボクはおどろいた。
 
 ミュウとムックが仲間を呼び集めた。
 
 猫族ってすごいな。
 
 いざとなれば、ヤッパ、群れで戦うんだね。
 毎晩、猫の集会をひらいている。
 地域の情報を共有している。
 なにかあればすぐに仲間のすみずみまで伝わっていく。
 そして助け合う。りつぱよ。
 猫が動き回れるのは、せいぜい500めえとるくらい。
 そんなのうそだ。
 みてよ。この猫の大群。
 
 ボクはうれしくなった。
 ミュウとムックはボクの家来だ。
 ボクはサムライだ。
 ミュウとムックを従えた。
 侍大将だ。狼の群れにむかった。
 
 前進した。
 なにもこわいものなんかない。
 
 このとき、並バアチャンの声が頭にひびいた。
 会うことはなかった貞子バアチャン。
 そしてそのバアチャン。
 大勢の女の人の声がする。
 ボクらを励ましてくれている。ゴセンゾさまの声だ。
 翔太。声を使いなさい。あいつらはボーイソプラノが嫌いなの。
 翔太の高い声に弱いのよ。
 
 勝平。誠。翔太。
 わたしたちも共に戦うからね。


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