奥様はバンパイァ 56
○人狼のアギトがグワッと眼の前にせまった。
もう鞭が振るえない。
腕がしびれていた。
鞭をとりおとした。
玲加は腕をつきだした。
ノドへの攻撃さえ守ればまだいきられる。
ノドを噛みちぎられたら‼ 死ぬ。
もうダメだぁ。
突きだした両腕がはらわれた。
よこからだれかとびこんできた。
その背中は‼
「彼女になにをする‼ 玲加にげるんだ」
声はクラスメートの武のものだった。
「武。なにしてるの」
「おれ、玲加のオッカケだから」
「ゲッ。ストーカー?? ……なの」
「なにいちゃついている。章夫さんの弟だからってジャマすれば噛むぞ」
「玲加‼ ブジダッタ」
助かった。
MとGも助けにきてくれた。
助かった。
その思いだけで、玲加は声もだせなかった。
目の前が暗くなった。
○「わたしのときと似ている。吸美族の女が人間と結婚してうまくいくはずがな
い。だいいちヒトは歳をとる。わたしたちは歳をとらない。いや非常にゆっくりと
だが歳はとる。昔の記憶に支配されている。話が合わないだろう……反対だ。Gの
けっこんには反対だ。それでもわたしはGと結ばれることを選んだ。子どもまでう
まれた。孫までいる。玲加にもわたしと同じ道をすすませてあげて」
Gの声が目覚めかけた玲加のみみにきこえてきた。
「玲加がこの犬飼武を愛しているかどうか、まだなにもきいていない」
武がつかまっているらしい。
武の匂いがする。
武の息遣いがすぐそばでする。
ディンティベス


pictured by 「猫と亭主とわたし」
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○人狼のアギトがグワッと眼の前にせまった。
もう鞭が振るえない。
腕がしびれていた。
鞭をとりおとした。
玲加は腕をつきだした。
ノドへの攻撃さえ守ればまだいきられる。
ノドを噛みちぎられたら‼ 死ぬ。
もうダメだぁ。
突きだした両腕がはらわれた。
よこからだれかとびこんできた。
その背中は‼
「彼女になにをする‼ 玲加にげるんだ」
声はクラスメートの武のものだった。
「武。なにしてるの」
「おれ、玲加のオッカケだから」
「ゲッ。ストーカー?? ……なの」
「なにいちゃついている。章夫さんの弟だからってジャマすれば噛むぞ」
「玲加‼ ブジダッタ」
助かった。
MとGも助けにきてくれた。
助かった。
その思いだけで、玲加は声もだせなかった。
目の前が暗くなった。
○「わたしのときと似ている。吸美族の女が人間と結婚してうまくいくはずがな
い。だいいちヒトは歳をとる。わたしたちは歳をとらない。いや非常にゆっくりと
だが歳はとる。昔の記憶に支配されている。話が合わないだろう……反対だ。Gの
けっこんには反対だ。それでもわたしはGと結ばれることを選んだ。子どもまでう
まれた。孫までいる。玲加にもわたしと同じ道をすすませてあげて」
Gの声が目覚めかけた玲加のみみにきこえてきた。
「玲加がこの犬飼武を愛しているかどうか、まだなにもきいていない」
武がつかまっているらしい。
武の匂いがする。
武の息遣いがすぐそばでする。
ディンティベス


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