―「昨日の記事(226)」を書き直します。―
(01)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也=
① 不[好〔犯(上)〕]而好〔作(乱)〕者、未(之有)也⇒
① [〔(上)犯〕好]不而〔(乱)作〕好者、未(之)有也=
① [〔(上)を犯すことを〕好ま]ずして〔(乱を)作すこと〕好む者は、未だ(之れ有ら)ざるなり=
① 目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、3頁)。
然るに、
(01)により、
(02)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也。
に於いて、
① 之=不好犯上而好作乱者
然るに、
(03)
否定文で、目的語が代名詞である時は、「否定詞+O+V」となり、肯定文の(V+O)とは異なる(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、4頁)。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① 未有不好犯上而好作乱者。
に於ける、
① 不好犯上而好作乱者
といふ「文」が、
① 未有 の上に、「倒置(強調)」された「形」が、
① 不好犯上而好作乱者、未之有也。
である。といふことになる。
然るに、
(05)
(α)
1 (1)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} A
1 (2)∃x~∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 1量化子の関係
1 (3)∃x∀y~{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 1量化子の関係
4(4) ∀y~{上ay→(~好犯ya&好乱ya)} A
4(5) ~{上ab→(~好犯ba&好乱ba)} 4UE
4(6) ~{~上ab∨(~好犯ba&好乱ba)} 5含意の定義
4(7) ~~上ab&~(~好犯ba&好乱ba) 6ド・モルガンの法則
4(8) ~~上ab 7&E
4(9) 上ab 8DN
4(ア) ~(~好犯ba&好乱ba) 7&E
4(イ) ~~好犯ba∨~好乱ba ア、ド・モルガンの法則
4(ウ) ~好犯ba→~好乱ba イ含意の定義
4(エ) 上ab&(~好犯ba→~好乱ba) 9ウ&I
4(オ) ∀y{上ay&(~好犯ya→~好乱ya)} エUI
4(カ)∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)} オEI
1 (キ)∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)} 14EE
(β)
1 (1)∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)} A
2 (2) ∀y{上ay&(~好犯ya→~好乱ya)} A
2 (3) 上ab&(~好犯ba→~好乱ba)} 2UE
2 (4) 上ab 3&E
2 (5) ~好犯ba→~好乱ba 3&E
6 (6) ∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} A
6 (7) ∃y{上ay→(~好犯ya&好乱ya)} 6UE
8(8) 上ab→(~好犯ba&好乱ba) A
2 8(9) ~好犯ba&好乱ba 48MPP
2 8(ア) ~好犯ba 9&E
2 8(イ) 好乱ba 9&E
2 8(ウ) ~好乱ba 5イMPP
2 8(エ) 好乱ba&~好乱ba イウ&I
26 (オ) 好乱ba&~好乱ba 78EE
2 (カ)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 6オRAA
1 (キ)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 12カEE
―「別解」―
(α)
1 (1)~∀x{上x→ ∃y(~好犯yx&好乱yx)} A
1 (2)∃x~{上x→ ∃y(~好犯yx&好乱yx)} 1量化子の関係
3(3) ~{上a→ ∃y(~好犯ya&好乱ya)} A
3(4) ~{~上a∨∃y(~好犯ya&好乱ya)} 3含意の定義
3(5) ~~上a&~∃y(~好犯ya&好乱ya) 4ド・モルガンの法則
3(6) ~∃y(~好犯ya&好乱ya) 5&E
3(7) ∀y~(~好犯ya&好乱ya) 6量化子の関係
3(8) ~~好犯ba∨~好乱ba 7UE
3(9) ~好犯ba→~好乱ba 8含意の定義
3(ア) ∀y(~好犯ya→~好乱ya) 9UI
3(イ) ~~上a 5&E
3(ウ) 上a イDN
3(エ) 上a&∀y(~好犯ya→~好乱ya) アウ&I
3(オ) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)} エEI
1 (カ) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)} 23オEE
(β)
1 (1) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)} A
2 (2) 上a&∀y(~好犯ya→~好乱ya) A
2 (3) ∀y(~好犯ya→~好乱ya) 2&E
2 (4) ~好犯ba→~好乱ba 3UE
5 (5) ∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)} A
5 (6) 上a→∃y(~好犯ya& 好乱ya) 5UE
2 (7) 上a 2&E
25 (8) ∃y(~好犯ya& 好乱ya) 67CP
9(9) ~好犯ba& 好乱ba A
9(ア) ~好犯ba 9&E
2 9(イ) ~好乱ba 4アMPP
9(ウ) 好乱ba 9&E
2 9(エ) ~好乱ba&好乱ba イウ&I
25 (オ) ~好乱ba&好乱ba 89エEE
2 (カ)~∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)} 5オRAA
1 (キ)~∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)} 12カEE
従って、
(05)により、
(06)
(α)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx& 好乱yx)}
(β) ∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)}
に於いて、
(α)=(β)である。
従って、
(06)
(α)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx& 好乱yx)}
(β) ∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)}
に於いて、すなはち、
(α)すべてのxと、あるyについて、xがyの目上であるならば、yがxに逆らふことを好まずして、yがxに乱を起こすことを好む。といふことはない。
(β)あるxと、すべてのyについて、xがyの目上であって、yがxに逆らふことを好まない、のであれば、yはxに乱を起こすことを好まない。
に於いて、
(α)=(β)である。
従って、
(01)(06)により、
(07)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也=
① 不[好〔犯(上)〕]而好〔作(乱)〕者、未(之有)也⇒
① [〔(上)犯〕好]不而〔(乱)作〕好者、未(之)有也=
① [〔(上)を犯すことを〕好ま]ずして〔(乱を)作すこと〕好む者は、未だ(之れ有ら)ざるなり=
① 目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、3頁)。
といふ「漢文(論語、学而、二)」は、
② ~∀x∃y{上xy→(~好犯yx& 好乱yx)}
③ ∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)}
といふ「述語論理」に、相当する。
従って、
(07)により、
(08)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也。
② ~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)}。
③ 目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(09)
述語論理は人工知能が対象とする問題を記述する上で強力な表現手段を提供しています。記号論理は人工知能の分野における「言語」としての役割も果しています(村上・泉田研究室 AI (人工知能) - 画像処理・理解研究室)。
との、ことである。
然るに、
(10)
現在、世界の言語の百科事典といわれているEthnologueによると、世界中では現在7,099の言語が話されています。膨大な数の言語数ですが、驚くことに世界には70億人もの人口がいるのに、半分以上の人々はたった23の言語しか話していません。「7,000もの言語があるのに」です(世界を言語の数から読み解くおもしろさ | tree)。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
例へば、「目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない(論語、学而、二)。」といふ「命題」を表現できる、「世界中の言語」の中で、「最もユニーク」なのは、「述語論理(コンピューターの言葉)」である。
といふ、ことなる。
然るに、
(12)
自然言語の外国人むけの教科書は、まず「こんにちは!」「ありがとう」のような簡単な言葉(ネイティブスピーカーの子供でもわかる言葉)から入る。いっぽう、漢文は自然言語ではなかった。また「聞いて話す」音声言語ではなく、「読んで書く」ための書記言語である(加藤徹、白文攻略 漢文ひとり学び、2013年、8頁)。
とのことであり、もちろん、「述語論理」の場合も、「会話」をすることは、出来ない。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也。
② ~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)}。
③ 目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない(等の、世界中の、7,099の言葉)。
の中で、「最も、ユニークなの」は、一番が「述語論理」であって、二番が「漢文」である。といふ、ことになる。