諦めない教育原理

特別支援教育は教育の原点と聞いたことがあります。
その窓からどこまで見えるか…。

12 昇降口

2019年04月10日 | エッセイ

スクールバスのステップを 久しぶりの学校を期待するように知的障害部門の女の子が下りてくる。

見慣れた顔の担任を見つけると駆け寄り、腕にほほを寄せる。そして顔を見上げる。

手をつなぐことを担任に強要?して、昇降口の方に半ばスキップで向かう。

そして靴を上履きに履き替えるための腰掛にスムースに座る。この習慣を春休み中に忘れていなかったことに喜んで、担任が拍手する。

担任と出した上履きはおニューで、ちゃんと踵にピンクの紐で輪がつけられている。(これに指を引っ掛けて踵を入れる)保護者の用意も周到だ。

少し興奮してか、上級生の大きな子とぶつかってもまだ気分は上気しているようで、担任を置いて教室の方に向かってしまっている。

 

この子の小学部4年生が始まる。


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11 健康な学校#4 授業の流通

2019年04月07日 | 健康な学校
(写真)メンタルヘルスの先生が、「たまには仕事を忘れて、ハイキングでも行くといいです」なんてよく言われますが、新緑の径を歩くとそれは本当のようです。


 総合的な学習が始まった時、ある大学の付属小学校を見学した。
それぞれの教室の様子は廊下から覗いてもバラエティーに富んでいて面白い。

 あるクラスは、田植えの準備、あるクラスは模型飛行機づくり、あるクラスは模造紙に恐竜を大きく描いたりしている。
 付属ということもあるのかもしれないが、エネルギッシュで個性的だと感心した。
 子ども達は興味津々、集中を超えて熱中している。違う授業なのだが何か共通したいい表情だ。

 特別支援学校でも時々こういう状況が起きる。別に意識して申し合わせている訳でもないが、それぞれ別のクラスが同時に充実した授業を行っている学年やグループがあるのだ。


 優れた授業をするのは授業のうまい教員が行うのだがら、個々全員が研鑽をつんで授業の名人を目指すべきである、と一般に考える。
 優れた先行実践にを研究したり、進んで研究授業をおこなったりする。それを怠らないように努力する。

 ところが、ある時、授業のイマジネーションの源は蓄積した知識だけでないことに気が付く。他のクラスや他の学年の授業の「感じ」である。それは、具体的なテクニックや教材だけではない刺激のようなものも含む。

 研鑽を積むことで授業がうまくなる方向を縦とすると、授業の内容や雰囲気や熱意を共有しながら授業が充実していく横方向も大きいと感じる。
 別の言い方すすれば、縦方向による「授業の蓄積」と横方向の「授業の流通」とが両輪となって学校全体の授業力は向上する。
(つづく)




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10 学級びらき

2019年04月03日 | エッセイ
(写真)山小屋から見た朝焼け。

 始業の日からの3日間を「黄金の3日間」と小学校の先生たちの間でいう。この3日間で学級の1年間のマインドセットをプレゼンするのである。
 前夜緊張で寝られなかった子ども達をまずはほっとさせ、次に見通しを持たせ、3日目にはこれからの挑戦にワクワクできるよう。
 見事な学級びらきができる先生が日本中に大勢いるに違いない。

 新しい1年がはじまる。

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