旨い処探索同好会

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読書 その十六 牛

2011年01月16日 17時22分10秒 | 読書 (国吉康雄、回顧展カタログの翻訳)
牛は、この初期の作品の中で特に目立った役割をしました。 クニヨシは、2~3年の間に
60匹の牛の素描や絵を描いたと推定しています。 彼のタイトルは、創意に富んだものでした:
”行きたくない子牛”、 ”問題の多い牛”、 ”三匹の牛とたった一匹だけの子牛”。
この牛への固着の説明のなかで、彼は”牛の年”に生まれたと言います、日本では各年に星座の
動物を与えている事実を引用しています、従ってイノシシの年、トラの年、エトセトラ。

「私は、面白くしようとはしていませんでした、」と彼は最近になって書いていました。
「でもみんなは、私がそうしたと思っていました。 私は牛を描いて、そしてその時の牛は
何故ならばどう言う訳か牛を大変身近に感じていたからです。 それに私は、牛を理解している
と考えていました。 つまり私は、どちらかと言うとウシ王国によって導かれ審判され生まれた
のです。 その上さらに私は、牛に興味を持っていました、何故ならば牛は不恰好ですが装飾的だからです、そこで私は疲れきるまで繰り返して牛を描きました。」「馬は傑出した動物です、」
彼は語ります、「しかし牛は変則的です。もっといろんな事が出来ます。」


Little Joe with Cow. Oil (28 x 48 in) Collection Mr. Wright Ludington

The cow played a particularly prominent role in this early work. Kuniyoshi
estimates that he painted or drew sixty cows in two or three years. His titles were
inventive: "The Calf Doesn't Want to Go," "The Troublesome Cow," "Three
Cows with Only One Calf." In explanation of this cow fixation, he says that he
was born in a "cow year," referring to the fact that in Japan each year is given to
an animal of the zodiac - hence the Year of the Boar, the Year of the Tiger, etc.
"I wasn't trying to be funny," he wrote recently, "but everyone thought I was.
I was painting cows and cows at that time because somehow I felt very near to
the cow. Besides I thought I understood the animal. You see I was born, judging
to be guided, more or less, by the bovine kingdom. Also I was interested in the
cow because I thought it decorative as well as ugly and so I painted cows con-
stantly until I was exhausted." "The horse is a splendid animal," he says, "but
the cow is irregular. You can make more out of it."


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読書 その十五 夢

2011年01月16日 08時47分25秒 | 読書 (国吉康雄、回顧展カタログの翻訳)
クニヨシが、1920年にリーグを去った後の最初の作品群は、主にメイン(州)を拠点にした
もので、 パーキンス・コーヴのにぎやかな生活、そこではアーティストと漁師が隣り合って
暮らし、あるいは村や農場の生活でした。 作品はブルーゲルに似たような色々な物への
関心を、人、動物、家、ボート、近辺の鳥瞰図の一種のように表していて、全ての事に対し
純粋無邪気でユーモアに富んだ好奇心でいっぱいでした。

画家の生命の全ての形への関心、最も微細なものまで~蛇と鳥、花と草~伝統的な日本の
芸術を思い浮かべます。こういった絵画の最もオリジナルな幾つかに、作品”夢”のように、
人物、動物と風景が自由で夢のような連想でまとめられています。 このような主題は
カンペンドンクやシャガールの絵を思い浮かべます、クニヨシは彼らの作品を複製を通して
知っていました;しかしそれらの描写はまったく個人的なものでした。



ヤスオ・クニヨシ
"The Dream" 1922, Oil on Canvas (19 3/4 x 30 inch)
Collection Mrs. Edith Gregor Halpert.
(訳註: イーディス・グレゴル・ハルパート 画商(1900-1970)
1926年にグリニッチ・ヴィレッジにダウンタウン・ギャラリーを創立、
ニュー・ヨークの近代美術館創立者の一人、アビイ・ロックフェラーと交流。

Kuniyoshi's first paintings after he left the League in 1920 were mostly based
on Maine - the busy life of Perkins Cove, where artists and fishermen lived side
by side, or the life of the village and the farm. They showed a Bruegel-like inter-
est in all kinds of things - people, animals, houses, boats -- a sort of bird's -eye
view of the neighborhood, filled with a naive and humorous curiosity about
everything going on. The artist's concern with all forms of life, down to the most
minute - snakes and birds, flowers and weeds - recalls traditional Japanese art.
In some of the most original of these pictures, such as The Dream, figure, ani-
mals and landscape were combined in a free, dreamlike association. Such sub-
jects remind one of Campendonk and Chagall, whose work Kuniyoshi knew
through reproductions; but their imagery was entirely personal.


ピーテル・ブリューゲル
Pieter Bruegel (1525? Netherlands - Sept. 9, 1569)
"The Harvesters" 1565, Oil on Wood


ハインリッヒ・カンペンドンク
Heinrich Campendonk (Nov. 3, 1889? Krefeld, Germany - May 9, 1957)
”大きな風景” 1918~1920年頃、 メルツバッハーコレクション


マーク・シャガール
Marc Chagall (July 7, 1887 Liozna, Belarus - March 28, 1985)
"The Dream" 1939, Phillips Collection)
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