六本木に未だにハーディー・バラックスがあるのを、最近まで知らなかった。現在は「赤坂プレスセンター」と名を変えているが、アメリカ陸軍の基地に変りはない。以前に比べれば敷地はかなり縮小されたが、青山公園に匹敵するか、それよりも多いほどだ。おまけにヘリポートが依然としてある。独立国の日本の、このような場所に外国の基地を置いておいていいのか。一日も早く返還を求め、それを売却すれば、東北や九州の復興費を賄ってもかなりの金額が残るのではないだろうか。国が駄目なら、新しい都知事に動いて頂きたい。
当時、私のボスであるハワイ出身のアメリカの軍属氏にこのハーディー・バラックスの将校クラブでステーキ・ディナーをご馳走になったことがある。夏だったので、ズボンと開襟シャツで行った。予約していた席に案内されると、ボーイが深刻な顔つきで私を招待してくれた軍属氏にささやいた。彼は「この将校クラブは服装がうるさくて、きちんとした軍服かスーツじゃなければ駄目だと云われた。だけど、ネクタイを締めれば、今回はいいらしい。今ネクタイを持ってくる」と私に説明した。ボーイが貸してくれた野暮ったいネクタイを締めると、スコッチウィスキーの水割りがテーブルに置かれた。私はアルコール類に弱いので、それほどありがたいとは思わなかったが、当時の日本の酒飲みたちの垂涎の的とも云える本物の、それも上等のスコッチウィスキーだった。
見たことも、食べたこともないようなTボーン・ステーキが運ばれてきた。「レアー」「ミディアム」、或いは「ウエルルダン」かを聞かれたようだったが、何のことか理解出来なかった。日本の一般家庭では、食料が豊富になり、終戦直後とは比べようもなく豊かになったが、アメリカの食生活には到底及ばなかった。今でこそ、「ミディアム・レアー」と躊躇なく注文出来るが、学校を出て間もないころは、その言葉すら知らなかった。その当時、我が家でもステーキを年に一度か二度ぐらいは食べさせて貰っていたが、フライパンでただ焼くだけで、好みの焼き具合など無視されていた。
次に困ったのは、「大きさは?」と聞かれた。「10オンス」、「12オンス」、「1ポンド」と聞かれても全く見当がつかなかった。常識的に1ポンドは約450グラムであることぐらいしか理解出来なかった。「君は若いから1ポンドぐらい平気で食べられるだろうが、他の料理があるから12オンスぐらいが適当だよ」と軍属氏がアドバイスをしてくれた。それに従った。デザートのアイスクリームを食べ終わるころにはベルトを緩めたいほどだった。桃のパイとコーヒーを勧められたが、入る余地はなかった。非常に心残りがした。ラウンジに移り、一休みしたところで、桃のパイとコーヒーが改めて届けられた。その美味しさと云ったら何に例えればいいか見当もつかなかった。
以下の写真は、今は鬼籍にいる中学時代からのユニークな友人と撮影に行った時の佐島の夕景である。彼の若すぎる三度目の奥さんに車を使われたので、「お前が車を持ってこい」と云われた。私の車は既に知人に差し上げてしまったので、息子のワンボックスカーを使うことにした。非常に大きく、最初は2トン車に乗っているように感じたが、慣れるとこれほど運転が楽で疲れない車であることに気が付いた。
最初から佐島に向かったのではない。ユニークな友人は写真撮影より「美味しい昼食」を最大の目的にしていたようだ。葉山の先のレストランでお昼にした。料理の味と洒落た建物、それに湘南の海に面した立地で予約をしていないとかなり待たされるレストランであった。昼食とは云えぬほどの料金を割り勘で払った。
あちこち立ち寄っては写真を撮り、佐島には夕暮れが迫るころに着いた。私は友人が夕陽の撮影ポイントを知っていて佐島に行こうと云ったのかと思っていた。だが、彼には何の知識もなかった。「佐島って、なんとなくいい名前だろ?」と仰せになっただけだった。偶然レストランの駐車場を見つけ、取敢えずはそこに停めた。案内図を頼りにレストランに行き、そこで撮影ポイントを聞けばいいと考えた。そのレストランに行くと、海に面して板敷きの大きなテラスがあり、パラソル付きのテーブル席も置いてあった。テラスからは夕陽が正面から眺められた。料理を注文してから、めったに使わない三脚を立てて夕陽を撮った。島や大きな岩がないのが残念だったが、贅沢は云っていられなかった。撮り始めてすぐに雲が出てきてしまい、地平線に沈む太陽は撮り損なった。
今年こそは写真仲間とそのフレンチ・レストランに再度行ってみたいと願っているが、どうにもその場所を思い出せない。頂いた名刺やパンフレットは所在不明になっている。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/400秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/180秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/90秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/60秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/45秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
当時、私のボスであるハワイ出身のアメリカの軍属氏にこのハーディー・バラックスの将校クラブでステーキ・ディナーをご馳走になったことがある。夏だったので、ズボンと開襟シャツで行った。予約していた席に案内されると、ボーイが深刻な顔つきで私を招待してくれた軍属氏にささやいた。彼は「この将校クラブは服装がうるさくて、きちんとした軍服かスーツじゃなければ駄目だと云われた。だけど、ネクタイを締めれば、今回はいいらしい。今ネクタイを持ってくる」と私に説明した。ボーイが貸してくれた野暮ったいネクタイを締めると、スコッチウィスキーの水割りがテーブルに置かれた。私はアルコール類に弱いので、それほどありがたいとは思わなかったが、当時の日本の酒飲みたちの垂涎の的とも云える本物の、それも上等のスコッチウィスキーだった。
見たことも、食べたこともないようなTボーン・ステーキが運ばれてきた。「レアー」「ミディアム」、或いは「ウエルルダン」かを聞かれたようだったが、何のことか理解出来なかった。日本の一般家庭では、食料が豊富になり、終戦直後とは比べようもなく豊かになったが、アメリカの食生活には到底及ばなかった。今でこそ、「ミディアム・レアー」と躊躇なく注文出来るが、学校を出て間もないころは、その言葉すら知らなかった。その当時、我が家でもステーキを年に一度か二度ぐらいは食べさせて貰っていたが、フライパンでただ焼くだけで、好みの焼き具合など無視されていた。
次に困ったのは、「大きさは?」と聞かれた。「10オンス」、「12オンス」、「1ポンド」と聞かれても全く見当がつかなかった。常識的に1ポンドは約450グラムであることぐらいしか理解出来なかった。「君は若いから1ポンドぐらい平気で食べられるだろうが、他の料理があるから12オンスぐらいが適当だよ」と軍属氏がアドバイスをしてくれた。それに従った。デザートのアイスクリームを食べ終わるころにはベルトを緩めたいほどだった。桃のパイとコーヒーを勧められたが、入る余地はなかった。非常に心残りがした。ラウンジに移り、一休みしたところで、桃のパイとコーヒーが改めて届けられた。その美味しさと云ったら何に例えればいいか見当もつかなかった。
以下の写真は、今は鬼籍にいる中学時代からのユニークな友人と撮影に行った時の佐島の夕景である。彼の若すぎる三度目の奥さんに車を使われたので、「お前が車を持ってこい」と云われた。私の車は既に知人に差し上げてしまったので、息子のワンボックスカーを使うことにした。非常に大きく、最初は2トン車に乗っているように感じたが、慣れるとこれほど運転が楽で疲れない車であることに気が付いた。
最初から佐島に向かったのではない。ユニークな友人は写真撮影より「美味しい昼食」を最大の目的にしていたようだ。葉山の先のレストランでお昼にした。料理の味と洒落た建物、それに湘南の海に面した立地で予約をしていないとかなり待たされるレストランであった。昼食とは云えぬほどの料金を割り勘で払った。
あちこち立ち寄っては写真を撮り、佐島には夕暮れが迫るころに着いた。私は友人が夕陽の撮影ポイントを知っていて佐島に行こうと云ったのかと思っていた。だが、彼には何の知識もなかった。「佐島って、なんとなくいい名前だろ?」と仰せになっただけだった。偶然レストランの駐車場を見つけ、取敢えずはそこに停めた。案内図を頼りにレストランに行き、そこで撮影ポイントを聞けばいいと考えた。そのレストランに行くと、海に面して板敷きの大きなテラスがあり、パラソル付きのテーブル席も置いてあった。テラスからは夕陽が正面から眺められた。料理を注文してから、めったに使わない三脚を立てて夕陽を撮った。島や大きな岩がないのが残念だったが、贅沢は云っていられなかった。撮り始めてすぐに雲が出てきてしまい、地平線に沈む太陽は撮り損なった。
今年こそは写真仲間とそのフレンチ・レストランに再度行ってみたいと願っているが、どうにもその場所を思い出せない。頂いた名刺やパンフレットは所在不明になっている。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/400秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/180秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/90秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/60秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/45秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。
EOS10DにEF28-135mm、f3.5-5.6を装着。 ISO:100、 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 WB:くもり、 三脚使用。