長野県の地獄谷野猿公苑に通いつめていた頃の事だ。ある日、中学生と思われる大勢の女子生徒と一緒になった事があった。そのうちの一人の子の目の輝きが他の子たちと違っていた。満面に笑みを浮かべて真剣に猿たちを見つめていた。その目は好奇心と優しさに満ちていた。「猿が好きなんだなぁ」と感じると同時に、自分も初めてこの公苑の猿どもに出会ったときは同じような目つきになっていたのではないかと想像した。適当な猿を捕まえて彼女に抱かせてやったらどんなに喜ぶだろうと考えたが、この苑のルールを破るわけにはいかなかった。
彼女から離れ、餌の入った木製の大きな箱の上に肘を置いて目の前の今年に生まれたばかりの子ザルの撮影に夢中になった。背負っていたカメラバッグの上に去年に生まれた悪ガキ盛りの子ザルが乗ったように感じたが、重くはないのでそのままにして目の前の前の撮影に戻った。すると、背中の猿の仲間の二匹がやってきて、一匹は私がカメラを構えている腕の上に乗った。それなら何とかなると思ったが、もう一匹はカメラの上に乗り、レンズをいじりだした。これでは撮影が出来ない。「どけよ」と云いながらカメラを動かしてみたが、面白がって離れようとしなかった。それで、一か所に落ち着いていられない子ザルたちが飽きるのを待つことにした。
その時例の女子生徒が来て、「どうすれば背中に乗って貰えるんですか?」と聞いてきた。聞かれても返事に困った。猿どもに命令したり頼んだりしたわけではなかった。それで、彼女にしゃがませ、私の腕に乗っている猿を彼女の背中に移動させようとしたが旨くいかなかった。それを遠くで見ていた苑の職員氏がやってきて、他の人には見えないようにして私の腕に乗っている子ザルを抱きかかえてそっと彼女の背中に乗せた。苑の職員でも子ザルを抱きかかえることは出来ない筈だが、好意で禁を破ってくれたようだ。
その女子生徒が猿を背中に乗せたまま仲間のところに行ったので、「背中のエテ公は俺をよっぽど気に入ったのかな?」と云うと、職員氏は「そうじゃありませんよ。○○さんをなめているんですよ。このオジさんなら何もしないだろうと、敵は相手をよく知っています」。猿に顔を覚えられたのは嬉しいが、彼らが親愛の情を示したのではなく、完全に私をなめ切っていると聞いては、いくら相手が猿でも気分のいいものではなかった。
先週に続き、10Ⅾで撮ったトルコのイスタンブールの街中と記念公園の写真を掲載した。私の属している写真クラブは8月の例会を休会にした。8月の休会は昨年から始まったことだが、こう暑くてはこれからも8月の休会は続くであろう。






彼女から離れ、餌の入った木製の大きな箱の上に肘を置いて目の前の今年に生まれたばかりの子ザルの撮影に夢中になった。背負っていたカメラバッグの上に去年に生まれた悪ガキ盛りの子ザルが乗ったように感じたが、重くはないのでそのままにして目の前の前の撮影に戻った。すると、背中の猿の仲間の二匹がやってきて、一匹は私がカメラを構えている腕の上に乗った。それなら何とかなると思ったが、もう一匹はカメラの上に乗り、レンズをいじりだした。これでは撮影が出来ない。「どけよ」と云いながらカメラを動かしてみたが、面白がって離れようとしなかった。それで、一か所に落ち着いていられない子ザルたちが飽きるのを待つことにした。
その時例の女子生徒が来て、「どうすれば背中に乗って貰えるんですか?」と聞いてきた。聞かれても返事に困った。猿どもに命令したり頼んだりしたわけではなかった。それで、彼女にしゃがませ、私の腕に乗っている猿を彼女の背中に移動させようとしたが旨くいかなかった。それを遠くで見ていた苑の職員氏がやってきて、他の人には見えないようにして私の腕に乗っている子ザルを抱きかかえてそっと彼女の背中に乗せた。苑の職員でも子ザルを抱きかかえることは出来ない筈だが、好意で禁を破ってくれたようだ。
その女子生徒が猿を背中に乗せたまま仲間のところに行ったので、「背中のエテ公は俺をよっぽど気に入ったのかな?」と云うと、職員氏は「そうじゃありませんよ。○○さんをなめているんですよ。このオジさんなら何もしないだろうと、敵は相手をよく知っています」。猿に顔を覚えられたのは嬉しいが、彼らが親愛の情を示したのではなく、完全に私をなめ切っていると聞いては、いくら相手が猿でも気分のいいものではなかった。
先週に続き、10Ⅾで撮ったトルコのイスタンブールの街中と記念公園の写真を掲載した。私の属している写真クラブは8月の例会を休会にした。8月の休会は昨年から始まったことだが、こう暑くてはこれからも8月の休会は続くであろう。





