つぼみな日々

いろんな花の蕾をもっていたい。たくさんの花を咲かせたい。
言葉を紡ぎたい私のブログです。

赤シー

2015-02-21 13:20:54 | 日記
とあるところで出会った方に、イラストレーター・造形作家の方がいらっしゃって、神保町で個展を開くというのでお伺いする。
子供向け、というとどうなのかは分からないが、主にポップでキュートなたべものやどうぶつをお作りになっている。

小さな画廊は、とにかく、たべものやどうぶつたちの笑顔に満ち溢れていた。

イラスト、粘土、フェルト、毛糸、タオル、綿など、実にさまざまな素材を駆使して作られていて、色合いや配置などが絶妙。
全てがばっちりなバランスで決まっている。
このようなものを私は作ったことがないけれど、誰が見てもこの仕事が恐ろしく緻密であることが分かると思う。

ハムに顔を付けるときは、右側に目と口をつけると左に進んでいるように見えるのか、とか、ベーコンをフェルトで作るときは脂身の幅を不均等にするとそれっぽいのか、とか、絵心がさっぱりない私はそんなところにもいちいち感心してしまう。

たべものの作品は、よく飲食店の店頭にある本物さながらの食品サンプルのようではなく、パッと見でそれが作り物と分かるのに、なのに、とても美味しそうだ。
アジの刺身の皮の風合いや、アジフライのサクサク感、アジの干物の水分の少ない照りの感じ。
骨は糸でステッチされているのだけれど、それっぽい。

アジの作品が気に入って、作家さんに許可を得て一枚写真に撮らせていただく。

何かひとつの完成品を作ろうと思ったとき、それぞれのパーツの「配置」が大事だ。
線の少ない、輪郭が強固できっちりしたものは特に。
そしてその上で、全体のバランスも良きところにばっちり取らねばならない。

この作家さんのバランス感というのは、アンバランスのバランス、ではなく、どちらかと言うとバランスのバランスだ。
書道でいうと、楷書よりも行書の方が“作品風”に見せるのが楽なように思うが、それはおそらくそういう点にある。
私はどちらかと言うと、何をするにもアンバランスのバランスを重んじている傾向にある。
それに、バランスのバランスは、技術と自信がないと難しい。

自分の作品に囲まれて、ちょっと恥ずかしかったりしませんか?
と私が問うと、
全然ぜんぜん、見てくれてありがとう。もっと見て~って思います。
とお答えになった。

私が書道をやっていることを知っているので、画廊の案内まで下さった。
自分の作品に壁一面囲まれているのを想像してみたけれど、私は挙動不審になってあちこちうろうろしながら、早口でわけのわからないことをぺらぺらと喋っている映像しか思い浮かばなかった。

私は絵も図工もからっきしダメだけれど、「何かを創る」という観点からして、こんなに笑顔が満ち溢れるものを作れないだろうと思う。
誰に頼まれるでもない創作物というのは面白いな、と思う。
楽しい個展だった。

◆TOMO工房
http://www.tomokobo.jp/


耳塞ぎここにはいない受験生