● 「君が代」不起立で処分の教員
最高裁が取り消したのに 都教委 再処分狙い聴取
都立学校の卒業式などで「君が代」を起立して斉唱しなかったとして2005、06年に減給・停職処分にされた教職員25人(30件)の都教委処分は違法―。こんな最高裁の判断が7月に出され、処分の取り消しが確定して大きな波紋を呼びました。ところが都教委は、そのうちの7人の現職教員に対し、取り消された処分を出し直す再処分を前提とした事情聴取を行ったことが19日までに分かりました。
● 「発令許さない」
再処分(戒告)は28日の定例教育委員会にも提案されることが予想され、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会は「前代未聞の暴挙」は許さないとし、再処分をしないよう強く求めています。
事情聴取を受けた現職教員や被処分者の会などの話によると、事情聴取は10月25日、1人約30分から1時間以上、行われました。事情聴取の場所となった都庁第2庁舎27、28階は物々しい警備体制がしかれ、「該当者を威圧する雰囲気だった」と言います。
● 給与など是正
事情聴取は人事部管理主事が行い、本人確認を行った後、「あなたの平成17年(18年)=05年(06年)=3月(5月)の処分を取り消す判決が確定したが、新たな処分を検討するための弁明の機会です」と説明。処分説明書を読み上げ、「この事実に相違はないか」「最後に言いたいことがありますか」などの質問がされました。
教員らが「減給処分が取り消されたのに、呼び出しは納得がいかない」「違法行為(減給処分を出したこと)を謝罪せよ」などと求めても、担当者は黙って記録し、質問を淡々とこなすだけだったと言います。
現職教員7人には11月15日、教育庁人事部から処分取り消しに伴う給与是正の追給金と遅延損害金などが支払われ、処分履歴も抹消されました。
しかし、都教委は反省し謝罪するどころか、最高裁判決を無視し、現職教員を狙った再処分を画策。弁明の機会を設けたのは、処分が違法とならないよう単なる手続きとしての事情聴取と思われます。
● 「腹立たしい」
事情聴取を受けた現職教員の一人は「取り消された処分は7、8年経っているのに、この時点で再処分。普通は恥ずかしくてできないはず。都教委を絶対に許せない」と批判。「処分の訂正なら分からないでもないが、再処分というのは腹立たしい。これが教育行政に関わる人たちがやることか」と怒っています。
都教育庁人事部の担当課長は、7人の現職教員に給与などの是正措置を行ったことを認めたものの、事情聴取・再処分については「いま検討中なので答えられない」と述べました。
被処分者の会事務局長の近藤徹さんは「都教委の『暴力的な体質』を改めて露呈した。このような理不尽な動きを絶対に許さず、処分発令を阻止するため断固としてたたかう」と語っています。
● 恥の上塗りでしかない
都教委がまずすべきは違法な処分の被害者に対する謝罪です。そして、自分たちの人権感覚や教育行政の基本方針が間違っていたことを真摯に反省するとともに、間違いが生じた原因を点検して責任を明確にし、再発防止策を講じなければなりません。その際には、教育委員にも教育庁幹部職員にも十分な憲法研修が必要となるでしよう。
反対に居直って再処分をするようでは、恥の上塗りというしかありません。(東京「君が代」裁判弁護団)
『東京民報』(2013/11/24)
最高裁が取り消したのに 都教委 再処分狙い聴取
都立学校の卒業式などで「君が代」を起立して斉唱しなかったとして2005、06年に減給・停職処分にされた教職員25人(30件)の都教委処分は違法―。こんな最高裁の判断が7月に出され、処分の取り消しが確定して大きな波紋を呼びました。ところが都教委は、そのうちの7人の現職教員に対し、取り消された処分を出し直す再処分を前提とした事情聴取を行ったことが19日までに分かりました。
● 「発令許さない」
再処分(戒告)は28日の定例教育委員会にも提案されることが予想され、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会は「前代未聞の暴挙」は許さないとし、再処分をしないよう強く求めています。
事情聴取を受けた現職教員や被処分者の会などの話によると、事情聴取は10月25日、1人約30分から1時間以上、行われました。事情聴取の場所となった都庁第2庁舎27、28階は物々しい警備体制がしかれ、「該当者を威圧する雰囲気だった」と言います。
● 給与など是正
事情聴取は人事部管理主事が行い、本人確認を行った後、「あなたの平成17年(18年)=05年(06年)=3月(5月)の処分を取り消す判決が確定したが、新たな処分を検討するための弁明の機会です」と説明。処分説明書を読み上げ、「この事実に相違はないか」「最後に言いたいことがありますか」などの質問がされました。
教員らが「減給処分が取り消されたのに、呼び出しは納得がいかない」「違法行為(減給処分を出したこと)を謝罪せよ」などと求めても、担当者は黙って記録し、質問を淡々とこなすだけだったと言います。
現職教員7人には11月15日、教育庁人事部から処分取り消しに伴う給与是正の追給金と遅延損害金などが支払われ、処分履歴も抹消されました。
しかし、都教委は反省し謝罪するどころか、最高裁判決を無視し、現職教員を狙った再処分を画策。弁明の機会を設けたのは、処分が違法とならないよう単なる手続きとしての事情聴取と思われます。
● 「腹立たしい」
事情聴取を受けた現職教員の一人は「取り消された処分は7、8年経っているのに、この時点で再処分。普通は恥ずかしくてできないはず。都教委を絶対に許せない」と批判。「処分の訂正なら分からないでもないが、再処分というのは腹立たしい。これが教育行政に関わる人たちがやることか」と怒っています。
都教育庁人事部の担当課長は、7人の現職教員に給与などの是正措置を行ったことを認めたものの、事情聴取・再処分については「いま検討中なので答えられない」と述べました。
被処分者の会事務局長の近藤徹さんは「都教委の『暴力的な体質』を改めて露呈した。このような理不尽な動きを絶対に許さず、処分発令を阻止するため断固としてたたかう」と語っています。
● 恥の上塗りでしかない
弁護士澤藤統一郎さん
行政に甘いことで知られている最高裁も、さすがに都教委のやり方はひどいと断罪しました。「思想転向強要システム」との実質をもつ累積加重の懲戒量定基準が違法とされ、減給以上の処分は違法として取り消されたのです。都教委がまずすべきは違法な処分の被害者に対する謝罪です。そして、自分たちの人権感覚や教育行政の基本方針が間違っていたことを真摯に反省するとともに、間違いが生じた原因を点検して責任を明確にし、再発防止策を講じなければなりません。その際には、教育委員にも教育庁幹部職員にも十分な憲法研修が必要となるでしよう。
反対に居直って再処分をするようでは、恥の上塗りというしかありません。(東京「君が代」裁判弁護団)
『東京民報』(2013/11/24)
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