☆ 公務災害認定請求書握り潰し訴訟 最高裁での対東京都勝利判決確定声明
所属長・東京都による公災手続き拒否は出来ないことを確認
公災手続を所属長の証明印不要に変革した画期的成果!
1 本日,最高裁判所第一小法廷は、一審原告早川由紀子(「原告」)と一審被告東京都(「東京都」)の双方の上告受理申立を受理しないとする決定をなした。
これによって、一審被告地方公務員災害補償基金(公務員労災の審査機関、「基金」)の責任を認めず東京都の責任のみを認め、慰謝料等50万円の支払いを命じる判決を言い渡した東京高裁判決が確定した。
2 東京都の中学校教員であった原告は、1973年に頚肩腕障害を発症し、校長らによる療養妨害によって症状が悪化していく中で、1992年に公務災害認定請求書(「請求書」)を校長、東京都教育委員会を経由して基金に提出しようとした。ところが、何度も突き返され、最終的には校長が請求書を保管したまま、本件訴訟の中で明らかになるまで16年間も経過した。
その間、原告は不当な分限免職処分の憂き目にあい、公務災害認定請求権が侵害されたまま、病状悪化のもとで呻吟し続けてきた。
3 原告は、2006年8月16日に、基金に対して、請求書を都教委に受理させなかった不作為の違法確認、都教委に対して、請求書の受理と基金への送付義務付け、基金と東京都に対して、長年にわたる請求書未送付の不作為についての損害賠償を求めて提訴した。
裁判所の訴訟指揮により、原判決前に、原告の請求書は都教委を経由して、初めて所属長の押印の無いままに基金のもとに送付され、原告の頸肩腕障害が公務に由来するかが、ついに審査されることとなった。
そこで原告は、不作為の違法確認及び義務付けの訴えを取り下げ、損害賠償請求のみとした。ただし、基金は、原告の請求書について全く関知していなかったと主張した。
よって、本件の主たる争点は、①校長や都教委職員の助力義務、協力義務違反が認められるか、②損害賠償請求権が時効にかからないか、③基金の責任が認められるか、の3点となった。
これらの点につき、高裁判決は,①所属部局長たる文京七中校長は、過失によって、原告が公務上外認定を受ける法的利益を侵害したと認定した。しかし、校長の故意と都教委職員の不法行為を認定せず、原告の損害額を弁護士費用分と併せても50万円と著しく低く認定したことは,都教委職員らが18年以上にもわたり原告の頸肩腕障害の療養と回復の機会を奪い、病状回復を困難にさせたことを顧みなかった事実を不当に軽んじている。
②原告の請求書が長年、校長室のロッカーに保管されていたことを、原告は知らなかったため消滅時効は完成していないとして、損害賠償を命じた原判決を維持した。
③高裁判決は、公務災害認定請求手続きにおいては校長は基金の「公権力の行使に当たる公務員」であるとした原判決を取消して、基金の責任を否定した。
しかし、基金東京都支部は都庁にあり、支部長は都知事、職員は都職員であって基金支部と東京都との一体性は明らかであり、本来その責任が追及されねばならない。それにも関わらず、誤った高裁判決を追認した最高裁決定は、到底納得できない。
4 もっとも、最高裁が基金の責任を認めなかったのは、高裁判決と同様、所属部局長には、公務上外の判断権はなく、所属部局長による証明は職務上把握している事項に対するものである、との見地によるものであろう。その結果、本事件のように、都教委や所属部局長が証明できないとして不受理とすることが全く認められないことになる。
さらに、これまで所属部局長の証明がない場合には,都教委及び基金は請求書の送付及び受領を一切行っていなかったが、地裁判決は“所属部局長が違法に証明を拒む場合には、民間の労災申請手続きと同様、証明印がなくても申請を受け付けられると解釈すべき”と判示し、高裁判決はこの判断を支持し、最高裁はそれを追認した。
このことは,既に実務に大きな影響を与え、原告だけでなく、証明が得られないばかりに公務災害認定請求手続を行うことができなかった大勢の公務員の公務災害認定の道を開いた。
すなわち、基金本部が全国に「事務連絡」を発して「災害補償の手引」が一部改正され、所属部局長が災害発生状況の把握が困難な場合は、証明困難である旨を証明欄に記載して提出すること、長期間証明がなされない場合には被災職員等から基金支部長に対し直接認定請求がなされることが明記されるようになった。
これは重大な実務の変更であり、原告と組合、支援の仲間で勝ち取った誇るべき画期的成果である。
5 これまでの各位のご支援に感謝するとともに,この成果の上にたって、公務災害に苦しむ多くの被災職員とともに、公務災害のない公務職場の実現を目指しそ闘い続ける覚悟である。
それが実現し、原告の今務災害が認定されるまで,引き続きご支援,ご協力をお願いする次第である。
所属長・東京都による公災手続き拒否は出来ないことを確認
公災手続を所属長の証明印不要に変革した画期的成果!
1 本日,最高裁判所第一小法廷は、一審原告早川由紀子(「原告」)と一審被告東京都(「東京都」)の双方の上告受理申立を受理しないとする決定をなした。
これによって、一審被告地方公務員災害補償基金(公務員労災の審査機関、「基金」)の責任を認めず東京都の責任のみを認め、慰謝料等50万円の支払いを命じる判決を言い渡した東京高裁判決が確定した。
2 東京都の中学校教員であった原告は、1973年に頚肩腕障害を発症し、校長らによる療養妨害によって症状が悪化していく中で、1992年に公務災害認定請求書(「請求書」)を校長、東京都教育委員会を経由して基金に提出しようとした。ところが、何度も突き返され、最終的には校長が請求書を保管したまま、本件訴訟の中で明らかになるまで16年間も経過した。
その間、原告は不当な分限免職処分の憂き目にあい、公務災害認定請求権が侵害されたまま、病状悪化のもとで呻吟し続けてきた。
3 原告は、2006年8月16日に、基金に対して、請求書を都教委に受理させなかった不作為の違法確認、都教委に対して、請求書の受理と基金への送付義務付け、基金と東京都に対して、長年にわたる請求書未送付の不作為についての損害賠償を求めて提訴した。
裁判所の訴訟指揮により、原判決前に、原告の請求書は都教委を経由して、初めて所属長の押印の無いままに基金のもとに送付され、原告の頸肩腕障害が公務に由来するかが、ついに審査されることとなった。
そこで原告は、不作為の違法確認及び義務付けの訴えを取り下げ、損害賠償請求のみとした。ただし、基金は、原告の請求書について全く関知していなかったと主張した。
よって、本件の主たる争点は、①校長や都教委職員の助力義務、協力義務違反が認められるか、②損害賠償請求権が時効にかからないか、③基金の責任が認められるか、の3点となった。
これらの点につき、高裁判決は,①所属部局長たる文京七中校長は、過失によって、原告が公務上外認定を受ける法的利益を侵害したと認定した。しかし、校長の故意と都教委職員の不法行為を認定せず、原告の損害額を弁護士費用分と併せても50万円と著しく低く認定したことは,都教委職員らが18年以上にもわたり原告の頸肩腕障害の療養と回復の機会を奪い、病状回復を困難にさせたことを顧みなかった事実を不当に軽んじている。
②原告の請求書が長年、校長室のロッカーに保管されていたことを、原告は知らなかったため消滅時効は完成していないとして、損害賠償を命じた原判決を維持した。
③高裁判決は、公務災害認定請求手続きにおいては校長は基金の「公権力の行使に当たる公務員」であるとした原判決を取消して、基金の責任を否定した。
しかし、基金東京都支部は都庁にあり、支部長は都知事、職員は都職員であって基金支部と東京都との一体性は明らかであり、本来その責任が追及されねばならない。それにも関わらず、誤った高裁判決を追認した最高裁決定は、到底納得できない。
4 もっとも、最高裁が基金の責任を認めなかったのは、高裁判決と同様、所属部局長には、公務上外の判断権はなく、所属部局長による証明は職務上把握している事項に対するものである、との見地によるものであろう。その結果、本事件のように、都教委や所属部局長が証明できないとして不受理とすることが全く認められないことになる。
さらに、これまで所属部局長の証明がない場合には,都教委及び基金は請求書の送付及び受領を一切行っていなかったが、地裁判決は“所属部局長が違法に証明を拒む場合には、民間の労災申請手続きと同様、証明印がなくても申請を受け付けられると解釈すべき”と判示し、高裁判決はこの判断を支持し、最高裁はそれを追認した。
このことは,既に実務に大きな影響を与え、原告だけでなく、証明が得られないばかりに公務災害認定請求手続を行うことができなかった大勢の公務員の公務災害認定の道を開いた。
すなわち、基金本部が全国に「事務連絡」を発して「災害補償の手引」が一部改正され、所属部局長が災害発生状況の把握が困難な場合は、証明困難である旨を証明欄に記載して提出すること、長期間証明がなされない場合には被災職員等から基金支部長に対し直接認定請求がなされることが明記されるようになった。
これは重大な実務の変更であり、原告と組合、支援の仲間で勝ち取った誇るべき画期的成果である。
5 これまでの各位のご支援に感謝するとともに,この成果の上にたって、公務災害に苦しむ多くの被災職員とともに、公務災害のない公務職場の実現を目指しそ闘い続ける覚悟である。
それが実現し、原告の今務災害が認定されるまで,引き続きご支援,ご協力をお願いする次第である。
2012年3月15日
一審原告 早川由紀子
全国一般東京労組文京七中分会
早川由紀子さんの不当免職撤回を支援する会
公務災害認定請求書握りつぶし訴訟弁護団
一審原告 早川由紀子
全国一般東京労組文京七中分会
早川由紀子さんの不当免職撤回を支援する会
公務災害認定請求書握りつぶし訴訟弁護団
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます