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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

コンピュータを使った筆跡鑑定で脅迫状を書いたのは「別人」 狭山事件

2018年02月02日 | 平和憲法
 ◆ 正義とコンピューター (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(ルポライター)

 「おれは字を書けないから(脅迫状は)書けません」と石川一雄さんは無実を主張してきた。
 一九六三年五月に埼玉県狭山市で発生した女子高校生殺し「狭山事件」の重要証拠のひとつ、身代金を要求した脅迫状の筆跡が、石川さんのものとは「99・9%の識別精度で異なる」との報告書を一月下旬、弁護団が東京高裁に提出した。
 東海大学情報理工学部の福江潔也教授がコンピューターによる筆跡のズレ量(相違度)を鑑定した結果、同一人が書いた場合のズレ量の分布とほとんど重ならず、筆者は別人との結論となった。
 これまでの筆跡鑑定は見た目で文字の特徴を比較する手法だったが、今回はコンピューターで筆跡を重ね合わせ、数量化されたデータで判定した。
 かつて極貧の家庭に育ち、学校で学ぶ機会を奪われていたひとは決して少なくなかった。字を書けないひとが脅迫状を書こうなど、荒唐無稽のフィクションだ。
 わざと稚拙な文字でカムフラージュした犯人に惑わされ、被差別部落に住む石川さんが逮捕されたのだが、実は石川さんは脅迫状どころか、自分の履歴書さえ書けなかったのだ。
 警察も検事も裁判官も字を書けない人がいるのに無知で、まんまと犯人の作為に騙(だま)されてきた。
 最後はコンピューターが正義を判断するとは情けない。
 司法よ、人間の心と知性で裁いて冤罪(えんざい)をなくせ。

『東京新聞』(2018年1月30日)

 ※ 狭山事件再審請求 脅迫状の筆跡「別人」 新鑑定を高裁提出
   『東京新聞』(2018年1月16日 夕刊)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011602000276.html
 埼玉県狭山市で一九六三年に女子高校生=当時(16)=が殺害された狭山事件で無期懲役が確定し、服役後に仮釈放された石川一雄さん(79)の第三次再審請求で、弁護団が、高校生宅に届いた脅迫状の筆跡は石川さんのものと異なるとする新たな鑑定結果を東京高裁に提出したことが、弁護団への取材で分かった。提出は十五日。
 高裁の確定判決では、逮捕の二日前に石川さんが警察に出した上申書の筆跡と、身代金を要求する脅迫状の筆跡が一致するとした検察側提出の鑑定結果が有罪の根拠の一つとされた。
 弁護団は、コンピューターを使った筆跡鑑定を研究する東海大の福江潔也教授に鑑定を依頼。脅迫状と、石川さんが書いた上申書から「い」「た」「て」「と」の四文字を抜き出して比較したところ、99・9%の確率で別人のものだとの結果が出たという。
 事件は六三年五月一日、下校途中に高校一年の女子生徒が行方不明となり、三日後に遺体で発見された。埼玉県警は強盗殺人などの疑いで、現場近くに住む石川さんを逮捕。七七年に無期懲役が確定し、九四年に仮釈放された。
 再審請求はこれまでに二回退けられ、二〇〇六年五月に第三次請求をした。

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