パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

年越し派遣村から6年:今や「弱きものよ、お前は死ね」

2014年12月14日 | 格差社会
  《労働情報 時評自評》
 ◆ 派遣村6周年に
鎌田慧(ルポライター)

 「ハケン切り」。6年前、新聞やテレビで、ごく当たり前につかわれていた言葉である。「ニンゲン切り」は、あきらかな犯罪だから、ハケン労働者に死を与えるクビ切りが、公然と認められているのは、ハケンがニンゲン扱いされていない証明である。
 「ハケン労働者」は、蔑視を受けている。「雇い止め」など、エラそうに言われて、冷酷に切り捨てられる。会社が損をしない、経営者のための法律が、「労働者派遣法」である。
 「辻切り」のように「ハケン切り」が横行した。
 6年前、日比谷公園に突然あらわれた「ハケン村」は、労働者がつくりだした、「いのち」の駆け込み寺であり、「いのち」のシェルターだった。「クビ切り」の非情を可視化した、連帯の共同体だった。(『派遣村』年越し派遣村実行委員会・編)
 労働者は扶(たす)けあって生きる、それが労働運動の思想である。ところが、最近の、企業利益のおこぼれを待ち望む、大企業労組の「労働運動」は、連帯の手足を縛る「運動殺し」である。
 「弱きものよ、お前は死ね」といっているにすぎない。

 「すき家」「ワタミ」など、過労死をつくりだしてきた「ブラック企業」が、赤字決算になったのは、急速に拡大した店舗を、「人手不足」から維持できなくなったからだ。
 労働者をこき使う経営は、反社会的な経営であり、「天に唾する」経営なのだ。設備には投資するが、ニンゲンにはカネをかけない。これこそ、非人間的経営の罰当たりである。
 「ホームレス製造法」ともいうべき、「労働者派遣法」に群がったのは、現代の「人夫出し業」「グッドウイル」など、人を食った会社だが、ポロ儲けした折口某などよりも、派遣業パソナの会長に出世した、竹中平蔵慶大教授のほうが悪どい。
 彼は安倍政権のもとでも生き残り、経団連と一体化、労働者の権利の「岩盤」を崩そうとしている。
 モラルなき資本主義を政治的に支えているのが、アベノミクスである。連合が辛うじて、切れ目なきハケンを拡大させる「派遣法改悪」に反対したのは、これ以上の政権追随は、幹部たちの存在を問われることになるからだ。
 「万人はひとりのために」。それが労働運動の精神である。
 「ひとりの労働者の運命をともにする」。それが連帯の思想である。
 「仲間を裏切らない」。それが労働者のモラルである。

 あの時、都心の公園に突如出現した「派遣村」は、労働者のいのちの灯りだった。労働運動は、人間運動である。人間連帯の運動であり、人間解放の運動である。
 隣人を見捨てない。視えない労働者にも手を差し伸べる。ひとりの仲間をも見捨てない。
 この寒空のもとで、「派遣村」の暖かさを思い起こしながら、冷酷安倍首相を支える、吸血経団連に反撃しよう。
 個人でも加盟できる労働組合を組織し、強化しよう。

『労働情報 901号』(2014/12/15)

コメント    この記事についてブログを書く
« 最終処分場:恩恵を受けてき... | トップ | 12/18、「実教出版教科... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

格差社会」カテゴリの最新記事