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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

アベを倒そう!(439)<『崩壊するアメ?リカの公教育ー日本への警告』(13、最終回)>

2018年10月09日 | 日の丸・君が代関連ニュース
<転送歓迎>(重複ご容赦)・「都教委包囲首都圏ネットワーク」、・「新芽ML」、・「ひのきみ全国ネット」、・「戦争をさせない杉並1000人委員会」の渡部です。
 今回は、▲ 第10章の後半、「教師たちによる抵抗運動」で、最終回です。
 ここでは、教師たちのさまざまな抵抗と、新自由主義教育とファシズム台頭の関係も述べられています。
 少し長くなりますが、きっと参考になると思いますので、ゆっくり読んでください。

 まず、教師たちのさまざまな抵抗ついては、
  ・ハワイの、教師たちは労働契約で決められた範囲の仕事しかしない闘い、
  ・デトロイトの、教員たちが一斉に病休をとる闘い
 などが紹介され、
 「教員組合解体の手段として利用されてきたチャータースクールの教員たちが、逆に教員組合に加盟するという、以前には考えられなかった現象も見られるようになってきた」
 とも述べられている。

 さらに次のような現象も起きてきたのである。
近年顕著に見られるもう一つの現象は、評価の高いベテラン教師らによる辞意表明の公表だ。・・
・・例えば2013年に『ワシントンポスト』が紹介した27年のキャリアを持つニューヨークのある教師は、辞意表明の中で、教育現場ではいかに想像力、学問の自由、教師の自律性、試行錯誤やイノベーションなどが失われ、教育がつまらないものになっているかを綴り、多くの人々の共感を呼んだ。
彼は最後にこのように書いている。
・・・私が教師の職を去るのではなく、教師という仕事が私を去って行ったということです。それはもはや存在しないのです。
 また次のようなことも紹介されている。
・・教育学の博士号を持つフロリダの教師は、近年では幼稚園児までもがコンピューターで学力標準テストを受けているという状況などを嘆いてフェイスブックで辞意表明したところ、それがメディアを通して全米を駆け巡り、しまいにはオバマ大統領が「テストを削減する」と言うビデオメッセージを出す事態にまでなった。彼女は教育委員会宛に書いた辞表で次のように述べている。
「私の修士号の研究は行動障害についてだったので、子どもたちに障害があるのではないと自信を持って言えます。(中略)研究結果にもとづいた有意義な方法で生徒を教える代わりに、極めて不適切なテストの点数を重視するシステムにこそ障害があるのです」。
 また、学力テストを廃止させた次のような闘いも。(少し長いです)
中には、失職のリスクを冒して、学力標準テストを監督することを拒否する教師たちもいる。
2013年、シアトルのガーフィールド高校(公立高校)の教師が一致団結して市の統一学力テストの監督を拒否したというニュースがアメリカの教育界に衝撃を与えた。
教師たちは、テストがカリキュラムに沿っていないこと、英語でのコミュニケーションに支障のある移民の子、特別j支援教育を受けている子、家にコンピューターがないために操作に慣れていない子たちにとって不利であること、テストがあまりにも多く十分な授業時間が確保できないこと、テスト作成会社の警告を無視して教育委員会がテストの点数で教員評価をしていること、テスト導入の過程で元教育長とテスト会社との癒着が発覚していたことなどをボイコットの理由として挙げている。
教師たちのこの行動は、生徒や保護者らの多大な支援を受けて近隣の学校の教師に広がり、四カ月後にはとうとうシアトル市がそのテストを廃止するという勝利を勝ち取った
 そしてこのテスト監督拒否闘争は、連邦政府も無視できなくなった。
2014年、同僚の小学校教師二人とニューヨーク州統一テストの監督をボイコットし、「良心ある教師たち」という新自由主義教育改革に反対する教師たちのネットワークを立ち上げたジア・リーは、「落ちこぼれ防止法」再改定に向けた議論の証言者として、連邦政府の上院健康教育労働年金委員会に招かれた。
国の中枢にいる政治家たちを前に、彼女は教育の専門家という立場から、今後一切テストを監督しないことを断言した。
“assessement”(評定)のラテン語の語源は、「そばに座る」という意味です。
教師や政策立案者が、生徒たちのそばに座り、深く、有意義な方法で彼らの学びに関わろうとしない限り、公教育の現場を完全に理解することはできないでしょう。
どんな多肢選択式テストもそのデータを与えてはくれません。
私には自分の生徒やその家族に対しての義務と説明責任があることから、昨年、私は良心的拒否者として生徒を単一指標に置き換えるテストを今後一切監督しないことにしたのです。
 そして筆者は次のようななことを紹介する。
テストボイコット運動に参加する教師の中には、学力標準テスト中心の教育と人種問題との関係を指摘する者もいる。
・・シアトルの教師らによるテスト監督ボイコット運動を導いたジェシー・ハゴピアンは、相次ぐ白人警察による丸腰の黒人殺害事件から全米に広まった人種差別撤廃デモとテストボイコット運動とは切っても切れない関係にあると指摘する。
学力標準テストの目的は、批判的思考を身につけることや身の回りの人たちと団結することや自分にとって大事な問題について協力することではなく、与えられた選択肢の中から誤った選択肢を消去する方法(消去法)を学ぶことにあります。
これらのテストは、社会や子どもたち自身が直面している大きな問題――例えば警察の蛮行や警察による人民の抑圧――を解決するために彼らが本当に必要としている能力を彼らから奪っているのです。
もし子どもたちが道端で撃ち殺され、それに対して何の正義も為されないのであれば、彼らを大学に進学させたりキャリアに備えたところで、一体何の意味があると言うのでしょう。
 さらに、ジャーナリストの指摘を紹介する。
同様に、ピュリッツアー賞受賞ジャーナリストのクリス・ヘッジズは、多肢選択式テスト中心の教育にはある明確な意図があると言う。
多肢選択式テストにおける合格は、特殊な分析能力を評価し、讃える。
この種の知能は経営者と会社に重宝される
彼らは従業員に厄介な質問をされることや、既存の体制や前提を吟味されることを嫌がり、システムに仕えるだけのことだけを望むのだ。
これらのテストは、基本的な機能を果たし、サービス業に従事できるだけの読み書き算数能力を持つ男女を生産する。
そして、テスト対策をする財政手段のある者を持ち上げるのだ。
ルールに従う者、公式を暗記する者、権威に敬意を表する者に報酬を与える反面、逆徒、芸術家、独自の考えを持つ者、変わり者や聖像破壊者―--自分のドラムの音に従って行進する者―は除去される
 そうして、「ヘッジズはアメリカ公教育の移り変わりをこう読み解いている」としてそれを紹介する。
教師、そして彼らの組合は攻撃されバーガーキングで働く最低賃金労働者と同じように入れ替え可能な存在になりつつある
私たちは、子どもに考えさせる器を持ち、子どもの才能と可能性を発見させる本当の教師を追い払い、視野の狭い学力標準エスト愛作を施す講師と入れ替えているのだ。
これらの講師は従順で、子どもにも従うことを教える。
それが狙いなのだ。
 著者はさらに続ける
ヘッジズは、この論考の最後で、ハンナ・アーレントの「悪の凡庸さ」という概念に読者の意識を導いている。・・
・・「世界最大の悪は、ごく平凡な人間、つまり人であることを拒絶した者が行う悪である」。
ヘッジズはアーレントの警告に耳を傾ける。
私たちは、考えることのできない人々を恐れなければいけない。無意識の文明は全体主義の荒地と化すのだ」。
 そうして、次のように述べる。
その論考から五年後の現在、ヘッジズは、共和党の大統領候補として指名されたドナルド・トランプに象徴される「アメリカンファジズム」台頭の可能性を警告している。
・・共和党は、今まで政治とは無縁であった白人の貧困層を開拓することで大きく投票者数を増やした。
これらの人々は、・・長年の新自由主義政策で貧困層への搾取を繰り返してきたインテリ層に対する怒りを溜めており、差別できる自由、銃を持てる自由、好き勝手できる自由を求めているという。
そして、これらの人々には、プロパガンダや感情に訴える大衆運動の餌食になりやすいという特徴がある、とヘッジズは指摘する。
・・・ヘッジズは言う。「ファシスト運動は、政治的に活発な人々ではなく政治的に消極的な人々、つまり声もなく政界の規制勢力の中では何の役割もないと感じている「負け組」がら基盤を築くのだ」。

 そして、最近の世界情勢に関して次のように述べる。
世界中で猛威をふるう新自由主義と、その犠牲となっている国々におけるファシズムの台頭は決して偶然ではない。
健康保険や公教育の規制緩和、それによる公共事業の市場化と民営化、組合解体に伴う非正規労働者の増加、緊縮財政による年金カットや給付型奨学金の削減など、新自由主義は国民の社会保障制度と経済的安定性を破壊することで肥大化してきた。
同時にそれは西側諸国における左派の弱体化の歴史でもあり、そこの生まれた空間が極右の成長を可能にした。
 そして最後に、次のようにまとめる。
日本は大丈夫だろうか。
こんな時代だからこそ、公教育を問い直す必要性がある。
第9章の終りで、公教育をより幅広く、「公衆の教育」と再定義し、社会全体に働きかけていく必要性と、子どもたちの教育を軸にした社会運動を通して大人たちの民主的市民としての意識の覚醒を図る必要性を、私は主張した。・・・
・・それは、自分の頭で考え続ける能力を持つことであり、まあ相手の立場に立って物事を考える想像力を持つことだ。
第二次大戦時、戦争のために芸術分野全般の予算削減を求められたイギリスの首相、ウィンストン・チャーチルは、ただ一言こう答えたそうだ。
「だったら我々は何のために戦っているんだ?」
 以上が『崩壊するアメリカの公教育ー日本への警告』の概要です。
 この本では、この後に<おわりに――三人の先生> いうのがありますが、割愛します。
 ここまで読まれた皆さんは、新自由主義教育改革というものが、現在アメリカから全世界に広まりつつあり、日本はアメリカの後追いをしていること、しかし、そのアメリカではそれに対する反対運動が起きつつあること、を理解されたのではないでしょうか。
 そして、この本が、「アベの教育改革」に反対する運動にとって、極めて示唆に富んだ本であることも理解されたのではないでしょうか。
 是非、お読みください。図書館でも借りられると思います。

 なお、「オリンピック教育批判」第13弾ビラ(来週から配布開始)「デタラメとウソはダメだよねー そだねー」の裏面にも「ぜひ先生たちに読んで欲しい本」として紹介しました。
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 都教委包囲首都圏ネットワークでは、今年も「都教委包囲要請行動」を以下の要領で行います。
 ★ 「10・22都教委包囲要請行動」
   <目的・概要>都教委のこの間の教育行政に関する抗議・要請。

  この中には、「日の丸・君が代」強制反対をはじめ、
  裁判で都教委作成のウソの陳述書へ、校長に署名・捺印させ提出させていること、
  性教育では現場の実態とかけ離れた指導をしていること、
  五輪教育が国威発揚・ボランティア奨励の場になっていること、
  学校での条件整備をせずに始めた「英語村」(有料)の問題点、
  などもあります。
  その他、都教委に物を言いたい団体・個人の方の参加を歓迎します。
  要請文・抗議文が有っても無くても、どうぞおいでください。
 <日時・場所など>
  10月22日(月)

   15:30 都庁第一調査前集合
      (シュプレヒコールと簡単な打ち合わせ)
   16:00~17:00 都教委要請行動
    終了後、都庁前での簡単な報告会


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  【僕、国歌歌わないもん】(石原慎太郎)
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  東京五輪に 【国旗も国歌も必要ない】(ビートたけし)
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  対米従属で「世界征服」を夢想するデマゴギー政治家安倍首相を倒そう!
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「都教委包囲首都圏ネットワーク」のブログのアドレス
 http://houinet.blogspot.jp/
「千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ
 http://hinokimitcb.web.fc2.com/
「ひのきみ全国ネット」のウェブサイト
 http://hinokimi.web.fc2.com/

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