たんぽぽ舎です。【TMM:No3453】地震と原発事故情報
▼ プルトニウム製造装置としての「原子力発電所」
福島第一原発の重大事故により原発が
巨大な危険を抱えた施設であることが事実として示された
即刻、原子力発電はやめるべきだ
── 小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所)
安倍政権が世論を無視して原発再稼働を進めている。一方で、プルトニウムの保有量は約47トン。長崎型原爆4000発分に相当し、日本はプルトニウム大国になっている。こうした事実について、小出裕章さんに電話インタビューした。(文責・人民新聞編集部)
1.日本のプルトニウムの現状について
人類は、木材から始まって石炭・石油・天然ガスなどの資源を燃やしてエネルギー源にしてきましたが、これらの発する熱量と核分裂による熱量は桁違いです。
例えば1kgのウラン235の核分裂によって発する熱量は同量の石油の200万倍です。だから原爆という途方もない爆弾が作られたわけです。
広島・長崎の日が近づいていますが、長崎原爆は、プルトニウム239という自然界には存在しない物質を原料に作られました。
このプルトニウムを人工的に作り出す方法として開発されたのが原子炉です。
日本で「原子炉」というと「核の平和利用」と呼ばれる「原子力発電所」を思い浮かべますが、そもそも原子炉は、原子爆弾を製造するために作られた施設であることは、開発当初の学者も政治家もみんな知っていました。
原子炉を日本に導入した政治家も学者も、プルトニウム239を手に入れたいという思惑をもって原子力発電所を建設し稼働してきたのです。
既に日本は、プルトニウムを47トンも保有していますが、日本は、70数年前にアジア諸国を侵略し2000万人を殺した歴史をもつ国ですから、長崎型原爆4000発分のプルトニウムを持つことは、国際的に到底許されません。
そのため、「日本のプルトニウムは、発電所で燃料として使う」「使い道のないプルトニウムは保有しない」という国際公約をしています。
ただし、プルトニウムを燃やす原子炉は、ウランを燃やす原子炉とはまったく構造が違います。そのため日本政府は、高速増殖炉「もんじゅ」を1兆円超の金を投入し続けてなんとか動かそうとしましたが、結局、動かないまま廃炉が決定しました。
さらに、核燃料再処理施設も破綻しました。日本は核燃料廃棄物からプルトニウムを取り出す再処理技術を開発するために、青森県六ヶ所村に再処理工場を建設しましたが、これも結局破綻しました。
つまり、核燃料サイクルの中核である高速増殖炉も核燃料再処理も全て破綻して、プルトニウムを燃料として使う道は完全に断たれてしまいました。
このため日本政府は、ウランを燃やすための原子炉にプルトニウムを混ぜて燃やすという「プルサーマル」計画を立ち上げざるを得ないところまで追い込まれています。
日本で稼働している原子力発電所は、ウランを燃やすために設計された原子炉です。この原子炉に、プルトニウムという非常に扱いにくい核物質を混ぜて燃やすのですから、当然事故のリスクは高まります。
これは灯油を燃料にする石油ストーブにガソリンを入れて燃やすようなものです。灯油の代わりにガソリンを入れれば火事になります。
プルトニウムは原爆の材料で、管理が難しいし再処理も難しく、経済的にも膨大な費用がかかります。それでも「プルサーマル」をやるしかないところに追い込まれています。
2.進む原発再稼働
原発再稼働の問題ですが、日本政府はプルトニウム処理という大義名分のためにも東海第二原発、高浜原発と次から次へと再稼働せざるを得なくなっているのです。
再稼働に向かうもうひとつの大きな理由は、原発を全て停止して原発から撤退すれば、原発関連施設が全て不良債権になってしまうことです。
プルトニウムも、これまでは資産として計算されていたのですが、今度はゴミになってしまって、電力会社の重みになります。
原発自体も、今は資産ですが、運転しないとなると、廃炉のために膨大なお金がかかるのです。
さらに廃炉にした原発施設は不良債権化して、電力会社の資産が大幅に失われ赤字に陥ってしまいます。
そこで、少しでも先延ばしするために再稼働に向かっているのだと私は思います。
しかし、福島第一原発事故によって原発が巨大な危険を抱えた施設であることは、事実として示されたのですから、即刻原子力発電はやめるべきだと思います。
(下に続く) (人民新聞2018年8月5日号より了承を得て転載)
▼ プルトニウム製造装置としての「原子力発電所」
福島第一原発の重大事故により原発が
巨大な危険を抱えた施設であることが事実として示された
即刻、原子力発電はやめるべきだ
── 小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所)
安倍政権が世論を無視して原発再稼働を進めている。一方で、プルトニウムの保有量は約47トン。長崎型原爆4000発分に相当し、日本はプルトニウム大国になっている。こうした事実について、小出裕章さんに電話インタビューした。(文責・人民新聞編集部)
1.日本のプルトニウムの現状について
人類は、木材から始まって石炭・石油・天然ガスなどの資源を燃やしてエネルギー源にしてきましたが、これらの発する熱量と核分裂による熱量は桁違いです。
例えば1kgのウラン235の核分裂によって発する熱量は同量の石油の200万倍です。だから原爆という途方もない爆弾が作られたわけです。
広島・長崎の日が近づいていますが、長崎原爆は、プルトニウム239という自然界には存在しない物質を原料に作られました。
このプルトニウムを人工的に作り出す方法として開発されたのが原子炉です。
日本で「原子炉」というと「核の平和利用」と呼ばれる「原子力発電所」を思い浮かべますが、そもそも原子炉は、原子爆弾を製造するために作られた施設であることは、開発当初の学者も政治家もみんな知っていました。
原子炉を日本に導入した政治家も学者も、プルトニウム239を手に入れたいという思惑をもって原子力発電所を建設し稼働してきたのです。
既に日本は、プルトニウムを47トンも保有していますが、日本は、70数年前にアジア諸国を侵略し2000万人を殺した歴史をもつ国ですから、長崎型原爆4000発分のプルトニウムを持つことは、国際的に到底許されません。
そのため、「日本のプルトニウムは、発電所で燃料として使う」「使い道のないプルトニウムは保有しない」という国際公約をしています。
ただし、プルトニウムを燃やす原子炉は、ウランを燃やす原子炉とはまったく構造が違います。そのため日本政府は、高速増殖炉「もんじゅ」を1兆円超の金を投入し続けてなんとか動かそうとしましたが、結局、動かないまま廃炉が決定しました。
さらに、核燃料再処理施設も破綻しました。日本は核燃料廃棄物からプルトニウムを取り出す再処理技術を開発するために、青森県六ヶ所村に再処理工場を建設しましたが、これも結局破綻しました。
つまり、核燃料サイクルの中核である高速増殖炉も核燃料再処理も全て破綻して、プルトニウムを燃料として使う道は完全に断たれてしまいました。
このため日本政府は、ウランを燃やすための原子炉にプルトニウムを混ぜて燃やすという「プルサーマル」計画を立ち上げざるを得ないところまで追い込まれています。
日本で稼働している原子力発電所は、ウランを燃やすために設計された原子炉です。この原子炉に、プルトニウムという非常に扱いにくい核物質を混ぜて燃やすのですから、当然事故のリスクは高まります。
これは灯油を燃料にする石油ストーブにガソリンを入れて燃やすようなものです。灯油の代わりにガソリンを入れれば火事になります。
プルトニウムは原爆の材料で、管理が難しいし再処理も難しく、経済的にも膨大な費用がかかります。それでも「プルサーマル」をやるしかないところに追い込まれています。
2.進む原発再稼働
原発再稼働の問題ですが、日本政府はプルトニウム処理という大義名分のためにも東海第二原発、高浜原発と次から次へと再稼働せざるを得なくなっているのです。
再稼働に向かうもうひとつの大きな理由は、原発を全て停止して原発から撤退すれば、原発関連施設が全て不良債権になってしまうことです。
プルトニウムも、これまでは資産として計算されていたのですが、今度はゴミになってしまって、電力会社の重みになります。
原発自体も、今は資産ですが、運転しないとなると、廃炉のために膨大なお金がかかるのです。
さらに廃炉にした原発施設は不良債権化して、電力会社の資産が大幅に失われ赤字に陥ってしまいます。
そこで、少しでも先延ばしするために再稼働に向かっているのだと私は思います。
しかし、福島第一原発事故によって原発が巨大な危険を抱えた施設であることは、事実として示されたのですから、即刻原子力発電はやめるべきだと思います。
(下に続く) (人民新聞2018年8月5日号より了承を得て転載)
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