●本紙世論調査
五輪反対3人に1人
東京の有権者の三人に一人は五輪招致反対-。二日後に告示を控えた東京都知事選(四月八日投開票)について、東京新聞が十六日から三日間行った電話世論調査で、都が進める二〇一六年夏季五輪招致は反対が賛成を9ポイント上回った。「世界で前例のない五輪を開く」と意気込み、三選を目指す石原慎太郎知事(74)だが、五輪招致を石原都政の評価理由に挙げた人も、重要施策として新知事に五輪招致を求める人もわずかだった。有権者は五輪招致をそれほど重視していない実態が浮き彫りになった。 (高橋治子)
五輪招致への姿勢を男女別に見ると、男性は賛成が28・7%、反対が38・3%。女性は賛成が23・9%、反対が32・4%だった。
賛成意見が多いのは七十代以上の男性。回答者の43・5%が賛意を示した。女性でも七十代以上は賛成が反対を上回ったが、それ以外の男女別・年齢別ではすべて反対が多かった。特に、女性の五十代の42・0%、30代の33・3%が反対し、賛成に10ポイント以上の差をつけた。
石原氏は五輪招致を公約の「8つのプログラム」の一つに掲げているが、前宮城県知事の浅野史郎氏(59)は「招致を見直す」、建築家の黒川紀章氏(72)は「中止」、共産党推薦の元足立区長の吉田万三氏(59)は「白紙」を訴えている。
二期八年の石原都政を「評価する」人で、その理由に五輪招致を挙げた人は2・0%だけ。だが、石原氏を支持する人の招致への意見は、賛成派が50・1%でほぼ半数。「どちらでもない」が34・6%で、「反対」も13・7%いた。
浅野氏を支持する人では、招致反対派が61・7%を占め、賛成派は8・6%にとどまった。吉田氏の支持層では反対派が73・5%とさらに顕著で、賛成派は8・8%。黒川氏の支持層は反対派が64・0%で、賛成派が12・0%だった。
「公約や政策をみて」都知事を選ぶと答えた人では五輪賛成派が22・5%、反対派が40・1%。「自分が支持する政党の推薦や支持で選ぶ」と答えた人では、賛成派が40・0%、反対派が30・0%だった。
だが、新しい知事に最も力を入れてほしい政策で五輪招致を挙げた人は、1・7%にすぎない。五輪招致は、必ずしも候補者を選ぶ際の決め手になっていないようだ。
都議会は昨年三月、五輪を招致する決議を賛成多数(賛成一〇三、反対一八)で可決した。決議は自民、公明の両会派が提案し、民主も一部の議員を除いて賛成した。
今回の調査に答えた有権者の支持政党別では、自民支持層の五輪招致への賛成派は39・7%、反対派は21・9%。自民支持層のほぼ五人に一人が五輪招致に反対という結果となった。
公明支持層では51・1%が招致賛成だが、反対も10・6%。民主支持層でも賛成は17・5%止まりで、49・7%が反対だった。招致決議に反対した共産の支持層は、招致賛成派が11・4%、反対派が62・9%。各政党が招致決議に示した姿勢と、支持層の五輪招致への考え方は民主支持層を除いておおむね一致している。民主は浅野氏を側面支援する意向で、その浅野氏が五輪招致に慎重な姿勢を示していることが影響したともいえそうだ。
■『2016年東京五輪』とは
◆環境に優しい
太陽光発電や再生可能エネルギーの活用、全廃棄物のリサイクルなどで、これまでのどの大会よりも環境負荷を抑制することを目標としている。
環境に優しい都市モデルを提示するため、10年後に向け、豊かで潤いのある「みどりと水の都」の復活を掲げ、電線の地中化で街路樹を大幅に増やすことや、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量の大幅削減も目指す。
◆最新技術駆使
専用の携帯端末から、コンピューターにアクセスして情報を得る「ユビキタス」やロボットなど、日本の最先端の科学技術を世界に披露する機会と五輪をとらえ、観客やテレビ観戦者向けの「誰も体験したことのない」演出などに生かすとしている。
テロ対策などセキュリティーの分野にも最新技術を応用し、五輪で試された技術の成果を世界に普及させる契機とする。
◆コンパクトに
東京都の計画では、観客10万人規模のメーンスタジアムを中央区晴海に建設。全28競技、36会場のうち26競技、29会場を半径10キロ圏内に収め、世界一コンパクトな大会を目指す。また、選手村(江東区有明)から全会場までの道路に専用レーンを設け、車で20分以内の移動を可能にする。
メディアセンターは、築地市場(中央区築地)の移転跡地に建設する。
◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へ。
『東京新聞』(2007/3/20朝刊「TOKYO発」)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20070320/mng_____thatu___000.shtml
五輪反対3人に1人
東京の有権者の三人に一人は五輪招致反対-。二日後に告示を控えた東京都知事選(四月八日投開票)について、東京新聞が十六日から三日間行った電話世論調査で、都が進める二〇一六年夏季五輪招致は反対が賛成を9ポイント上回った。「世界で前例のない五輪を開く」と意気込み、三選を目指す石原慎太郎知事(74)だが、五輪招致を石原都政の評価理由に挙げた人も、重要施策として新知事に五輪招致を求める人もわずかだった。有権者は五輪招致をそれほど重視していない実態が浮き彫りになった。 (高橋治子)
五輪招致への姿勢を男女別に見ると、男性は賛成が28・7%、反対が38・3%。女性は賛成が23・9%、反対が32・4%だった。
賛成意見が多いのは七十代以上の男性。回答者の43・5%が賛意を示した。女性でも七十代以上は賛成が反対を上回ったが、それ以外の男女別・年齢別ではすべて反対が多かった。特に、女性の五十代の42・0%、30代の33・3%が反対し、賛成に10ポイント以上の差をつけた。
石原氏は五輪招致を公約の「8つのプログラム」の一つに掲げているが、前宮城県知事の浅野史郎氏(59)は「招致を見直す」、建築家の黒川紀章氏(72)は「中止」、共産党推薦の元足立区長の吉田万三氏(59)は「白紙」を訴えている。
二期八年の石原都政を「評価する」人で、その理由に五輪招致を挙げた人は2・0%だけ。だが、石原氏を支持する人の招致への意見は、賛成派が50・1%でほぼ半数。「どちらでもない」が34・6%で、「反対」も13・7%いた。
浅野氏を支持する人では、招致反対派が61・7%を占め、賛成派は8・6%にとどまった。吉田氏の支持層では反対派が73・5%とさらに顕著で、賛成派は8・8%。黒川氏の支持層は反対派が64・0%で、賛成派が12・0%だった。
「公約や政策をみて」都知事を選ぶと答えた人では五輪賛成派が22・5%、反対派が40・1%。「自分が支持する政党の推薦や支持で選ぶ」と答えた人では、賛成派が40・0%、反対派が30・0%だった。
だが、新しい知事に最も力を入れてほしい政策で五輪招致を挙げた人は、1・7%にすぎない。五輪招致は、必ずしも候補者を選ぶ際の決め手になっていないようだ。
都議会は昨年三月、五輪を招致する決議を賛成多数(賛成一〇三、反対一八)で可決した。決議は自民、公明の両会派が提案し、民主も一部の議員を除いて賛成した。
今回の調査に答えた有権者の支持政党別では、自民支持層の五輪招致への賛成派は39・7%、反対派は21・9%。自民支持層のほぼ五人に一人が五輪招致に反対という結果となった。
公明支持層では51・1%が招致賛成だが、反対も10・6%。民主支持層でも賛成は17・5%止まりで、49・7%が反対だった。招致決議に反対した共産の支持層は、招致賛成派が11・4%、反対派が62・9%。各政党が招致決議に示した姿勢と、支持層の五輪招致への考え方は民主支持層を除いておおむね一致している。民主は浅野氏を側面支援する意向で、その浅野氏が五輪招致に慎重な姿勢を示していることが影響したともいえそうだ。
■『2016年東京五輪』とは
◆環境に優しい
太陽光発電や再生可能エネルギーの活用、全廃棄物のリサイクルなどで、これまでのどの大会よりも環境負荷を抑制することを目標としている。
環境に優しい都市モデルを提示するため、10年後に向け、豊かで潤いのある「みどりと水の都」の復活を掲げ、電線の地中化で街路樹を大幅に増やすことや、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量の大幅削減も目指す。
◆最新技術駆使
専用の携帯端末から、コンピューターにアクセスして情報を得る「ユビキタス」やロボットなど、日本の最先端の科学技術を世界に披露する機会と五輪をとらえ、観客やテレビ観戦者向けの「誰も体験したことのない」演出などに生かすとしている。
テロ対策などセキュリティーの分野にも最新技術を応用し、五輪で試された技術の成果を世界に普及させる契機とする。
◆コンパクトに
東京都の計画では、観客10万人規模のメーンスタジアムを中央区晴海に建設。全28競技、36会場のうち26競技、29会場を半径10キロ圏内に収め、世界一コンパクトな大会を目指す。また、選手村(江東区有明)から全会場までの道路に専用レーンを設け、車で20分以内の移動を可能にする。
メディアセンターは、築地市場(中央区築地)の移転跡地に建設する。
◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へ。
『東京新聞』(2007/3/20朝刊「TOKYO発」)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20070320/mng_____thatu___000.shtml
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