◇ 深刻な学費滞納率
支援を求める現場教師の声
平成21年10月30日、全国私立学校教職員組合連合(東京都千代田区)は、私立中学校及び高等学校で3カ月以上学費を滞納している生徒の状況(同年9月末時点)、並びに経済的理由で私立中学校及び高等学校を退学した生徒の実情(学費未納による除籍を含む、同年4月~9月末)を把握することを目的に例年実施している調査の2009年度の結果を発表した。
◇ 学費滞納は退学の予兆?ー全国私教連・生徒調査
発表によれば、滞納率は、前年度より2.3ポイントアップの1.70%。直近の5年間の中でも、最も数値が高かった2006年度の1.75%に次ぐ高い未納率であることが分かった。
この結果について、同組合連合は、各年度9月末時点の滞納率と各年度末の経済的理由による中退率の関係・推移(図1)とを照らし合わせれば、年度末後半の中退者の続出が予想され得るとして、今後の早急なる対応の必要性を指摘している。
全国の8ブロックから報告された主な事例は別掲の通りだが、全体を俯瞰して分かったのは、
①1998年の調査開始以来最も深刻な状況が、それぞれの学校や地域で起こっていること
②不況、リストラ、経営不振が学校生活を直撃していること
③母子家庭などの、困窮度の高い生徒への援助が急務であること
④保証人がいないため奨学金の受給ができないこと
⑤学費ではなく、生活費捻出のためにアルバイトをせざるを得ないこと
ーなど、いずれも待ったなしの状態にある生徒が、想像以上に膨れ上がっているという事実だ。
こうした実態を受け、同組合連合では、
①国は、平成21年6月の特例交付金の補助率を引き上げ、09年度の再補正などによって各県の授業料減免事業を拡充する
②すべての県は、低所得世帯への学費全額免除を実施し、一人として経済的理由での中退者を出さない措置を取ってほしい
ーなどと主張し、同時に、公立高校無償化が新年度以降に実現する場合には、国公立だけでなく、私立高校にもその適用がなされるべきであると訴えている。
また、同組合連合自身として、
①行政への要求運動
②学園独自の奨学金や貸付け制度充実の働きかけ
③教職員、保護者などで連携した自主的な奨学基金創設
ーなど、に取り組む姿勢も鮮明にし、この基金に関しては、この調査結果の発表時点において、愛知と京都で実施済み、北海道と熊本が09年度中の創設を目指して募金活動を開始していることを明らかにしている。
「全国私教連」の略称で知られる全国私立学校教職員組合連合は、全国の私立高・中・小・幼・専修各種学校の教職員で組織された教職員組合の連合体。全国39都道府県が加盟し、組合員数は約2万人。私立高校関係の加盟校数は、580校(全国の私立高校1321校の44%)。
今回の調査は、同組合連合各県組織を通じて各学校の組合に配布し、調査用紙を回収する形式で実施。回答校・生徒総数は、高校が328校・26万9952人、中学の方が134校・5万2279人。高校の数値は、全私立1321校の4分の1の学校数、私立高校生99万7848人の27%の生徒数だった。
(続)
『大學新聞』(2010/1/1)
支援を求める現場教師の声
平成21年10月30日、全国私立学校教職員組合連合(東京都千代田区)は、私立中学校及び高等学校で3カ月以上学費を滞納している生徒の状況(同年9月末時点)、並びに経済的理由で私立中学校及び高等学校を退学した生徒の実情(学費未納による除籍を含む、同年4月~9月末)を把握することを目的に例年実施している調査の2009年度の結果を発表した。
◇ 学費滞納は退学の予兆?ー全国私教連・生徒調査
発表によれば、滞納率は、前年度より2.3ポイントアップの1.70%。直近の5年間の中でも、最も数値が高かった2006年度の1.75%に次ぐ高い未納率であることが分かった。
この結果について、同組合連合は、各年度9月末時点の滞納率と各年度末の経済的理由による中退率の関係・推移(図1)とを照らし合わせれば、年度末後半の中退者の続出が予想され得るとして、今後の早急なる対応の必要性を指摘している。
全国の8ブロックから報告された主な事例は別掲の通りだが、全体を俯瞰して分かったのは、
①1998年の調査開始以来最も深刻な状況が、それぞれの学校や地域で起こっていること
②不況、リストラ、経営不振が学校生活を直撃していること
③母子家庭などの、困窮度の高い生徒への援助が急務であること
④保証人がいないため奨学金の受給ができないこと
⑤学費ではなく、生活費捻出のためにアルバイトをせざるを得ないこと
ーなど、いずれも待ったなしの状態にある生徒が、想像以上に膨れ上がっているという事実だ。
こうした実態を受け、同組合連合では、
①国は、平成21年6月の特例交付金の補助率を引き上げ、09年度の再補正などによって各県の授業料減免事業を拡充する
②すべての県は、低所得世帯への学費全額免除を実施し、一人として経済的理由での中退者を出さない措置を取ってほしい
ーなどと主張し、同時に、公立高校無償化が新年度以降に実現する場合には、国公立だけでなく、私立高校にもその適用がなされるべきであると訴えている。
また、同組合連合自身として、
①行政への要求運動
②学園独自の奨学金や貸付け制度充実の働きかけ
③教職員、保護者などで連携した自主的な奨学基金創設
ーなど、に取り組む姿勢も鮮明にし、この基金に関しては、この調査結果の発表時点において、愛知と京都で実施済み、北海道と熊本が09年度中の創設を目指して募金活動を開始していることを明らかにしている。
「全国私教連」の略称で知られる全国私立学校教職員組合連合は、全国の私立高・中・小・幼・専修各種学校の教職員で組織された教職員組合の連合体。全国39都道府県が加盟し、組合員数は約2万人。私立高校関係の加盟校数は、580校(全国の私立高校1321校の44%)。
今回の調査は、同組合連合各県組織を通じて各学校の組合に配布し、調査用紙を回収する形式で実施。回答校・生徒総数は、高校が328校・26万9952人、中学の方が134校・5万2279人。高校の数値は、全私立1321校の4分の1の学校数、私立高校生99万7848人の27%の生徒数だった。
(続)
『大學新聞』(2010/1/1)
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