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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

消費税 大悪税論 <3>

2011年01月09日 | 格差社会
 消費税 大悪税論 <3>
 ◆ もともとは直接税 フランスをまねた
税理士 元静岡大学教授 湖東京至さん

 少々込み入った話ですが、消費税は「物にかかる間接税」ではありません
 このタイプの税金を考え出したのは米コロンビア大学のシャウプ博士です。付加価値税の名づけの親です。日本の消費税という呼ぴ名は、世界では付加価値税と言われているもので、消費税というのは日本だけです
 シャウプは1950年、日本で事業税に代えて付加価値税を入れたいと考えました。事業税は直接税そのものです。シャウプの考えた付加価値税は直接税でした。

 一方、ヨーロッパの付加価値税は間接税と定義されています
 フランスは第2次大戦中20%超の大型間接税を持っていましたが、1948年にシャウプの付加価値税を入れようと検討しました。しかし、シャウプの付加価値税は直接税ですから、輸出還付税制度がありません。もし直接税を還付するとガット協定(GATT=関税及び貿易に関する一般協定)違反になるというので、付加価値税をひねりにひねって「物にかかる間接税」と定義づけました。間接税だからガット協定には違反せず、輸出還付税が適用されます。
 それまでフランスはルノーなどに輸出補助金を払っていましたが、ガット協定が邪魔して出せなくなり、そこで考えたのがフランス型付加価値税でした
 日本は付加価値税では舌をかみそうだというので消費税という日本だけの特殊の名称を付けて導入を試みました。大平内閣の「一般消費税」から中曽根内閣の「売上税」、そして竹下内閣で「消費税」と名づけられましたが、本当は付加価値税が正しい名称です。
 ごまかされてはいけません。消費税の本質は「物にかかる間接税」ではないということです。消費税は3%が5%になり、なるほど消費者が負担はしています。しかし、もともとは直接税です。それを間接税だとして売り上げにかけ、そのように請求書や領収書に書く仕組みにしたのです。
 でも消費税は単純に5%税務署に納める税金ではありません。事業者は売り上げの5%から仕入れの5%を引いて納めるのです。これは「仕入税額控除方式」といわれる仕組みで、輸出還付金のための仕組みです、
 消費者が負担した5%の消費税はそのまま事業者から税務署には入りません。事業者は、年の決算期に1年間の売り上げの5%から仕入れの5%を引いて納めます。これが「仕入税額控除」です。
 しかし輸出商品は、輸出先でも間接税が課せられるので、日本の消費税を取ることはできません。そこで、仕入れのために支払った消費税分が還付されます。
 トヨタは輸出の占める割合が50%を超えますので、還付は2000億円を超えます。これが輸出還付制度の仕組みです。
 分かったような分からないような仕組みですね。つまり、こじつけの仕組みだから分かりにくいのです。
 (続)

『週刊新社会』(2010/12/28)

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