=戒告処分共同提訴・控訴審報告=
◆ 新たな裁判長の発言で、2月28日に再度法廷が開かれる
12月5日、元府立高校教員梅原さんたち7名による戒告処分共同提訴の第3回控訴審が開かれました。転勤した稲葉裁判長に代わり、新たに石井裁判長が裁判に加わりましたが、裁判長のある発言によって控訴審が再度開かれることになりました。法廷後の報告集会の内容にも触れながら法廷報告を行います。
◆ 「教育長通達」は「上級機関」から「下級機関」への職務命令?!に対する反論
冒頭、控訴人(7名)側と被控訴人(大阪府)側、双方から準備書面を陳述。実際の陳述は行われませんでしたが、それは「教育長通達」のそもそもの性格をめぐるものでした。
第2回法廷での稲葉裁判長による、かいつまんで云えば「教育長通達」はどういう性格のものかとの求釈明に、被控訴人側は、「通達」は上級機関が下級機関(校長、准校長、教職員という「機関」)に出した職務命令であり、
これは機関に属している限り、構成員に「有効」である。さらに、職務命令が服務規程のように法規として制定された場合は、機関に対する命令である、と回答。
これに対して控訴人側は、この論は公務員法上の「職務命令」と行政組織法上の「訓令」を混同する議論であり、いずれにせよ、裁判に取り上げるべき論議でもないと「準備書面(2)」で反論。
これに対し、被控訴人側は、「準備書面」において、前回主張は国家行政組織法上も成立する議論であり、これは地方公務員においても同様。職務命令は、「権限行使のあり方」を内容とするものに限らず、「職務遂行のあり方」を内容とするものについても発せられると反論し、現在に至っているということです。
陳述の後、控訴人側は、梅原さんの不起立が当時の生徒の「君が代」で起立斉唱したくないとの気持ちに寄り添った結果であることから、当該生徒を証人として法廷に呼ぶことを再度要請しました。
◆ 裁判長が井前さんの処分について「裁量権の逸脱・濫用」の主張をしないかと「持ちかける」?!
これで裁判が終わるのか、と思いきや、新裁判長が次のようなことを言い出しました。
井前さん以外の控訴人については双方の立証主張は終了したと思うが(立証主張が尽くされたとは決して思えませんが)、井前さんに関して、校長の職務命令が仮になかったとして、また教育長通達が仮に職務命令だとして、「処分」に関して「裁量権の逸脱・濫用」の主張はされないのか、と明らかに弁護団に話を「持ちかけた」のです。
弁護団は当然その主張を行うと答え、被控訴人側もそれに反論するとし、この日の法廷は終了しました。
◆ 報告集会--今後の見通しと「教育の自由」を守ろうとの主張
裁判後の報告集会では、裁判長からの話の意図が話題となりました。総合すると、裁判官たちは、校長からの井前さんへの職務命令を立証するのには困難を感じ、教育長通達を職務命令として有効として、それだけで処分を考えると判決をどうするか、といったあたりなのでしょう。
ただし、教育長通達を職務命令として有効とする場合、大阪府の例の「機関」への職務命令説を取るかどうかはわかりません。
いずれせよ、今回の被控訴人側「準備書面」には教育長通達は、教職員の「職務遂行のあり方」を命じたものとまで記されてあり、これを放置すれば、行政からの教育内容への介入まで容認する危険なものであるとの指摘が複数の方からなされました。
また、我々が「日の丸・君が代」裁判を闘っているのは、まさに憲法26条の内容、すなわち最高裁学テ判決で云われる「教育の自由」を保証するためであること、また、府教委自身が教育長通達に無理があることは承知して「機関」への命令説を出してきているのだからこれを打ち破る論理を打ち出すことはできないのか、さらに、やはり大阪府国旗国歌条例は教育内容への介入であるから、この違憲性・違法性を何度でも主張していくこと、といった意見交換がありました。
次回法廷はいよいよ最後となるかもしれません。梅原さん関係の証人申請を実現すること、さらに何らか後に役立つ成果を少しでも勝ち取るべく、最大限の結集をお願いします。
『大阪ネットニュース 第16号』(2018年12月23日)
◆ 新たな裁判長の発言で、2月28日に再度法廷が開かれる
12月5日、元府立高校教員梅原さんたち7名による戒告処分共同提訴の第3回控訴審が開かれました。転勤した稲葉裁判長に代わり、新たに石井裁判長が裁判に加わりましたが、裁判長のある発言によって控訴審が再度開かれることになりました。法廷後の報告集会の内容にも触れながら法廷報告を行います。
◆ 「教育長通達」は「上級機関」から「下級機関」への職務命令?!に対する反論
冒頭、控訴人(7名)側と被控訴人(大阪府)側、双方から準備書面を陳述。実際の陳述は行われませんでしたが、それは「教育長通達」のそもそもの性格をめぐるものでした。
第2回法廷での稲葉裁判長による、かいつまんで云えば「教育長通達」はどういう性格のものかとの求釈明に、被控訴人側は、「通達」は上級機関が下級機関(校長、准校長、教職員という「機関」)に出した職務命令であり、
これは機関に属している限り、構成員に「有効」である。さらに、職務命令が服務規程のように法規として制定された場合は、機関に対する命令である、と回答。
これに対して控訴人側は、この論は公務員法上の「職務命令」と行政組織法上の「訓令」を混同する議論であり、いずれにせよ、裁判に取り上げるべき論議でもないと「準備書面(2)」で反論。
これに対し、被控訴人側は、「準備書面」において、前回主張は国家行政組織法上も成立する議論であり、これは地方公務員においても同様。職務命令は、「権限行使のあり方」を内容とするものに限らず、「職務遂行のあり方」を内容とするものについても発せられると反論し、現在に至っているということです。
陳述の後、控訴人側は、梅原さんの不起立が当時の生徒の「君が代」で起立斉唱したくないとの気持ちに寄り添った結果であることから、当該生徒を証人として法廷に呼ぶことを再度要請しました。
◆ 裁判長が井前さんの処分について「裁量権の逸脱・濫用」の主張をしないかと「持ちかける」?!
これで裁判が終わるのか、と思いきや、新裁判長が次のようなことを言い出しました。
井前さん以外の控訴人については双方の立証主張は終了したと思うが(立証主張が尽くされたとは決して思えませんが)、井前さんに関して、校長の職務命令が仮になかったとして、また教育長通達が仮に職務命令だとして、「処分」に関して「裁量権の逸脱・濫用」の主張はされないのか、と明らかに弁護団に話を「持ちかけた」のです。
弁護団は当然その主張を行うと答え、被控訴人側もそれに反論するとし、この日の法廷は終了しました。
◆ 報告集会--今後の見通しと「教育の自由」を守ろうとの主張
裁判後の報告集会では、裁判長からの話の意図が話題となりました。総合すると、裁判官たちは、校長からの井前さんへの職務命令を立証するのには困難を感じ、教育長通達を職務命令として有効として、それだけで処分を考えると判決をどうするか、といったあたりなのでしょう。
ただし、教育長通達を職務命令として有効とする場合、大阪府の例の「機関」への職務命令説を取るかどうかはわかりません。
いずれせよ、今回の被控訴人側「準備書面」には教育長通達は、教職員の「職務遂行のあり方」を命じたものとまで記されてあり、これを放置すれば、行政からの教育内容への介入まで容認する危険なものであるとの指摘が複数の方からなされました。
また、我々が「日の丸・君が代」裁判を闘っているのは、まさに憲法26条の内容、すなわち最高裁学テ判決で云われる「教育の自由」を保証するためであること、また、府教委自身が教育長通達に無理があることは承知して「機関」への命令説を出してきているのだからこれを打ち破る論理を打ち出すことはできないのか、さらに、やはり大阪府国旗国歌条例は教育内容への介入であるから、この違憲性・違法性を何度でも主張していくこと、といった意見交換がありました。
次回法廷はいよいよ最後となるかもしれません。梅原さん関係の証人申請を実現すること、さらに何らか後に役立つ成果を少しでも勝ち取るべく、最大限の結集をお願いします。
『大阪ネットニュース 第16号』(2018年12月23日)
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