2016年1月26日
東京都教育委員会 教育長 中井敬三 殿 ◎ 卒・入学式を前に起立斉唱等の職務命令を出さないこと等を求める要請
「10.23通達」以来、子どもの学習権確保のために不利益覚悟で不服従を貫き懲戒処分を受けた教員の数は延べ474名にのぼります。最高裁は、職務命令が「思想及び良心の自由」の「間接的な制約」に当たることを認め、累積加重処分は「裁量権の範囲を超えるものとして違法の評価を免れない」との判断を示しました(2012年1月16日)。
2015年には東京高裁で、都の「裁量権の逸脱・濫用」を戒める3つの判断が示されました。
5月28日、河原井さん・根津さん07年処分取消裁判では、重すぎる処分は憲法が保障する「思想及び良心の自由の実質的な侵害につながる」とし、原告2人の停職6月処分取消と損害賠償が認められました。
12月4日、東京「君が代」裁判第3次訴訟では、都の控訴理由のすべてが「加重事由として重視するのは相当でない」と却けられ、都は上告を断念し、26人31件の戒告を超える全ての処分の取り消しが確定しました。
12月10日、再雇用拒否撤回2次訴訟では、「(本件職務命令の)非違性を重大であると評価して大きな不利益を課すこと」は裁量権の逸脱濫用として、原告22人全員に総額5千万円を超える損害賠償が認められました。
累積加重処分取消について言えば、2012年の最高裁判決以降争われた8つの裁判で、減給以上の処分が悉く取り消されてきています(通算取消確定数は65件55人にのぼります)【別添資料1.参照】。→2012jkeiretsu2015.xls
これら判例の積み重ねから、短期間に反復継続的に不利益が拡大する累積加重処分が許されないことは明らかです。
都教委は2012年最高裁判決直後に、「不起立行為等に対する懲戒においては・・・戒告を超えて減給以上の処分を選択することが許容される」と、誤った解釈を校長宛に通知し、その解釈の下にその後も累積加重処分を続けてきましたが、その方針は、今根本的に改められなければなりません。【別添資料2.参照】→2012kouchoutomari2016....
さらに、国連自由権規約委員会が「思想・良心・宗教の自由に対していかなる制約も差し控えるよう」とした勧告を、締約国の一行政機関として東京都が率先して尊重すべきことは、国際社会で尊敬され信用されるために当然のことです。
東京都教育委員会が、普遍的な教育の目的を実現するために、司法の判断を守りつつ、国連勧告を尊重して、自らの職責を正しく果たすことを求め、以下の諸点を要請します。
1.「10・23通達」を撤回すること。
2.教職員の思想及び良心の自由を制約する「職務命令」を発令しないこと。
3.教育上の信念ないし自らの歴史観・世界観に基づき行動した教職員に対して「懲戒処分」を発令しないこと。
4.司法判断を謙虚に受けとめ、これまで行った累積加重処分は取り消し、今後は二度と累積加重処分を行わないこと。
5.2015年12月4日の判決により処分取消が確定した3次訴訟原告5名に対して、遅滞なく不利益の実損回復措置を執ること。
6.これまで取り消しが確定した処分について、違法な処分を行ってきた責任の所在を明らかにすること。
7.違法な処分により、様々な不利益と精神的苦痛を被ってきた全原告に対し、謝罪すること。
8.過去の処分を取り消された教職員に対し、処分に伴う一切の不利益な取扱いを原状回復し、損害を賠償し、名誉回復措置をとること。
9.過去の処分を取り消された教職員に対し、同一の理由に基づく再処分を行わないこと。
10.不起立行為等に対する懲戒処分を理由とした再雇用拒否及び合格取消を撤回し、損害を賠償すること。そして今後、二度とこのような違法行為を行わないこと。
11.生徒の思想及び良心の自由の侵害を教員に強いる「3.13通達」を、撤回すること。
12.卒・入学式の前に生徒に「内心の自由」を告知することは、学校の創意工夫の1つであり、各学校の創意工夫に介入しないこと。
13.2012年最高裁判決の誤った解釈に基づいた、『都教委1.24議決』及び『卒業式・入学式等における職務命令違反による懲戒処分の考え方』を、撤回すること。
14.締約国の一行政機関の責務として、国連勧告(2014/7/24)を尊重し、実現に向けて誠実に努力すること。
五者卒業式・入学式対策本部
対策本部長:川村佐和(都立大森高校・全)
(回答期限) 2月9日(火)
(連絡先)花輪紅一郎
対策本部長:川村佐和(都立大森高校・全)
(回答期限) 2月9日(火)
(連絡先)花輪紅一郎
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