◆ 野村不動産、驚きの平均年収。
問題の「長時間労働」に社員の声は… (bizSPA!フレッシュ)
何かと話題になる「裁量労働制」。実際に働いた時間でなく、あらかじめ決められた労働時間に基づいて残業代込みの賃金を払う制度である。
これまで一部の専門職にのみ適応されていた同制度だが、政府が推し進める「働き方改革」の一環として、先の通常国会でに対象業務の拡大が図られていた。
というのも、この制度の問題点を浮き彫りにするような騒動がある大手不動産会社で勃発したのだ。
◆ 裁量労働制を違法適用、過労自殺した人も
2018年3月、大手不動産会社、野村不動産で裁量労働制を適用していた男性社員が過労により、2年前の2016年9月に自殺していたことが発覚。
同社は2017年12月25日にも厚生労働省東京労働局から「裁量労働権」を違法適用した疑いがあるとして、特別指導が行われた。その矢先の出来事だった。
さらに、約1900人いる従業員のうち、本来、制度の対象外である営業職などにも裁量労働制を適用。合計600人程度を裁量労働制で働かせるなど、全社的に制度を悪用していたことが判明し、2018年3月末で同社の裁量労働制は廃止された。
この影響は野村不動産内にとどまらず、現行の制度では悪用を防ぐことが難しいと判断され、政府は働き方改革関連法案に盛り込まれるはずだった、裁量労働制の対象拡大を先送りにしたのだ。
◆ 野村不動産の歴史
裁量労働制の違法適用を行ったものの、野村不動産は三井不動産、三菱地所、住友不動産など並んで就活生などにも人気の高い大手不動産会社だ。そもそも、どういった企業なのか? まずはその歴史から見ていきたい。
誕生は1957年のこと。もともとの親会社であった野村證券から分離独立しビルの賃貸管理を主業務とした賃貸管理業をスタート。2004年には野村不動産ホールディングス株式会社による持株会社制へと移行、現在に至った。
関連企業は野村不動産ホールディングスなども入れて全19社。現在では当初の賃貸管理業以外にも投資事業やマンション開発、「bono相模大野」や渋谷の「Gems」といった複合商業施設の運営。
さらには企業向け不動産サービスの実施、果ては東南アジアを中心とした海外進出など、不動産を中心として手広く事業を行っている。
◆ 平均年収は1000万以上
長時間労働の実態が取りざたされる一方で、働く人々にとっての大きな魅力もある。平均給与の高さだ。
連結従業員数6883人(平均年齢45.3歳)を誇る野村不動産の平均年収は、なんと1013万円(Yahoo!ファイナンスによる)。
もちろん、平均年齢がやや高いせいもあるが、日本の民間企業の平均年収約432万円と比較して、野村不動産がいかに高給取りかわかるデータだろう。
もちろん、この高待遇が過酷な労働環境の免罪符になるわけではないのだが。
◆ 福利厚生には満足の声も。だが労働時間は……
では、実際のところ野村不動産の社員は給与も含め待遇にどのような考えを抱いているのか。
年間2000万人が訪れる企業の口コミ・給与明細サイト「キャリコネ」ユーザーの情報から、社員のリアルな声をまとめた。
「野村證券の保険組合と同じ福利厚生で手厚い。若年次に対しては社宅もしくは寮の制度もあり。その点も手厚いと感じた。また、資格試験や英語習得に対する補助もあり、従業員のスキルアップに対しての補助も以前より高まっており自己啓発へのきっかけを提供しているところも良い」(建築・設備関連職/20代後半男性/正社員/550万円/2016年度)
平均年齢が45.2歳の野村不動産だが、若年層でも働きやすいように工夫は行われているようだ。
◆ 長時間労働の実態を指摘する声も……
一方で、より厳しい視点で就業実態に踏み込んだ口コミも見られた。
「長時間労働が続き精神的につらくなったのと異動で、上司とトラブルが絶えなかったため。上司の当たりはずれや部署の当たりはずれは多い。退職者は最近多い傾向にあります」(企画営業/40代前半女性/正社員/1000万円/2016年度)
こちらの口コミは飲み会や休日出勤の実態などかなり生々しい話が綴られている。
「勤務時間がとても長く真夜中まで働くこともありました。休日出勤する人もいたので、ワークライフバランスを重視する方にはオススメできません。会社的には、残業を推進せず、パソコンも22時になるとシャットダウンされますが、その後も仕事がたくさんあり、残業せざるを得ません」(コンサルティング営業/20代後半女性/正社員/450万円/2014年度)
社員の中でもやはり長時間労働の実態に疑問を感じている人はいる様子。いくら給与が多くとも、使う本人が健康であってこそのもの。野村不動産が今後どのように舵を切っていくのか、気になるところだ。
<TEXT/小林たかし データ/キャリコネ(運営:グローバルウェイ)>
bizSPA!フレッシュ 編集部
『bizSPA!フレッシュ - Yahoo!ニュース』(2018/12/20)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181220-00099604-bizspa-bus_all
問題の「長時間労働」に社員の声は… (bizSPA!フレッシュ)
何かと話題になる「裁量労働制」。実際に働いた時間でなく、あらかじめ決められた労働時間に基づいて残業代込みの賃金を払う制度である。
これまで一部の専門職にのみ適応されていた同制度だが、政府が推し進める「働き方改革」の一環として、先の通常国会でに対象業務の拡大が図られていた。
というのも、この制度の問題点を浮き彫りにするような騒動がある大手不動産会社で勃発したのだ。
◆ 裁量労働制を違法適用、過労自殺した人も
2018年3月、大手不動産会社、野村不動産で裁量労働制を適用していた男性社員が過労により、2年前の2016年9月に自殺していたことが発覚。
同社は2017年12月25日にも厚生労働省東京労働局から「裁量労働権」を違法適用した疑いがあるとして、特別指導が行われた。その矢先の出来事だった。
さらに、約1900人いる従業員のうち、本来、制度の対象外である営業職などにも裁量労働制を適用。合計600人程度を裁量労働制で働かせるなど、全社的に制度を悪用していたことが判明し、2018年3月末で同社の裁量労働制は廃止された。
この影響は野村不動産内にとどまらず、現行の制度では悪用を防ぐことが難しいと判断され、政府は働き方改革関連法案に盛り込まれるはずだった、裁量労働制の対象拡大を先送りにしたのだ。
◆ 野村不動産の歴史
裁量労働制の違法適用を行ったものの、野村不動産は三井不動産、三菱地所、住友不動産など並んで就活生などにも人気の高い大手不動産会社だ。そもそも、どういった企業なのか? まずはその歴史から見ていきたい。
誕生は1957年のこと。もともとの親会社であった野村證券から分離独立しビルの賃貸管理を主業務とした賃貸管理業をスタート。2004年には野村不動産ホールディングス株式会社による持株会社制へと移行、現在に至った。
関連企業は野村不動産ホールディングスなども入れて全19社。現在では当初の賃貸管理業以外にも投資事業やマンション開発、「bono相模大野」や渋谷の「Gems」といった複合商業施設の運営。
さらには企業向け不動産サービスの実施、果ては東南アジアを中心とした海外進出など、不動産を中心として手広く事業を行っている。
◆ 平均年収は1000万以上
長時間労働の実態が取りざたされる一方で、働く人々にとっての大きな魅力もある。平均給与の高さだ。
連結従業員数6883人(平均年齢45.3歳)を誇る野村不動産の平均年収は、なんと1013万円(Yahoo!ファイナンスによる)。
もちろん、平均年齢がやや高いせいもあるが、日本の民間企業の平均年収約432万円と比較して、野村不動産がいかに高給取りかわかるデータだろう。
もちろん、この高待遇が過酷な労働環境の免罪符になるわけではないのだが。
◆ 福利厚生には満足の声も。だが労働時間は……
では、実際のところ野村不動産の社員は給与も含め待遇にどのような考えを抱いているのか。
年間2000万人が訪れる企業の口コミ・給与明細サイト「キャリコネ」ユーザーの情報から、社員のリアルな声をまとめた。
「野村證券の保険組合と同じ福利厚生で手厚い。若年次に対しては社宅もしくは寮の制度もあり。その点も手厚いと感じた。また、資格試験や英語習得に対する補助もあり、従業員のスキルアップに対しての補助も以前より高まっており自己啓発へのきっかけを提供しているところも良い」(建築・設備関連職/20代後半男性/正社員/550万円/2016年度)
平均年齢が45.2歳の野村不動産だが、若年層でも働きやすいように工夫は行われているようだ。
◆ 長時間労働の実態を指摘する声も……
一方で、より厳しい視点で就業実態に踏み込んだ口コミも見られた。
「長時間労働が続き精神的につらくなったのと異動で、上司とトラブルが絶えなかったため。上司の当たりはずれや部署の当たりはずれは多い。退職者は最近多い傾向にあります」(企画営業/40代前半女性/正社員/1000万円/2016年度)
こちらの口コミは飲み会や休日出勤の実態などかなり生々しい話が綴られている。
「勤務時間がとても長く真夜中まで働くこともありました。休日出勤する人もいたので、ワークライフバランスを重視する方にはオススメできません。会社的には、残業を推進せず、パソコンも22時になるとシャットダウンされますが、その後も仕事がたくさんあり、残業せざるを得ません」(コンサルティング営業/20代後半女性/正社員/450万円/2014年度)
社員の中でもやはり長時間労働の実態に疑問を感じている人はいる様子。いくら給与が多くとも、使う本人が健康であってこそのもの。野村不動産が今後どのように舵を切っていくのか、気になるところだ。
<TEXT/小林たかし データ/キャリコネ(運営:グローバルウェイ)>
bizSPA!フレッシュ 編集部
『bizSPA!フレッシュ - Yahoo!ニュース』(2018/12/20)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181220-00099604-bizspa-bus_all
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