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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

派遣社員はどこまで「派遣」されるのか

2008年11月16日 | 格差社会
  【週刊金曜日 風速計】
 ☆ 派遣社員はどこまで「派遣」されるのか

雨宮 処凛

 10月19日、明治公園で「反貧困ネットワーク」による「反貧困世直しイッキ!大集会」が開催された。私も「労働」についてのシンポジウムで司会をさせてもらった。

 集会の発言者の中には、中国の大連に派遣労働者として派遣された30代の男性がいた。渡航費は自分持ち、時給は300円、仕事はコールセンターで日本からの電話を受ける。派遣会社は「語学研修」などを謳い文句にしていたものの、実際は週に一度、日本語が少しできるくらいの中国人が「ニーハオ」「シェイシェイ」とか言う程度。家賃や光熱費、食費などの経費は月に5万8000円ほどかかるものの、給料は5万円程度。貯金を切り崩しながらの生活だったという。今まで、コールセンターの多くは沖縄にあった。最低賃金が安いからだ。が、中国に日本のフリーターを派遣させてしまえば時給300円でこき使える。そんな「裏技」的なやり方に言葉をなくした。

 「海外で働けます」「語学研修でスキルアップ!」。今後、日本の派遣会社はそんな手を多く使ってくるだろう。「フリーターの中国派遣」の話を聞いて、あまりにもグローバルな「使い捨て」の実態に、なんだか気が遠くなる思いがした。

 もはや「国籍」など何の関係もない。貧乏人か、金持ちか、その区分にしか意味はない。実際、イラクでは運転手や料理人として多くの貧しい人々が派遣会社から派遣されている。このまま行けば、気がつけば派遣先・イラクなんてことがあってもおかしくないような気がしてくる。

 最近、外国人労働者の間では「自分たちより安い時給で働く日本人」のことが話題になっているという。たとえば工場で働くブラジル人よりも安い時給で働く日本人のフリーター、という構図だ。また、日雇い派遣で働く人の中には、お金のない高齢者も多い。

 こうして考えていくと、一体どこから手をつけていけばいいのか、本当にわからなくなってくる。この巧妙に入り組んだシステムの、どこに突破口があるのか。そして「貧困」を突き詰めていくと、結局「戦争」にぶち当たるという実態
 11月29日、30日には、貧困と戦争について考える「反戦と抵抗の祭<フェスタ>08」が開催される。ぜひ、一緒に考えていきたいと思う。

『週刊金曜日』(第725号 2008年10月31日【風速計】)
http://www2.kinyobi.co.jp/KTools/fusoku_pt?v=vol725

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