パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

推定無罪

2007年01月29日 | 人権
『Shall we ダンス?』で映画賞を総ざらいしてから11年。周防正行監督が復活する。
【映画】『それでもボクはやっていない』
周防監督が伝えたかった日本の刑事裁判有罪率99.86%の「驚くべき現状」
 加瀬亮、役所広司、瀬戸朝香、もといまさこ、山本耕史
 2007年1月20日(土)より、シャンテシネほかにてロードショー

 ◆ 推定無罪
               『澤藤統一郎の憲法日記』

 残念ながら体調を崩して試写会には行けなかったが、周防正行監督の新作「それでもボクはやっていない」が話題になっている。同監督は日本の刑事裁判の異常さについて語っており、世論に大きな影響を与えそうだ。
 その批判の根幹は、「被告人が無罪を証明できない限り有罪になったしまう」という、現実の恐ろしさにある。事実上の「有罪推定」がなされているのだ。それが、異常な有罪率の高さに表れている。

 「あなたが裁判員になるとしますね。うっかりすると、目の前の被告人が犯罪を犯したのかどうか、この被告人を裁くという気持ちになってしまいませんか。それは間違いだと思います。本来は、検察官が揺るがぬ有罪の証拠を法廷に提出しているかどうか、そこを吟味し、そこを裁かなくてはならない」
 なんと示唆に富んだ上手な言い回しだろう。
 トゥローの刑事裁判小説『推定無罪』に、実に魅力的な黒人の裁判長が陪審員に心得を諭す場面がある。私の印象で記せば、以下のとおり。

 「被告人が有罪か無罪か、白紙の態度で臨むなどはもってのほか。私のコートでは、そんな陪審員は不適格です。いいですか、被告人は無罪なのですよ。被告人は無罪と自分に言い聞かせてください。そう思いこまなければいけません。それが法の要求するところです。無罪と推定されるとはそういうことなのです」

 アメリカの刑事法廷ではいざ知らず、我が国の刑事裁判では、「推定無罪」の原則はなく、「有罪の推定」がなされているのだ。
 だから、ヘンなことが起こる。
 昨日富山県警は、ある強姦事件で「真犯人」を逮捕した。ところが、その事件では別人が既に起訴され有罪の判決を受け服役も済んでいるというのだ。
 冤罪が頻繁に起こっていること、にもかかわらず無罪獲得がどんなに困難かを物語っている。本来は無実であった被告人の弁護人も「冤罪とはまったく気付かなかった」とコメントしている。
 弁護士を含めて、刑事司法に関わる者が、「推定無罪」の原則を噛みしめなくてはならない。
 自戒しよう。

2007年01月20日(土)15:42 この記事のURL 日記 澤藤統一郎
http://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/sawafuji/

『それでもぽくはやっていない 公式サイト』

http://www.soreboku.jp/index.html

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