《The Interschool Journal から》
◆ 中曽根元首相の合同葬 文科省が弔意表明の協力通知
教育の政治的中立性から批判の声も
17日に行われる予定の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬に関し、文科省が都道府県教育委員会や国立大学などに弔意表明の協力を通知したことが波紋を呼んでいる。
自民党の重鎮だった中曽根元首相の合同葬で教育機関が弔意表明を行うことに「教育の政治的中立性や思想・良心の自由に反する」などと批判の声が上がっている。
文科省は13日、藤原誠事務次官名で都道府県教委や国立大学などに通知を出し、中曽根元首相の合同葬に際し、黙祷や弔旗掲揚など弔意表明への協力を依頼した。依頼は加藤勝信官房長官から萩生田光一文科相への通知を受けて発出された。
◆ 文科相「児童生徒・学生は対象外」
萩生田光一文科相は16日の会見で、黙祷や弔旗の掲揚は「関係機関において自主的に判断されることになるものであって、強制を伴うものではない」とした上で「児童生徒や学生を直接の対象として想定しているものでもないため、教育の中立性を侵すものではない」との見解を示した。また、萩生田文科相は過去の事例を踏まえ、前例踏襲したのかと問われた際、「そうです」と認めた。
◆ 都教委と大阪府教委 全く正反対の対応
文科省の通知を受け、大阪府教育委員会は当初教育基本法14条に定める教育の政治的中立性に抵触する可能性を懸念していたという。府教委が15日に文科省に確認したところ「学校現場は対象と考えていないということがはっきりした」のだという。府教委は最終的に「府立学校に通知を送るよう求める指示ではない」として府立学校に通知を送らないことを決めた。
一方、東京都教育委員会は14日付で都立学校と区市町村教委に文科省の通知を送付した。
都教委は「閣議了解等踏まえて一国の元内閣総理大臣の逝去に際して公の機関として広く哀悼の意を表すということで参考周知されたもの」(総務課)として国の依頼に応じた。都教委としては「都立学校とか区市町村教委に対してこれについて何かやってくださいというお願いは全くしてない」(同)という。しかし都立学校で弔意表明が行われる可能性について都教委の担当者は「学校の判断としてそういったことはあると思う」と述べ、否定しなかった。
東京都と大阪府の教委への取材を通じて「児童生徒・学生は対象外」という文科省の意図が教育委員会側に十分に伝わっていない実態が明らかになった。
萩生田文科相は「間違っても児童生徒が学校に出てきて黙祷するなんてことは想定をしていないし、望んでいない。そのことはできるだけ間違わないように分かりやすく伝えたつもり。」と述べているが、バリバリ間違って伝わっていることは明らかだろう。
最低限「児童生徒・学生は対象外」等の注釈をつけるべきではなかったか。
◆ 過去の合同葬では国立大や教委に通知せず
元首相の死去に伴う、内閣と自民党の合同葬は過去にも行われている。2007年に行われた宮澤喜一元首相の合同葬では、官房長官から関係機関への通知を求められていなかったため、文科省は国立大学法人や教育委員会への通知は発出しなかったという。前例踏襲と言っているが今回関係機関への通知をなぜ求めたのか、加藤勝信官房長官は説明すべきだ。
『The Interschool Journal』(2020年10月16日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/24495992archives/20201016html
◆ 中曽根元首相の合同葬 文科省が弔意表明の協力通知
教育の政治的中立性から批判の声も
平松けんじ
17日に行われる予定の中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬に関し、文科省が都道府県教育委員会や国立大学などに弔意表明の協力を通知したことが波紋を呼んでいる。
自民党の重鎮だった中曽根元首相の合同葬で教育機関が弔意表明を行うことに「教育の政治的中立性や思想・良心の自由に反する」などと批判の声が上がっている。
文科省は13日、藤原誠事務次官名で都道府県教委や国立大学などに通知を出し、中曽根元首相の合同葬に際し、黙祷や弔旗掲揚など弔意表明への協力を依頼した。依頼は加藤勝信官房長官から萩生田光一文科相への通知を受けて発出された。
◆ 文科相「児童生徒・学生は対象外」
萩生田光一文科相は16日の会見で、黙祷や弔旗の掲揚は「関係機関において自主的に判断されることになるものであって、強制を伴うものではない」とした上で「児童生徒や学生を直接の対象として想定しているものでもないため、教育の中立性を侵すものではない」との見解を示した。また、萩生田文科相は過去の事例を踏まえ、前例踏襲したのかと問われた際、「そうです」と認めた。
◆ 都教委と大阪府教委 全く正反対の対応
文科省の通知を受け、大阪府教育委員会は当初教育基本法14条に定める教育の政治的中立性に抵触する可能性を懸念していたという。府教委が15日に文科省に確認したところ「学校現場は対象と考えていないということがはっきりした」のだという。府教委は最終的に「府立学校に通知を送るよう求める指示ではない」として府立学校に通知を送らないことを決めた。
一方、東京都教育委員会は14日付で都立学校と区市町村教委に文科省の通知を送付した。
都教委は「閣議了解等踏まえて一国の元内閣総理大臣の逝去に際して公の機関として広く哀悼の意を表すということで参考周知されたもの」(総務課)として国の依頼に応じた。都教委としては「都立学校とか区市町村教委に対してこれについて何かやってくださいというお願いは全くしてない」(同)という。しかし都立学校で弔意表明が行われる可能性について都教委の担当者は「学校の判断としてそういったことはあると思う」と述べ、否定しなかった。
東京都と大阪府の教委への取材を通じて「児童生徒・学生は対象外」という文科省の意図が教育委員会側に十分に伝わっていない実態が明らかになった。
萩生田文科相は「間違っても児童生徒が学校に出てきて黙祷するなんてことは想定をしていないし、望んでいない。そのことはできるだけ間違わないように分かりやすく伝えたつもり。」と述べているが、バリバリ間違って伝わっていることは明らかだろう。
最低限「児童生徒・学生は対象外」等の注釈をつけるべきではなかったか。
◆ 過去の合同葬では国立大や教委に通知せず
元首相の死去に伴う、内閣と自民党の合同葬は過去にも行われている。2007年に行われた宮澤喜一元首相の合同葬では、官房長官から関係機関への通知を求められていなかったため、文科省は国立大学法人や教育委員会への通知は発出しなかったという。前例踏襲と言っているが今回関係機関への通知をなぜ求めたのか、加藤勝信官房長官は説明すべきだ。
『The Interschool Journal』(2020年10月16日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/24495992archives/20201016html
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます