「日の丸・君が代」で分限免職狙う都教委
◆ 許されない「分限指針」
この4月から病気で長期休職に入っていた都立高校教員のKさんに管理職から「会いたい」と電話がかかってきた。夏期休業中の8月であった。病気療養の経緯について聞きたいということで改めて面接の日程が設定された。
休職者に対する都教委のこうした動きは一斉に始まっている。9月1日の始業式では「○○先生は退職(分限)になりました」と校長が報告した学校もある。
こうして今、精神疾患などの長期休職者に対する首切り策動が始まっている。7月15日に出された「分限指針」に基づき都教委が一斉に指令を出したと考えられる。
◆ 7月15日に新通知
夏休み直前の7月15日、都教委は大原正行教育長名で「『分限事由に該当する可能性のある教職員に関する対応指針』の策定について(通知)」(リンク)の文書を発した。この通知に従い、夏期休業直前の学校で校長が全職員を集めこの内容を周知した学校もいくつかあった。
また、7月22日に実施された再発防止研修(「日の丸・君が代」関連の被処分者を対象)でもこの「通知」が読み上げられ、被処分者が伺喝された。この「分限通知」は都教委だけではなく都の他局でも出されている。このため労働組合では「都労連対応だ」と、これへの対応が遅れている。すでに首切りが始まっている状況の中で、早急な組合の対応が望まれる。
◆ 「分限処分」の指針
まず目につくことはこの「指針」が7月15日付であるにもかかわらず、同日の施行になっていることだ。これほどひどい内容が教職員に周知されないままに実施されるのであるから法原則に反するというものだ。
この「通知」とともに「『服務』及び『分限と懲戒』に関する資料」が出され、分限事由の例として21項目が示されている。
ところが、ここに明記された分限事由の多くは、これまで服務規程として「懲戒」の対象とされてきたものだ。従って、この文書は、従来の「懲戒」と「分限」が混同されていると言える。しかも管理職による極めて恣意的な適用が可能となる項目がいくつも明記されている。
「分限」とは「懲戒」以外の総称であるが、地公法28条では、勤務実績不良、心身疾患・職務遂行に支障、適格性の欠如、等が示されている。その適用は任命権者の裁量による比重が大きくなるため、基準が示されるとともに、きわめて限定的、公正でなければならないことが原則となっている。
ところが、今回指針は管理職の恣意的適用が可能となっている。
◆ 被処分者の弾圧射程に
この「指針」は、「日の丸・君が代」関係の被処分者や組合活動家を射程に入れていると考えられる。「職務命令違反」「服務処分を受けたにもかかわらず非違行為を行う」「信用失墜行為」「研修を受講しない、または研修の成果があがらない」などは、そのまま現在の反「日の丸・君が代」運動に参加する教職員に適用可能な項目だ。
また、「上司への暴言」などは、組合の校長交渉などで適用されかねない。さらにひどいのは「無断で離席」で、児童生徒を対象にした職務の教職員は椅子に座っている暇などない。「当日休暇が多い」もひどいもので、本人や家族が急な病気で当日休暇をとると適用されることとなる。こんな「指針」は即時に撤回させるべきだ。
『週刊新社会』(2008/9/16)
◆ 許されない「分限指針」
予防訴訟をすすめる会共同代表 永井栄俊(学校教員)
この4月から病気で長期休職に入っていた都立高校教員のKさんに管理職から「会いたい」と電話がかかってきた。夏期休業中の8月であった。病気療養の経緯について聞きたいということで改めて面接の日程が設定された。
休職者に対する都教委のこうした動きは一斉に始まっている。9月1日の始業式では「○○先生は退職(分限)になりました」と校長が報告した学校もある。
こうして今、精神疾患などの長期休職者に対する首切り策動が始まっている。7月15日に出された「分限指針」に基づき都教委が一斉に指令を出したと考えられる。
◆ 7月15日に新通知
夏休み直前の7月15日、都教委は大原正行教育長名で「『分限事由に該当する可能性のある教職員に関する対応指針』の策定について(通知)」(リンク)の文書を発した。この通知に従い、夏期休業直前の学校で校長が全職員を集めこの内容を周知した学校もいくつかあった。
また、7月22日に実施された再発防止研修(「日の丸・君が代」関連の被処分者を対象)でもこの「通知」が読み上げられ、被処分者が伺喝された。この「分限通知」は都教委だけではなく都の他局でも出されている。このため労働組合では「都労連対応だ」と、これへの対応が遅れている。すでに首切りが始まっている状況の中で、早急な組合の対応が望まれる。
◆ 「分限処分」の指針
まず目につくことはこの「指針」が7月15日付であるにもかかわらず、同日の施行になっていることだ。これほどひどい内容が教職員に周知されないままに実施されるのであるから法原則に反するというものだ。
この「通知」とともに「『服務』及び『分限と懲戒』に関する資料」が出され、分限事由の例として21項目が示されている。
ところが、ここに明記された分限事由の多くは、これまで服務規程として「懲戒」の対象とされてきたものだ。従って、この文書は、従来の「懲戒」と「分限」が混同されていると言える。しかも管理職による極めて恣意的な適用が可能となる項目がいくつも明記されている。
「分限」とは「懲戒」以外の総称であるが、地公法28条では、勤務実績不良、心身疾患・職務遂行に支障、適格性の欠如、等が示されている。その適用は任命権者の裁量による比重が大きくなるため、基準が示されるとともに、きわめて限定的、公正でなければならないことが原則となっている。
ところが、今回指針は管理職の恣意的適用が可能となっている。
◆ 被処分者の弾圧射程に
この「指針」は、「日の丸・君が代」関係の被処分者や組合活動家を射程に入れていると考えられる。「職務命令違反」「服務処分を受けたにもかかわらず非違行為を行う」「信用失墜行為」「研修を受講しない、または研修の成果があがらない」などは、そのまま現在の反「日の丸・君が代」運動に参加する教職員に適用可能な項目だ。
また、「上司への暴言」などは、組合の校長交渉などで適用されかねない。さらにひどいのは「無断で離席」で、児童生徒を対象にした職務の教職員は椅子に座っている暇などない。「当日休暇が多い」もひどいもので、本人や家族が急な病気で当日休暇をとると適用されることとなる。こんな「指針」は即時に撤回させるべきだ。
『週刊新社会』(2008/9/16)
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