● 不幸に満ちた国 鎌田慧
エミール・デュルケームのよく知られている自殺論に、「人は社会から切り離されるとき自殺しやすくなるが、あまりに強く社会の中に統合されていると、おなじく自殺をはかるものである」という一節がある。
学校集団の中で無視された孤絶感からの子どもの「いじめ自殺」や、会社に統合されていて、残業を拒否して会社社会から脱落できない、若者や中高年の「過労自殺」などが、あてはまる。
このほかにも、自殺大国ニッポンには、中小企業主や多重債務者の保険金をあてにした消費者金融地獄自殺、老人の介護疲れ自殺などがある。老いも若きも絶望の淵に追い立てられ、「先進国最大」の自殺率には、歯止めがかかりそうもない。
レフ・トルストイは、これまた有名なアンナ・カレーニナの冒頭に、「すべての幸福な家庭はたがいに似かよっているが、不幸な家庭はそれぞれ不幸の趣を異にしている」と書いた。
なんとこの国のすみずみにまで、さまざまな顔をした不幸が満ちあふれていることか。
天寿をまっとうするためには、これら年代別にやってくる試練のハードルを、「自己責任」によって乗り越えなければならない。
自殺者を負け犬と見下す政治が、「経済大国」をつくってきた。いつ自分がその負け犬の群れに落とされることか。
「競争社会」といいつつ、世襲制政治の息子たちが、この生きにくい社会にしてきたのではないか。(ルポライター)
『東京新聞』(11/7)「本音のコラム」
● 慎太郎知事「愉快犯」…文科省に届けられた「自殺証明書」11日期日
いじめが原因で「11日に自殺する」との手紙が文部科学省に届いた問題で、石原慎太郎都知事(74)が10日、「あんなのは大人の文章だね」と手紙が“偽物”であるとの見方を示した。
また石原知事は、いじめを苦にした自殺が相次いでいることについて「甘ったれている」などと指摘。問題解決のために「もうちょっと親がしっかりしたらいい」との持論を述べた。文科省はこの日、自殺を示唆する手紙が新たに5通届いたと発表。自殺の決行日とされる11日、東京都豊島区では、管轄の3警察署が“厳戒態勢”をしくという。
文科省に6日に届けられた「いじめが原因の自殺証明書」について、石原知事が信ぴょう性に疑問を投げかけた。
「あんなのは、大人の文章だね。愉快犯っていうか。今の中学生にあんな文章力はない。理路整然としていて。私は(本物とは)違うと思う」
文書は「11日に学校内で自殺する」と予告している。手紙が投函(とうかん)された可能性が高いとされる東京都豊島区を管轄する警察署は、11日に区内の学校周辺を重点的にパトロールすることを決めている。
「届けられた方は迷惑千万。放っておくわけにもいかないだろうが。(自殺を)予告した日は、あしたですか。今まで文科省は何をやったのか知らんけど、あれだけの騒ぎになって、(文書を送った)当人は満足して、死なないの? 死ぬの?」親にも問題がある 文科省には、同様の自殺予告手紙が相次いでいるが「自殺なんか、予告して死ぬなって。甘ったれているというか」と厳しい言葉を投げかけた石原知事は、独自の“教育哲学”を披露した。
「親はなんで(いじめ問題に)関与してこないのかね。まず親が関与すべきじゃないか。私なんか、子供にけんかの仕方を教えましたよ。そしたら効果があって、たちまち相手を倒して番長になっちゃった。そういうことを親が教えればいい」
実際に、長男の伸晃自民党幹事長代理(49)の小学生時代の“いじめエピソード”を挙げた。
「先生に、私の名前をもじった実にいやらしいあだ名をつけられ、いじめられた。私はそれを聞き、すぐに校長に電話して『僕に劣等感があるか知らんが、もし改めなければ学校に出向いてその先生をぶん殴るからな。あんたの監督責任も問われるぞ』と言ったら、(いじめを)やめさせましたよ」
石原知事自身も、いじめを経験したという。
「僕だって、転校してきた時にいじめられた記憶があるが、やっぱり自分で戦った方がいいと思う。こらえ性がないだけでなく、ファイティングスピリットがないと、一生どこへ行ってもいじめられるんじゃないの」
一方で、いじめを先導する教師に対しては、厳しく批判した。
「陰湿なのは、教師がいじめること。これは本当に子供にとって不幸だ。卑しい、貧しい教師がいる。自分の人生の弱み、ひがみを、教えている弱い子供にぶつけている。生徒もいっしょになっていじめてしまう。そういう教師は許せない」
(スポーツ報知) - 11月11日8時4分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061111-00000042-sph-soci&kz=soci
●いじめ苦の自殺予告手紙、文科相宛て届く
いじめを苦にした自殺を予告する文部科学相あての手紙が6日、文部科学省に届き、同省は7日午前0時過ぎ、銭谷真美・初等中等教育局長が異例の緊急会見を開いた。
封筒のあて名には「伊吹文明大臣様」と書かれ、中に大臣、教育委員会、校長、担任、同級生、その保護者、両親に向けた計7通の手紙が入っていた。差出人の名前や地域、学校名などを特定できるものは記載されていなかった。
大臣あての手紙では、「8日までになにもかわらなかったら、自殺します。場所は学校でします」とし、「11日土曜日に自殺することを証明します」と書いていた。「クラスのみんなへ」と原稿用紙に書かれた手紙の中では、「なぜ僕をいじめるのですか。『キモイ』からですか『クサイ』からですか」「なぜ僕をさけるのですか。なぜ僕のズボンをおろすのですか」などと訴えていた。
(読売新聞) - 11月7日3時3分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061106-00000019-yom-soci
●自殺示唆の手紙新たに5通 文科相あてに
いじめによる自殺を予告する手紙が文部科学省に届いている問題で、同省は10日、自殺を示唆する内容の手紙が新たに5通届いたと発表した。
いずれも伊吹文明文科相あての封書で、同日午前中に文科省に届いた。同省は東京都教育委員会などに、該当する事例がないかなどの確認を要請した。
5通のうち3通は尼崎北(兵庫県)、町田、成城(いずれも東京都)の8日付の消印が押され「いじめに遭っている」「自分も自殺する」といった内容の文章が書かれていた。
残る2通については、学校名や教師の名前が書かれており、うち1通は事例が特定できたため、学校長に適切に対応するよう求めたという。
伊吹文科相は、10日の衆院教育基本法特別委員会で、自殺予告の手紙が相次いでいることに「命を守るために、本当に困っている人は学校や両親に相談してほしいが、その人たちを混乱させるような手紙は慎んでもらいたい」と話した。
(共同)(2006年11月10日 17時54分)
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006111001000443.html
エミール・デュルケームのよく知られている自殺論に、「人は社会から切り離されるとき自殺しやすくなるが、あまりに強く社会の中に統合されていると、おなじく自殺をはかるものである」という一節がある。
学校集団の中で無視された孤絶感からの子どもの「いじめ自殺」や、会社に統合されていて、残業を拒否して会社社会から脱落できない、若者や中高年の「過労自殺」などが、あてはまる。
このほかにも、自殺大国ニッポンには、中小企業主や多重債務者の保険金をあてにした消費者金融地獄自殺、老人の介護疲れ自殺などがある。老いも若きも絶望の淵に追い立てられ、「先進国最大」の自殺率には、歯止めがかかりそうもない。
レフ・トルストイは、これまた有名なアンナ・カレーニナの冒頭に、「すべての幸福な家庭はたがいに似かよっているが、不幸な家庭はそれぞれ不幸の趣を異にしている」と書いた。
なんとこの国のすみずみにまで、さまざまな顔をした不幸が満ちあふれていることか。
天寿をまっとうするためには、これら年代別にやってくる試練のハードルを、「自己責任」によって乗り越えなければならない。
自殺者を負け犬と見下す政治が、「経済大国」をつくってきた。いつ自分がその負け犬の群れに落とされることか。
「競争社会」といいつつ、世襲制政治の息子たちが、この生きにくい社会にしてきたのではないか。(ルポライター)
『東京新聞』(11/7)「本音のコラム」
● 慎太郎知事「愉快犯」…文科省に届けられた「自殺証明書」11日期日
いじめが原因で「11日に自殺する」との手紙が文部科学省に届いた問題で、石原慎太郎都知事(74)が10日、「あんなのは大人の文章だね」と手紙が“偽物”であるとの見方を示した。
また石原知事は、いじめを苦にした自殺が相次いでいることについて「甘ったれている」などと指摘。問題解決のために「もうちょっと親がしっかりしたらいい」との持論を述べた。文科省はこの日、自殺を示唆する手紙が新たに5通届いたと発表。自殺の決行日とされる11日、東京都豊島区では、管轄の3警察署が“厳戒態勢”をしくという。
文科省に6日に届けられた「いじめが原因の自殺証明書」について、石原知事が信ぴょう性に疑問を投げかけた。
「あんなのは、大人の文章だね。愉快犯っていうか。今の中学生にあんな文章力はない。理路整然としていて。私は(本物とは)違うと思う」
文書は「11日に学校内で自殺する」と予告している。手紙が投函(とうかん)された可能性が高いとされる東京都豊島区を管轄する警察署は、11日に区内の学校周辺を重点的にパトロールすることを決めている。
「届けられた方は迷惑千万。放っておくわけにもいかないだろうが。(自殺を)予告した日は、あしたですか。今まで文科省は何をやったのか知らんけど、あれだけの騒ぎになって、(文書を送った)当人は満足して、死なないの? 死ぬの?」親にも問題がある 文科省には、同様の自殺予告手紙が相次いでいるが「自殺なんか、予告して死ぬなって。甘ったれているというか」と厳しい言葉を投げかけた石原知事は、独自の“教育哲学”を披露した。
「親はなんで(いじめ問題に)関与してこないのかね。まず親が関与すべきじゃないか。私なんか、子供にけんかの仕方を教えましたよ。そしたら効果があって、たちまち相手を倒して番長になっちゃった。そういうことを親が教えればいい」
実際に、長男の伸晃自民党幹事長代理(49)の小学生時代の“いじめエピソード”を挙げた。
「先生に、私の名前をもじった実にいやらしいあだ名をつけられ、いじめられた。私はそれを聞き、すぐに校長に電話して『僕に劣等感があるか知らんが、もし改めなければ学校に出向いてその先生をぶん殴るからな。あんたの監督責任も問われるぞ』と言ったら、(いじめを)やめさせましたよ」
石原知事自身も、いじめを経験したという。
「僕だって、転校してきた時にいじめられた記憶があるが、やっぱり自分で戦った方がいいと思う。こらえ性がないだけでなく、ファイティングスピリットがないと、一生どこへ行ってもいじめられるんじゃないの」
一方で、いじめを先導する教師に対しては、厳しく批判した。
「陰湿なのは、教師がいじめること。これは本当に子供にとって不幸だ。卑しい、貧しい教師がいる。自分の人生の弱み、ひがみを、教えている弱い子供にぶつけている。生徒もいっしょになっていじめてしまう。そういう教師は許せない」
(スポーツ報知) - 11月11日8時4分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061111-00000042-sph-soci&kz=soci
●いじめ苦の自殺予告手紙、文科相宛て届く
いじめを苦にした自殺を予告する文部科学相あての手紙が6日、文部科学省に届き、同省は7日午前0時過ぎ、銭谷真美・初等中等教育局長が異例の緊急会見を開いた。
封筒のあて名には「伊吹文明大臣様」と書かれ、中に大臣、教育委員会、校長、担任、同級生、その保護者、両親に向けた計7通の手紙が入っていた。差出人の名前や地域、学校名などを特定できるものは記載されていなかった。
大臣あての手紙では、「8日までになにもかわらなかったら、自殺します。場所は学校でします」とし、「11日土曜日に自殺することを証明します」と書いていた。「クラスのみんなへ」と原稿用紙に書かれた手紙の中では、「なぜ僕をいじめるのですか。『キモイ』からですか『クサイ』からですか」「なぜ僕をさけるのですか。なぜ僕のズボンをおろすのですか」などと訴えていた。
(読売新聞) - 11月7日3時3分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061106-00000019-yom-soci
●自殺示唆の手紙新たに5通 文科相あてに
いじめによる自殺を予告する手紙が文部科学省に届いている問題で、同省は10日、自殺を示唆する内容の手紙が新たに5通届いたと発表した。
いずれも伊吹文明文科相あての封書で、同日午前中に文科省に届いた。同省は東京都教育委員会などに、該当する事例がないかなどの確認を要請した。
5通のうち3通は尼崎北(兵庫県)、町田、成城(いずれも東京都)の8日付の消印が押され「いじめに遭っている」「自分も自殺する」といった内容の文章が書かれていた。
残る2通については、学校名や教師の名前が書かれており、うち1通は事例が特定できたため、学校長に適切に対応するよう求めたという。
伊吹文科相は、10日の衆院教育基本法特別委員会で、自殺予告の手紙が相次いでいることに「命を守るために、本当に困っている人は学校や両親に相談してほしいが、その人たちを混乱させるような手紙は慎んでもらいたい」と話した。
(共同)(2006年11月10日 17時54分)
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006111001000443.html
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