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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「海自潜水艦、南シナ海で訓練」朝日新聞のスクープの波紋

2018年09月25日 | 平和憲法

 ◆ <情報・注目を!>自衛隊潜水艦の南シナ海訓練は、安倍外交失策のひとつ!?
   皆さま     高嶋伸欣です


1 20日の自民党総裁選挙で、自民党員内での安倍首相離れが表面化したとみられています。
2 そうした変化に敏感な官僚やマスコミが今後の変化に備える保身などからリークされる内部告発情報の増加が見込まれます。さらに社会全体を安倍カラーに染めてきたを「お友達・側近たち」の便乗組、あるいは「虎の威を借るキツネ」などの手柄争いなどから生まれる”オウンゴール”類の失策の増加も見込まれます。
 マスコミ報道にこれまで以上の関心を寄せたいところです。

3 さしずめ『新潮45』9月号の「杉田水脈」論文(?)など、叩きどころ満載です。おいおい取り組むつもりです。
4 それとは別に、安倍外交の新たな失策と危惧される、新たな件があります。

5 9月18日朝刊各紙が報じた、自衛隊潜水艦が南シナ海で訓練をした、という話題です。
6 まずこれら各紙記事には、本題ではありませんが、前日の17日に『朝日新聞』が朝刊第1面のトップと第2面にまたがる記事で報道した特ダネであるという事実に全く触れていないという不公正さがあります。
7 各紙記事では「17日に防衛省が発表した」とあります。17日は「敬老の日」で官庁は休みです。それなのに官庁である防衛省がわざわざ「発表した」というのは『朝日』に抜かれた他社が防衛省に確認を求めたので、まとめて対応するために、記者会見のような形で公表したということが、考えられます。
8 あるいは『朝日』が17日朝刊の印刷間際に、防衛省に最終確認の取材と併せて「報道する」と通告した(欧米のマスコミでは通例の手順のようです)ため、防衛省が隠し切れないとして、防衛省の判断で休日の発表にしたことも考えられます。
 *ちなみに特ダネを報じる際、他社がまだ気づいていないと確信がある場合には、夕刊のない休日の朝刊で報道すると、他社が追いつくのは早くても翌日の朝刊ということになります。今回の『朝日』の場合はこのケースです。
 新聞休刊日前日の休日朝刊に特ダネを載せれば、他社が後追い報道できるのは、休刊日の夕刊から(夕刊がない東京の『産経』はさらにその翌日の朝刊)になります。
 *なお、東京と大阪などでは、各紙が最終版を他紙各社に届けて相互に紙面を確認しあっているとのことです。
 「今日は『ニューヨーク・タイムス』の最終版の届くのが遅いな。何か抜かれたかな?」というワシントン・ポスト社内で交わされている場面が、映画『ペンタゴン・ペーパーズ』にあったように記憶しています。
 日本でも同様な意味で、各社互いに気にしあっていそうです。今は電子版の送信で済ませていそうですが。
 どちらにしても、これは余談です

9 本題に戻ります。各紙とも『朝日』に先を越された悔しさがあるのでしょうが、最近では「一部の報道を受けて防衛省がその事実を認めた」あるいは「~公表した」というように、後追い報道であると読者に示す表現さえ、今回の場合はありません。
 それとも別の事情があるのでしょうか(『朝日』の報道解禁規制破りとか)?

10 『朝日』の記事は用意周到な取材によるものであることが分かります。例えば今回の南シナ海での訓練を実行した潜水艦「くろしお」そのために母港の海自呉基地を出港する時(8月27日午前)の写真を掲載しているのです。
 他紙は自衛隊提供の写真しか掲載していないのですから、その差は歴然です。

11 それでも『産経』は18日朝刊1面トップで大きく扱い、『異例の公表 中国を牽制』と強調しています。『朝日』に先を越されたことについては空とぼけておいて、いかにも中国を牽制しようとの安倍政権の姿勢が強固なものであると見せかけようとの作為が露骨です。
12 実はこの『産経』の報道姿勢こそ、今回の特ダネの本質的な意味に気付かせてくれるものです。
13 まず第一に、『朝日』報道を受けて安倍首相小野寺防衛大臣は、「15年前からやっている」として、今さら騒ぎたてることではないかのように説明しています。これに大方のマスコミは納得したかのようです。
14 けれども『東京新聞』の半田滋氏は、15年前からの南シナ海の訓練は米軍を中心とした多国籍の艦船による合同訓練に参加したもので、今回の自衛隊単独の南シナ海の訓練とは意味が全く違う、と指摘しています(ネット「現代ビジネス」<実は初めての『単独訓練』だった>参照)。
15 東シナ海だけでなく南シナ海にも自衛艦が独自に進出し、しかも中国海軍は探知を苦手とされている潜水艦を派遣するところまで踏み込んだことが明らかになった点で、中国との緊張感をこれまでよりもはるかに高めるたというのです。
16 一理ある指摘に思えます。関連して浮かぶのは、今年1月以来の朝鮮半島情勢急変に対応できず、外交失策を繰り返している安倍政権が、これまでの海からの中国包囲網政策(第2次政権発足時の「ダイヤモンド安全保障戦略」を改変した「開かれたインド太平洋戦略」)に消極的になり、習近平政権にすり寄る姿勢を顕著にし始めたことで、安倍政権内外に苛立ちが広がっていたことです。
17 その苛立ちから、自衛隊が中国を刺激する行動に出た、という可能性が想定されます。
18 半田氏によると、中国の原子力潜水艦には、基地を出港した時から米軍の攻撃型原潜が追尾をしていて、その行動を把握しているそうです。東シナ海や南シナ海に米軍潜水艦が潜んでいるのは、軍事的常識とか。
19 その南シナ海に自衛隊の潜水艦も潜むことになのですから、中国側が反発したのも当然です
20 ただし中国側は、「域外の国は、地域の国家が対話を通じて平和的に南シナ海問題を解決しようとしている努力を尊重し、地域の平和と安定を損なうことはすべきでない」と外務省の定例記者会見で述べたに留まっています。
 「域外の国」として、日本を名指ししていません。

21 最近の安倍首相による中国へのすり寄り姿勢を止めようとする日本国内の動きを計算に入れた対応と見ることが可能です。
22 『産経』は、18日の記事で「海自が秘匿性の高い潜水艦の行動を公表するのは異例。敢えて対外的に明らかにすることで、日本の存在感と運用能力の高さを示し、南シナ海での権益を主張する中国を強く牽制したい考えだ」と、挑戦的に断定しています。
23 あえて自衛隊が挑戦的行動に出たのだと強調するには、『朝日』に報道されたのであわてて公表したという事実は間が悪いとして、知らぬふりを決め込んだとも考えられます。
 『産経』は様々な策を弄する新聞で、それなりに謎解きの楽しみをもたらしてくれます。
24 再度、本題に戻りますが、3選を達成した安倍首相は国内からだけでなく、海外からも「長くてあと3年の政権」と読まれ、自民党員からさえ安倍離れが始まってることも知れ渡ってしまっています。
 当面の日米首脳会談で、トランプ大統領からの強硬な対日貿易赤字削減要求をかわす力量が安倍首相にはない、というのが政権内やマスコミにほぼ一致した見方のようです。
25 そうなると、安倍政権はいよいよ中国へのすり寄りに傾斜するしかなさそうです。中国外務省が強く反発しなかったのも、このためと読めます。
26 だとすると、今回の南シナ海での海自潜水艦訓練実施は、外交上で中国に強く出にくい状況を生み出した(中国側が穏便な対応をしたことで、借りを作った)という意味などで、外交上の失策を形成した可能性が指摘される、というわけです。
27 安倍・トランプ会談以後の成り行きに、要注目です。

   以上 ご参考までに。

        文責は高嶋です       転送・拡散は自由です

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