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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

1.16判決、東京「君が代」3次訴訟の注目点

2014年12月25日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ※東京「君が代」3次訴訟判決 1月16日(金)13:10 東京地裁103号法廷
  [12月集会 in 2014 資料]
 ◆ 東京「君が代」裁判第3次訴訟 判決の注目点
   ~1次・2次最高裁判決が出てしまったあとで、3次訴訟に何を期待できるのか?

 1,先行訴訟の到達点の確認
 「憲法19条判断」(2011年判決)
   ◎思想及び良心の自由に対する「間接的な制約」を認めた。
   ×必要性・合理性の審査基準で、人権制約を許容した。

 「裁量権判断」(2012年判決)
   ◎累積加重処分は、「裁量権の逸脱濫用」として取り消した。
   ×戒告処分は、直接の職務上、給与上の不利益がないとして取り消さなかった。

 【資料1】 2011年判決から(君が代不起立再雇用拒否裁判最高裁第一小法廷判決 2011.6.6)
  本件各職務命令は,一般的,客観的な見地からは式典における慣例上の儀礼的な所作とされる行為を求めるものであり,それが結果として上記の要素との関係においてその歴史観ないし世界観に由来する行動との相違を生じさせることとなるという点で,その限りで上告人らの思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があるものということができる。
  他方,学校の卒業式や入学式等という教育上の特に重要な節目となる儀式的行事においては,生徒等への配慮を含め,教育上の行事にふさわしい秩序を確保して式典の円滑な進行を図ることが必要であるといえる。
 【資料2】 2012年判決から(東京『君が代』裁判1次訴訟最高裁第一小法廷判決 2012.1.16)
  毎年度2回以上の卒業式や入学式等の式典のたびに懲戒処分が累積して加重されると短期間で反復継続的に不利益が拡大していくこと等を勘案すると,上記のような考慮の下で不起立行為等に対する懲戒において戒告を超えて減給の処分を選択することが許容されるのは,過去の非違行為による懲戒処分等の処分歴や不起立行為等の前後における態度等(以下,併せて「過去の処分歴等」という。)に鑑み,学校の規律や秩序の保持等の必要性と処分による不利益の内容との権衡の観点から当該処分を選択することの相当性を基礎付ける具体的な事情が認められる場合であることを要すると解すべきである。
 【資料3】 2013年判決から(東京『君が代』裁判2次訴訟最高裁第二小法廷判決 2013.9.6 「鬼丸補足意見」)
  個人の思想及び良心の自由は憲法19条の保障するところであるから,その命令の不服従が国旗国歌に関する個人の歴史観や世界観に基づき真摯になされている場合には,命令不服従に対する不利益処分は,慎重な衡量的な配慮が求められるというべきである。(略)これらの事情に配慮した謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべきである。
 2,これまでに取り消された処分
 以下は、これまでの最高裁判決の枠組みがそのまま踏襲された場合の数字です。

 先例を適用すると、過半数の原告の処分が取り消され、処分取消数は過去最大になる。
 ~累積加重処分が取り消された意味(=最高裁が都教委のやり方をたしなめた)が、より鮮明になる。
 3,3次訴訟で追求してきた主な争点
 (1)憲法19条 ・・・不可侵の人権なのに、審査基準が甘い。
  ・人権制約の「強度」に基づいて、審査基準を厳しいものに見直すべきである。(巻美矢紀意見書)
  ・「10・23通達」の法的効力について、憲法94条、地方自治法14条、学習指導要領違反。(最終準備書面)
  ・国際人権規約違反。(国連勧告) →後述
 (2)裁量権 ・・・都教委の裁量権を広く認めすぎ。
  ・「戒告」でも給与上職務上の不利益が、1次訴訟の頃の「減給・停職」並みに拡大した実態。(最終準備書面)
  ・真摯な動機に着目して、慎重な衡量的な配慮を求める。(2次訴訟最高裁判決鬼丸補足意見)
  ・「考慮不尽、他事考慮」で、行政目的に添っていない裁量権行使。(岡田意見書)
 (3)教育権 ・・・最高裁は教育権について実質的な踏み込んだ判断をしていない。
  ・公教育の目的は、人格の完成とともに、民主主義に必要な資質を涵養するもの。(巻(まき)美(み)矢(さ)紀(き)意見書)
  ・憲法上強制が許されない生徒に対して、国旗・国歌ひいてはそれらによって象徴される国家に対する敬愛を『刷り込む』という、憲法上許されざる目的が炙り出される。(同上)
  ・教育公務員だからこそ職責として、職務命令に対する不服従により、公教育における公権力の内在的限界を問うている。・・・職務命令は『刷り込み式愛国心教育』を阻害する教員を炙り出す『踏絵』。(同上)
     結審から判決までの半年間、裁判所は何を考えていたのだろうか?

 4,裁量権の濫用を反省するどころか、最高裁判決を曲解、悪用し、一段と強硬姿勢を強める都教委
  ○再処分 2次訴訟最高裁判決後、減給処分を取り消された現職教員7名に、戒告処分を出し直した。
        (条例が改悪されており、戒告処分でも取り消された減給より経済的不利益が大きくなった。)
  ○累積加重処分 2次訴訟最高裁判決後も不起立を重ねる教員に、4回目以降は減給に処分を加重した。
   →いずれも「累積加重」が取り消された判例及びその意味をねじ曲げるか無視している。
  ○再発防止研修の質的量的大幅強化 1次訴訟最高裁判決で「累積加重処分」が否定されたので、「研修」を質量共に強化することによって、真摯な動機に基づく不服従者に思想改造を迫り、排除を図っている。
    今年度の受講者は、18回繰り返し同一内容の研修を課され、自己の非を認めるよう追い詰められている。
  ○高校日本史の教科書採択への介入 (『2013年6月27日都教委見解』、『2012年1月24日都教委議決』)
    実教日本史教科書の「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」という記述が「都教委の考え方と異なる」(“事実”が異なるのではない)から適切でないと採択に介入してきた。最高裁判決で「職務命令が合憲である」とされたから、起立斉唱は教員の責務だというのが「都教委の考え方」とするが、最高裁判決にはそんなことは書いていない。都教委独自の特異な解釈に過ぎない。
 ※ 弁論終結後に出された、「思想・良心・宗教の自由」に関する重要な国連勧告(2014.7.24)
 ○「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制約

 22 本委員会は、「公共の福祉」の概念は、曖昧で、制限がなく、規約の下で許容されている制約を超える制約を許容するかもしれないという懸念を改めて表明する。(2条、18条、19条)
   委員会は、以前の最終所見を想起し、規約18条・19条のそれぞれ第3項に規定された厳しい条件を満たさない限り、締約国が、思想・良心・宗教の自由や表現の自由の権利に対していかなる制約を課すことをも差し控えるように強く要請する。
 <左の勧告の意義>
 「思想・良心・宗教の自由」に対する人権制約条件の国際基準は、規約18条3項であり、その「厳しい条件」を満たさないいかなる制約も差し控えるべきとされた。
 本件へ当てはめるなら、「10・23通達」・「職務命令」・「懲戒処分」・「再発防止研修」は、規約18条3項に示された国際標準の「厳しい条件」を満たしているとは到底言えない
◎ 「君が代裁判」は、「10・23通達」体制を正面から撃つ裁判です!

  どれだけ数多く個人の処分が取り消されたとしても、「10・23通達」があり続ける限り、都立高に自由闊達な教育はよみがえりません。大法廷で違憲判決を勝ち取り、東京の教育に自由と人権を取り戻すことが最終目標です。
  (東京でも、大阪でも、北海道でも、新潟でも「君が代強制」に対する裁判闘争が繰り広げられています)
 ☆ 「東京『君が代』裁判第4次訴訟」も、14人の原告で2014年3月に提訴され第3回口頭弁論まで進んでいます。
2014年12月20日 花輪紅一郎(3次原告)


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