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「日の丸・君が代」訴訟 最高裁判決要旨

2012年01月17日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 『東京新聞』から
 ■ 「日の丸・君が代」訴訟 最高裁判決要旨 ■

 最高裁第1小法廷が、16日言い渡した「日の丸・君が代」訴訟の判決要旨は次の通り。
 【不起立の評価】
 不起立行為は職務命令違反であり、式典の秩序や雰囲気を一定程度損なう。他方、動機や原因は教職員個人の歴史観ないし世界観などに起因するもので、積極的な妨害ではなく、物理的に式次第の進行も妨げない。どの程度の支障や混乱をもたらしたか、客観的な評価も困難だ。
 【処分の妥当性】
 教職員に対する職務命令は合憲であり、その違反に対し、規律違反の責任を確認して将来を戒める「戒告処分」は、直接の職務上ないし給与上の不利益を及ぼすものではない。懲戒処分では最も軽い戒告は裁量権の逸脱乱用に当たらないが、減給以上の処分を選択するには事案の性質を踏まえた慎重な考慮が必要だ
 停職処分は一定期間の職務停止と給与の全額不支給であり、減給処分は本給の一部不支給。両処分ともに将来の昇給にも影響が及ぶ。卒業式、入学式のたびに処分が累積して加重され、短期間で反復継続的に不利益が拡大することも勘案すると、戒告を超えた処分が許容されるには、過去の処分歴や不起立の前後の態度などに鑑み、学校の規律や秩序保持などの必要性と処分による不利益の内容との釣り合いを保つ観点から、停職や減給とする相当性を基礎づける具体的な事情が必要だ。不起立のみでは相当性に足りない。
 【本件への当てはめ】
 停職処分を受けた一人の過去の処分対象は過去二年度の三回の不起立。積極的に式典の進行は妨害しておらず、処分の加重を根拠付ける事情もない。期間の長短にかかわらず停職は重きに失して社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を超えて違法。
 停職処分を受けたもう一人は、国旗掲揚の妨害と引き降ろし、再発防止研修でのゼッケン着用をめぐる抗議といった積極的な妨害による処分を含め五回の懲戒処分を受けていた。校長を批判する文書を生徒に配って文書訓告も二回受けた。具体的な事情があり、停職は違法と言えない
 減給処分を受けた一人の過去の処分対象は、入学式での服装と、その後の事実確認に関する校長の職務命令に違反した行為であり、式典の進行を妨害していない。減給処分は重きに失し、違法。
 【桜井龍子裁判官の補足意見】
 東京都教育委員会の処分は、不起立一回目は戒告、二、三回目は減給、四回目は停職とする方針がうかがわれるが、一律の加重処分の決め方自体が問題。各処分に大きな差があり、停職は極めて厳しい。
 自らの信条に忠実であるほど心理的に追い込まれ、不利益の増大を受忍するか、信条を捨てるかの選択を迫られる。方針は懲戒権を逸脱している。
 【金築誠志裁判官の補足意見】
 職務命令が合憲とする私の意見は昨年六月の(日の丸・君が代訴訟)最高裁判決で述べた通り。
 【宮川光治裁判官の反対意見】
 教員の精神の自由はとりわけ尊重されねばならない。地方公務員であっても教育をつかさどる教員だからこそ、一般行政に携わる者と違って自由が保障されねばならず、職務命令は違憲。不起立は教育上の信念に起因するもので、違法性は顕著に希薄。消極的不作為にすぎず、法益の侵害はほとんどない。戒告でも履歴に残り、勤勉手当は10%減額され、昇給も延伸の可能性があり、退職金や年金への影響もあり得る。定年退職後の再雇用の機会も事実上失う。一方、刑事罰の対象となる行為や性的非行でも戒告にとどまる例が少なくなく、全国的には不起立で懲戒処分をする地域は少ない。戒告でも過剰であり、口頭や文書での注意や訓告が適切だ。
『東京新聞』(2012/1/17朝刊)

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