◆ 愛知からの報告~軍需産業都市愛知での教育の軍事化
2018年小学校で、2019年中学校で、道徳が教科になり、戦後初めての道徳教科書が使用され「愛国心」を押しつけ評価し、学校だけでなく、保育園・幼稚園・大学でも「日の丸・君が代」を強制する。
中学校学習指導要領「体育科・武道」で「銃剣道」を種目とし、「お国(天皇)のためにいのちを投げ出せ」という「教育勅語」を教材とすることができる。
これらは教育の軍事化、軍国主義教育そのものであり、「愛国心教育・軍国主義教育体制」の現在地である。
自衛隊はリクルートのために、住民基本台帳の閲覧を自治体に請求しているが、東海地方では、民間採用が好調であり、自衛官は勧誘に苦労している。三重地本と岐阜地本は、各々の判断で閲覧・名簿提供で情報収集を行っており、愛知地本では全ての市町村に閲覧申請している。
名古屋市では、「住民基本台帳」を根拠に全閲覧のみで対応している。小牧市では、小牧地域事務所が2014年5月14日から30日まで、20156件の閲覧、半田市は、1月16日に、167名の閲覧を行っている。
愛知県内では、名古屋市・日進市・豊橋市・豊川市などの中学校で、陸上自衛隊高等工科学校の募集が行われている。愛知県内54自治体の内、「自衛隊への職場体験」が22自治体(40.7%)もある。しかし、体験内容をほとんどの自治体が把握していないのが現状である。
2015年11月の知立市での「第2回ちりゅうこどもフェスティバル」では、幼児以上を対象にした「お仕事体験」で、「自衛隊員になろう」というプログラムも実施された。
自衛隊主催の様々なイベントも実施されている。夏休みちびっ子ヤング大会や装備品・施設の展示や訓練・演習の見学会、艦艇の公開、航空機の体験搭乗、地方公共団体主催などの地域防災訓練に参加して子どもたちと自衛隊員との触れ合いなどの催しを実施している。
自衛隊内の公開も頻繁に行われ、2015年度資料によれば、「部隊(基地)公開」には年間156万8099人も参加して、内容は、「演習公開」「艦艇公開」「部隊(基地)見学」「艦艇見学」「広報展示室見学」「体験航海」「体験搭乗」「隊内生活体験」等さまざまである。こうした形で自衛隊を広報して、体験し、また自衛隊との一体感を作り出そうとしている。
愛知県では、名古屋市・日進市・常滑市などで教員が、「防衛省令」自衛官募集パンフレットを渡している。河村たかし名古屋市長は、学生の家族約二百人の「入隊激励会」にも参加した。陸上自衛隊守山駐屯地では、自衛官募集のコーナーで、入隊希望の中学生、高校生らがアンケートに答えていた。
さらに、名古屋商工会議所共催の「防衛装備庁と研究開発とものづくり」という東海防衛セミナーのチラシも配布しており、兵器産業のための自衛隊という横顔が見えた。
愛知県では、自衛隊愛知地本・各出張所等と愛知県・各市町村教育委員会の「連携」が行われている。基地見学会・学園祭への自衛隊受け入れ・校長会及び愛知県私学協会教職員部会への自衛隊受け入れ・現役自衛隊員の母校訪問入隊後報告・自衛隊による防災講話・自衛隊説明会・進学相談会・大学企業店参加などが行われている。
2013年度は、愛知県立三好高校・東海商業高校・緑ヶ丘商業高校・碧南高校、私立名古屋高校・愛知産業大学三河高校・愛知産業大学工業高校・豊田大谷高校・啓明学館高校・安城学園高校などで、「自衛隊への理解を促進するとともに、進路選択・指導に資する」として、自衛隊の学園祭などへの参加が行われている。
また、「就業意識の醸成」と称して、自衛隊の活動紹介・募集種目説明などを、大学は、愛知県内総数45大学(大学内説明会33)、高校は、2116校(校内171校)、中学は、437校で行っている。
自衛隊による「防災講話等」は、大学4、高校10、中学校18、小学校3校で行われている。
さらに、愛知県の公立高等学校校長会理事会・愛知県私学協会教職員部会(教頭・教諭等)・各市町村教育委員会・各市町村校長会会議などに参加し、自衛隊の任務等の概要・自衛官等募集に関する制度(2013年度は、特に新設防衛医科大学校看護学科にも)の説明等を行っている。
そこでは、自衛隊は、「安全保障に関する国民としての基礎知識を付与し、国防及び自衛隊への理解を促進」・「自衛官を職業として認識(意識)できる環境の付与」し、学校は、「愛国心・規律心等を教育に反映」・「規範意識、危機管理体制の確立」を行う「方向性」が示されている。
2014年5月に岐阜県で開かれた東海地区の会議には、三重県教育委員会所属の高校教育キャリア教育班の主幹が出席し、「教育委員会・学校及び自衛隊との連携状況」と題して、「学校等における(自衛官募集)の資料等の設置」や「小中高を通じた系統的な体験学習」などの実施状況を報告している。
また、自衛隊は、自治体・学校などを通じて募集活動を活発化させ、名古屋市金山駅、豊橋駅など主要各駅で「平和を仕事に」(愛知では一部の自治体が自衛隊と共同し、リーフレットを作成している)と募集・宣伝が行われている。
愛知県の学校現場では、進路・生活指導の中で自衛官募集が行われ、愛知県立高校では募集ポスター掲示は97%、愛知県内の私立高校名門野球部による体験入隊も行われている。
中学生に対する自衛隊の「職場体験」、適齢者情報に基づく個人宅訪問なども始まっている。
高校教員からの情報では、数年前に卒業した生徒が職員室にやってきて、「戦車隊に入って頑張っています」「最近、県内の他の高校でも、現職の自衛官が母校を訪問して、教員や後輩に自衛隊の話をすることが増えている」とも報告されている。
自衛隊が若い隊員を「ハイスクールリクルーター」に指定し、出身校を訪問させ、卒業生という利点を使って、在校生の自衛隊募集を推進する制度によるものだろう。
愛知県愛西市では、市民の抗議で、愛西市主催の基地見学会を中止させた。愛知県岩倉市では、岩倉市教育委員会が、中学生の「自衛隊職場体験」を中止させた。
軍事産業地域の愛知県・中部地方は、危険な状況にある。「新型戦闘機F35」生産では、米英など9か国で共同生産が行われ、組み立ては三菱重工小牧南工場で行っている。防衛省は、三菱重工業、IHI、三菱電機の3社と契約し、「アジア太平洋地域の維持・整備拠点を設置することも視野に、関係国と調整」し、F35機体製造を担当する「三菱重工名古屋航空システム製作所」(愛知県小牧市・豊山町)を拠点に擦ることも決まっている。
中部経済界は、露骨な軍事強化をねらっている。中部地方の航空機関連産業は、全国の半分を占めている。2015年11月の国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行から1年。MRJの量産開始やアメリカ・ボーイング社の増産を背景に、中部地方の航空機産業は、活況を呈している。
愛知が海外派兵への前進基地・軍需産業地域であることが、愛知における教育の軍事化の背景にあることに注目することが重要である。
小野政美(憲法の理念を生かし、子どもと教育を守る愛知の会)
2018年小学校で、2019年中学校で、道徳が教科になり、戦後初めての道徳教科書が使用され「愛国心」を押しつけ評価し、学校だけでなく、保育園・幼稚園・大学でも「日の丸・君が代」を強制する。
中学校学習指導要領「体育科・武道」で「銃剣道」を種目とし、「お国(天皇)のためにいのちを投げ出せ」という「教育勅語」を教材とすることができる。
これらは教育の軍事化、軍国主義教育そのものであり、「愛国心教育・軍国主義教育体制」の現在地である。
自衛隊はリクルートのために、住民基本台帳の閲覧を自治体に請求しているが、東海地方では、民間採用が好調であり、自衛官は勧誘に苦労している。三重地本と岐阜地本は、各々の判断で閲覧・名簿提供で情報収集を行っており、愛知地本では全ての市町村に閲覧申請している。
名古屋市では、「住民基本台帳」を根拠に全閲覧のみで対応している。小牧市では、小牧地域事務所が2014年5月14日から30日まで、20156件の閲覧、半田市は、1月16日に、167名の閲覧を行っている。
愛知県内では、名古屋市・日進市・豊橋市・豊川市などの中学校で、陸上自衛隊高等工科学校の募集が行われている。愛知県内54自治体の内、「自衛隊への職場体験」が22自治体(40.7%)もある。しかし、体験内容をほとんどの自治体が把握していないのが現状である。
2015年11月の知立市での「第2回ちりゅうこどもフェスティバル」では、幼児以上を対象にした「お仕事体験」で、「自衛隊員になろう」というプログラムも実施された。
自衛隊主催の様々なイベントも実施されている。夏休みちびっ子ヤング大会や装備品・施設の展示や訓練・演習の見学会、艦艇の公開、航空機の体験搭乗、地方公共団体主催などの地域防災訓練に参加して子どもたちと自衛隊員との触れ合いなどの催しを実施している。
自衛隊内の公開も頻繁に行われ、2015年度資料によれば、「部隊(基地)公開」には年間156万8099人も参加して、内容は、「演習公開」「艦艇公開」「部隊(基地)見学」「艦艇見学」「広報展示室見学」「体験航海」「体験搭乗」「隊内生活体験」等さまざまである。こうした形で自衛隊を広報して、体験し、また自衛隊との一体感を作り出そうとしている。
愛知県では、名古屋市・日進市・常滑市などで教員が、「防衛省令」自衛官募集パンフレットを渡している。河村たかし名古屋市長は、学生の家族約二百人の「入隊激励会」にも参加した。陸上自衛隊守山駐屯地では、自衛官募集のコーナーで、入隊希望の中学生、高校生らがアンケートに答えていた。
さらに、名古屋商工会議所共催の「防衛装備庁と研究開発とものづくり」という東海防衛セミナーのチラシも配布しており、兵器産業のための自衛隊という横顔が見えた。
愛知県では、自衛隊愛知地本・各出張所等と愛知県・各市町村教育委員会の「連携」が行われている。基地見学会・学園祭への自衛隊受け入れ・校長会及び愛知県私学協会教職員部会への自衛隊受け入れ・現役自衛隊員の母校訪問入隊後報告・自衛隊による防災講話・自衛隊説明会・進学相談会・大学企業店参加などが行われている。
2013年度は、愛知県立三好高校・東海商業高校・緑ヶ丘商業高校・碧南高校、私立名古屋高校・愛知産業大学三河高校・愛知産業大学工業高校・豊田大谷高校・啓明学館高校・安城学園高校などで、「自衛隊への理解を促進するとともに、進路選択・指導に資する」として、自衛隊の学園祭などへの参加が行われている。
また、「就業意識の醸成」と称して、自衛隊の活動紹介・募集種目説明などを、大学は、愛知県内総数45大学(大学内説明会33)、高校は、2116校(校内171校)、中学は、437校で行っている。
自衛隊による「防災講話等」は、大学4、高校10、中学校18、小学校3校で行われている。
さらに、愛知県の公立高等学校校長会理事会・愛知県私学協会教職員部会(教頭・教諭等)・各市町村教育委員会・各市町村校長会会議などに参加し、自衛隊の任務等の概要・自衛官等募集に関する制度(2013年度は、特に新設防衛医科大学校看護学科にも)の説明等を行っている。
そこでは、自衛隊は、「安全保障に関する国民としての基礎知識を付与し、国防及び自衛隊への理解を促進」・「自衛官を職業として認識(意識)できる環境の付与」し、学校は、「愛国心・規律心等を教育に反映」・「規範意識、危機管理体制の確立」を行う「方向性」が示されている。
2014年5月に岐阜県で開かれた東海地区の会議には、三重県教育委員会所属の高校教育キャリア教育班の主幹が出席し、「教育委員会・学校及び自衛隊との連携状況」と題して、「学校等における(自衛官募集)の資料等の設置」や「小中高を通じた系統的な体験学習」などの実施状況を報告している。
また、自衛隊は、自治体・学校などを通じて募集活動を活発化させ、名古屋市金山駅、豊橋駅など主要各駅で「平和を仕事に」(愛知では一部の自治体が自衛隊と共同し、リーフレットを作成している)と募集・宣伝が行われている。
愛知県の学校現場では、進路・生活指導の中で自衛官募集が行われ、愛知県立高校では募集ポスター掲示は97%、愛知県内の私立高校名門野球部による体験入隊も行われている。
中学生に対する自衛隊の「職場体験」、適齢者情報に基づく個人宅訪問なども始まっている。
高校教員からの情報では、数年前に卒業した生徒が職員室にやってきて、「戦車隊に入って頑張っています」「最近、県内の他の高校でも、現職の自衛官が母校を訪問して、教員や後輩に自衛隊の話をすることが増えている」とも報告されている。
自衛隊が若い隊員を「ハイスクールリクルーター」に指定し、出身校を訪問させ、卒業生という利点を使って、在校生の自衛隊募集を推進する制度によるものだろう。
愛知県愛西市では、市民の抗議で、愛西市主催の基地見学会を中止させた。愛知県岩倉市では、岩倉市教育委員会が、中学生の「自衛隊職場体験」を中止させた。
軍事産業地域の愛知県・中部地方は、危険な状況にある。「新型戦闘機F35」生産では、米英など9か国で共同生産が行われ、組み立ては三菱重工小牧南工場で行っている。防衛省は、三菱重工業、IHI、三菱電機の3社と契約し、「アジア太平洋地域の維持・整備拠点を設置することも視野に、関係国と調整」し、F35機体製造を担当する「三菱重工名古屋航空システム製作所」(愛知県小牧市・豊山町)を拠点に擦ることも決まっている。
中部経済界は、露骨な軍事強化をねらっている。中部地方の航空機関連産業は、全国の半分を占めている。2015年11月の国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行から1年。MRJの量産開始やアメリカ・ボーイング社の増産を背景に、中部地方の航空機産業は、活況を呈している。
愛知が海外派兵への前進基地・軍需産業地域であることが、愛知における教育の軍事化の背景にあることに注目することが重要である。
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