《アジア@世界》
★ 英国:公務員攻撃に抗し全国でスト、数十万人がデモ
7月10日、教員、消防士、自治体職員など約100万人以上の公務員労働者がストに入った。
同日のBBCによると、全国で6千校が休校になり、多くの美術館や博物館が休館になった。ダービーではごみ収集が止まった。いくつかの空港では、国境管理に関わる職員のストに伴う発着陸の遅れがアナウンスされた。
ロンドンでは、公務員の6つの組合が呼びかけたデモに数千人の労働者が雨の中を参加。トラファルガー広場での集会に合流した。「公正な賃金を」、「リビングウェイジ(生活賃金)」などのスローガンが唱和された。
労働者たちは、「経済の回復が伝えられているがそれが労働者の所得に還元されていない、また、この4年間に賃金凍結と賃上げの上限の設定(1%)のために所得が4千ポンド減った」と指摘している。
同日付の「ガーディアン」は次のように報じている。
木曜日(7月10日)、イングランドとウェールズの全域で数十万人が集会、ピケット、デモに参加。学校職員や消防士、看護士・介護士や、ごみ収集作業員、その他の地方自治体職員と共に、実質賃金と生活水準低下に抗議のデモを行った。
このストは計画された一連の闘いの一環であり、英国におけるこの3年間で最大のストとなった。それはキャメロン首相(保守党)が進めようとしているスト制限のための法改定をめぐる政治的対立を促進した。
同首相は、スト要件を、スト投票での過半数の賛成(現行法)から、全組合員の過半数へと改定することを提案している。これに対してビジネス・イノベーション担当大臣のヴィンセ・ケーブル(自由民主党)は労働者の基本的権利を侵害するものだと批判し、「国会議員に選ばれるのに有権者の過半数の支持が必要とされていないのに、労働組合にそのような高いハードルを設けるべきでない」と指摘している。
同首相の広報官は、「公務員のストはどんな場合でも違法だ」というコメントを発表した。
労働党はストを支持することは拒否したが、同党の「影の内閣」のマイケル・ダガー官房長官は、この紛争の大半の責任は政府側にあると指摘し、政府の低賃金労働者に対する高飛車な態度を批判して、「大金持ち揃いの内閣が英国で最も低賃金労働者を悪者にしている嘆かわしい光景が繰り返されている」と述べた。
組合リーダーたちは労働党がストを支持しなかったことを批判している。
UNISONのリーダーのデーブ・プレンティス氏は、「労働党は腹を決める時だ。公共サービス労働者は労働党の本来の支持者であり、労働党からのゆるぎない支持に値する筈」と述べている。
小学校教員のシェイラ・キャフリーさんは「私がストに参加したのは、政府がいつもゴールポストを動かしているからだ。子どもの教育よりもマークシートに記入することが全てになっている。子どものために全力を尽くすよりも、自分のために、自分が隣の教室の教師よりも優秀であると証明することが大事なのだ」と述べている。
フランシス・モード官房長官は、公務員賃金の抑制は英国の債務支払いに必要であり、最も低賃金の労働者には保護措置があると主張する。
彼は公務員ストへの国民の支持は低下していると述べ、保護者や知事がボランティア教員を送り込みストを封じることができるように法律を変えることもありえると示唆した。
オンライン紙「ユニオンニューズ」によると、7月10日の公務員ストは広範な人々によって支持されている。
同紙の世論調査によると、回答者の59%が政府による公務員賃金への攻撃は不当だと考えており、2010年の選挙で保守党に投票した人たちの間でも52%が賃上げを支持している。
公共サービスをめぐる議論について、労働組合を信頼するという回答が52%で、メディア(25%)、政府(23%)を大幅に上回っている。18~34歳の年齢層では64%が労働組合を信頼すると答えている。
2010年の選挙で自由民主党に投票した人の80%、労働党に投票した人の84%がストを支持しており、18~34歳の年齢層では80%、55~64歳の年齢層では76%が今回のストを支持している。
労働を 生活を 社会を変える
『労働情報 892号』(2014.8.1)
http://www.rodojoho.org/asia892.html#2
★ 英国:公務員攻撃に抗し全国でスト、数十万人がデモ
7月10日、教員、消防士、自治体職員など約100万人以上の公務員労働者がストに入った。
同日のBBCによると、全国で6千校が休校になり、多くの美術館や博物館が休館になった。ダービーではごみ収集が止まった。いくつかの空港では、国境管理に関わる職員のストに伴う発着陸の遅れがアナウンスされた。
ロンドンでは、公務員の6つの組合が呼びかけたデモに数千人の労働者が雨の中を参加。トラファルガー広場での集会に合流した。「公正な賃金を」、「リビングウェイジ(生活賃金)」などのスローガンが唱和された。
労働者たちは、「経済の回復が伝えられているがそれが労働者の所得に還元されていない、また、この4年間に賃金凍結と賃上げの上限の設定(1%)のために所得が4千ポンド減った」と指摘している。
同日付の「ガーディアン」は次のように報じている。
木曜日(7月10日)、イングランドとウェールズの全域で数十万人が集会、ピケット、デモに参加。学校職員や消防士、看護士・介護士や、ごみ収集作業員、その他の地方自治体職員と共に、実質賃金と生活水準低下に抗議のデモを行った。
このストは計画された一連の闘いの一環であり、英国におけるこの3年間で最大のストとなった。それはキャメロン首相(保守党)が進めようとしているスト制限のための法改定をめぐる政治的対立を促進した。
同首相は、スト要件を、スト投票での過半数の賛成(現行法)から、全組合員の過半数へと改定することを提案している。これに対してビジネス・イノベーション担当大臣のヴィンセ・ケーブル(自由民主党)は労働者の基本的権利を侵害するものだと批判し、「国会議員に選ばれるのに有権者の過半数の支持が必要とされていないのに、労働組合にそのような高いハードルを設けるべきでない」と指摘している。
同首相の広報官は、「公務員のストはどんな場合でも違法だ」というコメントを発表した。
労働党はストを支持することは拒否したが、同党の「影の内閣」のマイケル・ダガー官房長官は、この紛争の大半の責任は政府側にあると指摘し、政府の低賃金労働者に対する高飛車な態度を批判して、「大金持ち揃いの内閣が英国で最も低賃金労働者を悪者にしている嘆かわしい光景が繰り返されている」と述べた。
組合リーダーたちは労働党がストを支持しなかったことを批判している。
UNISONのリーダーのデーブ・プレンティス氏は、「労働党は腹を決める時だ。公共サービス労働者は労働党の本来の支持者であり、労働党からのゆるぎない支持に値する筈」と述べている。
小学校教員のシェイラ・キャフリーさんは「私がストに参加したのは、政府がいつもゴールポストを動かしているからだ。子どもの教育よりもマークシートに記入することが全てになっている。子どものために全力を尽くすよりも、自分のために、自分が隣の教室の教師よりも優秀であると証明することが大事なのだ」と述べている。
フランシス・モード官房長官は、公務員賃金の抑制は英国の債務支払いに必要であり、最も低賃金の労働者には保護措置があると主張する。
彼は公務員ストへの国民の支持は低下していると述べ、保護者や知事がボランティア教員を送り込みストを封じることができるように法律を変えることもありえると示唆した。
オンライン紙「ユニオンニューズ」によると、7月10日の公務員ストは広範な人々によって支持されている。
同紙の世論調査によると、回答者の59%が政府による公務員賃金への攻撃は不当だと考えており、2010年の選挙で保守党に投票した人たちの間でも52%が賃上げを支持している。
公共サービスをめぐる議論について、労働組合を信頼するという回答が52%で、メディア(25%)、政府(23%)を大幅に上回っている。18~34歳の年齢層では64%が労働組合を信頼すると答えている。
2010年の選挙で自由民主党に投票した人の80%、労働党に投票した人の84%がストを支持しており、18~34歳の年齢層では80%、55~64歳の年齢層では76%が今回のストを支持している。
労働を 生活を 社会を変える
『労働情報 892号』(2014.8.1)
http://www.rodojoho.org/asia892.html#2
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