◆ 個人情報保護条例を活かす会(神奈川) 資料
1 県下の全ての県立学校の生徒(12万人分)の個人情報が県教委の管理下に
セキュリティ対策の名目で、県立学校生徒のあらゆる個人情報が県教委の管理する暗号化サーバに一元管理されている(学校での保存が許されていない)。具体的な事例を挙げれば以下のような情報である。要するに入学から卒業までの個人が特定できるあらゆる個人情報である。
○入学者選抜関連データ
(入学者選抜選考基準データ 調査書データ 合否判定会議資料)
○転編入学試験関連データ
○成績処理支援システム関連データ
○生徒在籍管理等データ
○成績評価基準関連データ(観点別評価と 評定データ等)
○成績会議・卒業判定会議等データ
○定期試験等結果素点
○大学合否一覧表等データ
○生活指導関連データ(特別指導記録、事故報告書等)
○健康診断等記録
〇要配慮生徒関連データ
○部員名簿
○図書貸し出し記録
これは神奈川にとどまらず全都道府県で進められていることである(2016年8月5日付けで、文科省は各自治体に一元管理するよう緊急提言を出している)。県教委のこれに対する姿勢を何点か紹介する。
・県教委は情報を収集・利用する主体ではないから(収集・利用するのは各学校だという理屈)、生徒・保護者や、神奈川県個人情報保護審議会に同意を求める必要はない。
・各学校の校長は教育課程の編成権があるが、デジタル情報になったらそれとは関係なく「神奈川県教育委員会情報セキュリティ対策基準(要綱)」に従うことになっている。
・県教委の担当者(総務室)は生徒情報を知りうる立場にあるが、上記「対策基準要綱」により業務外の目的での利用は禁止されている。など
そこで、上記の「対策基準要綱」の公開を請求したところ「全面非公開」との返事が返ってきた。
現在、神奈川県情報公開審査会へ公開を求めて行政不服審査請求をしているところである。
どの段階で、情報が廃棄されるのかも明確ではない上、「戦争できる国」に向けた動きが加速している今日、国を挙げての情報の行政権力への一極集中化は、共通番号制度(マイナンバー制度)の動きとも併せて要注意である。
2 「起立・斉唱しない自由」の告知を求めて県教委交渉
「起立・斉唱しない自由」の告知を求めて一昨年度、昨年度と、年に2回ずつ県教委(高校教育課)と交渉をもっている。これは、以下の文科省回答を契機に取り組みはじめたものである。
たとえば事前に伝えることを学校に於いて実施をしていくに当たって、そういったことをやっていくべきだとお考えになるのであれば、それは各学校における創意工夫の1つだと考える。(以下省略 2015年8月21日 参議院議員会館にて)
今年2月の交渉においては、元学校教育担当部長が2008年、訴訟の場で発言した、
同部長は「場面による」とも答弁しているので、どのような場面がダメと県教委が考えているか質したところ「式前の出席者への告知」ということであった。極めて問題ある回答だが、時間がなくこれ以上議論ができなかった。ただ、少なくとも通常の授業やホームルーム・予行等で「自由がある」ことを伝えることは問題ないということになるので、現場での取組を働きかけていきたい。
また、国旗国歌法制定時の1999年7月21日の第145回国会 内閣委員会文教委員会連合審査会における野中内閣官房長官の以下の発言についても改めて県教委と確認した。
「学校現場におきます内心の自由というものが言われましたように、人それぞれの考え方があるわけでございまして、また、この調査におきましても、それが出たことであろうと思うわけでございます。
それぞれ、人によって、式典等においてこれを、起立する自由もあれば、また起立しない自由もあろうと思うわけでございますし、また、斉唱する自由もあれば斉唱しない自由もあろうかと思うわけでございまして、この法制化はそれを画一的にしようというわけではございません」
3 国連・自由権規約委員会勧告の学校現場への周知と実現にむけたとりくみ
2014年7月の、国連・自由権規約委員会の勧告22は
この勧告を含む国連・自由権規約委員会勧告について、外務省はその年10月に各都道府県担当部署に勧告文の和訳とともに、それを「広く周知」するよう鏡を付けて送付した。しかし、実態は担当部署で保管するだけで、私たちの交渉相手である高校教育課には全く知らされていなかった。
今年2月の高校教育課との交渉の場には、教育委員会で人権を担当する行政課もまじえて話し合いをもった。学校現場に勧告を下ろすことについて、行政課は頑なに拒否した。拒否理由でよく出てきた言葉が、生徒は理解できないというたぐいのものである。高校生にもなれば、自由権規約委員会の勧告ぐらい読めるし、それについて考えることもできる。高校生が投票権を持つ時代である。きちんと人権の国際標準を知らせることは重要なことである。行政課との初めての話し合いにおいては、「学校現場の管理職とか人権担当者に対して、研修の場で勧告を紹介することはできる」という回答を引き出すのが精いっぱいであった、今後、それが実行されているかを含めて、勧告の実現を求めて粘り強く交渉したい。
なお、国連の自由権規約委員会へは次の勧告に向けて、日本政府に対し、なぜ勧告22を実現しようとしていないのか、学校現場・生徒に勧告22を知らせる努力をしているか否かを質すよう、NGOとして要請した。
2017.7.23
1 県下の全ての県立学校の生徒(12万人分)の個人情報が県教委の管理下に
セキュリティ対策の名目で、県立学校生徒のあらゆる個人情報が県教委の管理する暗号化サーバに一元管理されている(学校での保存が許されていない)。具体的な事例を挙げれば以下のような情報である。要するに入学から卒業までの個人が特定できるあらゆる個人情報である。
○入学者選抜関連データ
(入学者選抜選考基準データ 調査書データ 合否判定会議資料)
○転編入学試験関連データ
○成績処理支援システム関連データ
○生徒在籍管理等データ
○成績評価基準関連データ(観点別評価と 評定データ等)
○成績会議・卒業判定会議等データ
○定期試験等結果素点
○大学合否一覧表等データ
○生活指導関連データ(特別指導記録、事故報告書等)
○健康診断等記録
〇要配慮生徒関連データ
○部員名簿
○図書貸し出し記録
これは神奈川にとどまらず全都道府県で進められていることである(2016年8月5日付けで、文科省は各自治体に一元管理するよう緊急提言を出している)。県教委のこれに対する姿勢を何点か紹介する。
・県教委は情報を収集・利用する主体ではないから(収集・利用するのは各学校だという理屈)、生徒・保護者や、神奈川県個人情報保護審議会に同意を求める必要はない。
・各学校の校長は教育課程の編成権があるが、デジタル情報になったらそれとは関係なく「神奈川県教育委員会情報セキュリティ対策基準(要綱)」に従うことになっている。
・県教委の担当者(総務室)は生徒情報を知りうる立場にあるが、上記「対策基準要綱」により業務外の目的での利用は禁止されている。など
そこで、上記の「対策基準要綱」の公開を請求したところ「全面非公開」との返事が返ってきた。
現在、神奈川県情報公開審査会へ公開を求めて行政不服審査請求をしているところである。
どの段階で、情報が廃棄されるのかも明確ではない上、「戦争できる国」に向けた動きが加速している今日、国を挙げての情報の行政権力への一極集中化は、共通番号制度(マイナンバー制度)の動きとも併せて要注意である。
2 「起立・斉唱しない自由」の告知を求めて県教委交渉
「起立・斉唱しない自由」の告知を求めて一昨年度、昨年度と、年に2回ずつ県教委(高校教育課)と交渉をもっている。これは、以下の文科省回答を契機に取り組みはじめたものである。
たとえば事前に伝えることを学校に於いて実施をしていくに当たって、そういったことをやっていくべきだとお考えになるのであれば、それは各学校における創意工夫の1つだと考える。(以下省略 2015年8月21日 参議院議員会館にて)
今年2月の交渉においては、元学校教育担当部長が2008年、訴訟の場で発言した、
①起立を生徒に強制することはないという答弁が現在も生きているとの確認をした。
②起立するもしないも自由だと説明することについて「そういうことがあってもよいかなとは思います」
同部長は「場面による」とも答弁しているので、どのような場面がダメと県教委が考えているか質したところ「式前の出席者への告知」ということであった。極めて問題ある回答だが、時間がなくこれ以上議論ができなかった。ただ、少なくとも通常の授業やホームルーム・予行等で「自由がある」ことを伝えることは問題ないということになるので、現場での取組を働きかけていきたい。
また、国旗国歌法制定時の1999年7月21日の第145回国会 内閣委員会文教委員会連合審査会における野中内閣官房長官の以下の発言についても改めて県教委と確認した。
「学校現場におきます内心の自由というものが言われましたように、人それぞれの考え方があるわけでございまして、また、この調査におきましても、それが出たことであろうと思うわけでございます。
それぞれ、人によって、式典等においてこれを、起立する自由もあれば、また起立しない自由もあろうと思うわけでございますし、また、斉唱する自由もあれば斉唱しない自由もあろうかと思うわけでございまして、この法制化はそれを画一的にしようというわけではございません」
3 国連・自由権規約委員会勧告の学校現場への周知と実現にむけたとりくみ
2014年7月の、国連・自由権規約委員会の勧告22は
委員会は,前回の最終見解(CCPR/C/JPN/CO/5, para. 10)を想起し,締約国に対し,第18条及び第19条の各第3項に規定された厳格な要件を満たさない限り,思想,良心及び宗教の自由あるいは表現の自由に対する権利への如何なる制限を課すことを差し控えることを促す。と述べて、はじめて「思想,良心及び宗教の自由」について言及した。
この勧告を含む国連・自由権規約委員会勧告について、外務省はその年10月に各都道府県担当部署に勧告文の和訳とともに、それを「広く周知」するよう鏡を付けて送付した。しかし、実態は担当部署で保管するだけで、私たちの交渉相手である高校教育課には全く知らされていなかった。
今年2月の高校教育課との交渉の場には、教育委員会で人権を担当する行政課もまじえて話し合いをもった。学校現場に勧告を下ろすことについて、行政課は頑なに拒否した。拒否理由でよく出てきた言葉が、生徒は理解できないというたぐいのものである。高校生にもなれば、自由権規約委員会の勧告ぐらい読めるし、それについて考えることもできる。高校生が投票権を持つ時代である。きちんと人権の国際標準を知らせることは重要なことである。行政課との初めての話し合いにおいては、「学校現場の管理職とか人権担当者に対して、研修の場で勧告を紹介することはできる」という回答を引き出すのが精いっぱいであった、今後、それが実行されているかを含めて、勧告の実現を求めて粘り強く交渉したい。
なお、国連の自由権規約委員会へは次の勧告に向けて、日本政府に対し、なぜ勧告22を実現しようとしていないのか、学校現場・生徒に勧告22を知らせる努力をしているか否かを質すよう、NGOとして要請した。
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