★ 処分発令抗議・該当者激励四者総決起集会 3月31日(月)
13:30 全水道会館5F中会議室(JR水道橋駅東口・都営三田線水道橋)
◆ 都立高校は今
3月10日、朝の打ち合わせで校長が「今日は東京大空襲70年で、明日は東日本大震災の日だから半旗を掲揚します。」と言った。「大空襲・大震災」と「日の丸」、直接つながるはずのないものを「だから」という言葉でつなげる乱暴さにまず驚いた(校長の教科は日本史です)。
昨年まではこんなことはなかったはずだと思って調べてみたら、恐ろしいことがわかった。なんと、3月10日については、生活文化局文化振興部長→総務部長→教育庁都立学校教育部長→都立学校長という流れ、3月11日については、閣議了解→内閣官房長官→文科省→各都道府県教育委員会→教育庁総務部→都立学校長という流れで、半旗の掲揚・黙祷が指示されたのだった。
もちろん、昨年までこんなことはなかった。この出来事に象徴されるように、今年度都立高校で起こったとんでもないことは、東京都を飛び越えて国が発信源になっている場合があり、学校現場に押し寄せてくる「戦争をする国」へと向かうこの危ない動きはとても危険だ。
9月24日には、「教育課程の適正な実施及び管理について」という通知が高指課長名で出された。授業で扱う新聞記事について、
公正中立の立場を保つため充分配慮すること、
政治教育について、適切な政治的教養を培うよう特に慎重に行うこと、
使用教材は教科主任又は教務主任に提出し、管理職は使用教材のチェックをすること、
定期考査の問題について、生徒が公正かつ客観的な見方や考え方を表現できる問題にすること、
といった内容で、要するに政府の政策に批判的な内容を授業やテストで扱ってはいけないという通知だ。
10月10日には、「学校における補助教材の適正な取り扱いについて」という通知が教育長名で出された。公立中学の社会科の授業で不適切な内容の教材が使われていたということで、今後補助教材の使用について、校長の責任で適切に取り扱うことを徹底するようにという内容だ。
さらに10月には「校内人事の決定及び職員会議の運営に関わる聞き取り調査」が行われた。大阪で起こったことに端を発した文科省による全国調査だが、9月締切で文科省の調査は終了したのに、都教委だけは10月になって全都立高校に2名の職員を派遣し、教職員に直接面談で聞き取り調査を行った。全く異常という他ない調査だ。
11月には、沖縄に修学旅行に行くことになっている学校に、都教委から電話で、朝日新聞社が発行した「知る沖縄戦」という学習資料を修学旅行の事前学習に使用しているかどうかの調査が入った。衆院文部科学委員会で義家前議員と田沼前議員が不適切と指摘したことが発端なのだが、こうした発言に教育委員会が過剰に反応する状況は恐ろしい。
これほどに教育内容への妨害、介入が続いては、現場の教員は萎縮せざるを得ないだろう。
今年2月に、いきなり新教科「人間と社会(仮称)」を来年度から全都立高校で試行するということが発表された。小中での道徳の教科化に足並みをそろえたのだろうが、こんな時期の決定に学校現場は混乱を極めている。職場では、そのうち教育勅語を暗唱させられるようになるだろうと冗談を言い合っているが、これが冗談ですまなくなる日が来ることを私は危惧している。
こんな状況の中で私たちの闘いはますます重要性を増している。
2月14日に行われた「卒業式直前総決起集会」では、現場の教員からの生々しい話を聞くことが出来た。一番印象に残ったのは、生徒が答辞に土曜授業が入学後突然導入されたことへの批判を書いていたのを、校長が削除させたというある学校の話だ。
1月に行った沖縄修学旅行で、元ひめゆり学徒の方や沖縄平和ネットワークの方が繰り返し言っていたのは、「真実を見極めてほしい。情報を鵜呑みにしないで、自分の頭で考えて自分の考えを持ってほしい。」ということだった。それが平和を守るために一番重要なことなのだ。しかし、今の都立高校で、真実を見極める力や批判力を身に付けさせることは出来るのだろうか。
評論家・吉武輝子の女学校の教員は戦後彼女に「批判のない真面目さは悪をなします。」と語ったそうだ。最近の若い教員はとても真面目で優秀だ。その真面目さが悪をなさないよう、そして私たち自身も悪をなさないよう目を光らせる(?)ことは、現場で働いているものの使命だと思う。
『被処分者の会通信 第98号』(2015/3/17)
13:30 全水道会館5F中会議室(JR水道橋駅東口・都営三田線水道橋)
◆ 都立高校は今
3月10日、朝の打ち合わせで校長が「今日は東京大空襲70年で、明日は東日本大震災の日だから半旗を掲揚します。」と言った。「大空襲・大震災」と「日の丸」、直接つながるはずのないものを「だから」という言葉でつなげる乱暴さにまず驚いた(校長の教科は日本史です)。
昨年まではこんなことはなかったはずだと思って調べてみたら、恐ろしいことがわかった。なんと、3月10日については、生活文化局文化振興部長→総務部長→教育庁都立学校教育部長→都立学校長という流れ、3月11日については、閣議了解→内閣官房長官→文科省→各都道府県教育委員会→教育庁総務部→都立学校長という流れで、半旗の掲揚・黙祷が指示されたのだった。
もちろん、昨年までこんなことはなかった。この出来事に象徴されるように、今年度都立高校で起こったとんでもないことは、東京都を飛び越えて国が発信源になっている場合があり、学校現場に押し寄せてくる「戦争をする国」へと向かうこの危ない動きはとても危険だ。
9月24日には、「教育課程の適正な実施及び管理について」という通知が高指課長名で出された。授業で扱う新聞記事について、
公正中立の立場を保つため充分配慮すること、
政治教育について、適切な政治的教養を培うよう特に慎重に行うこと、
使用教材は教科主任又は教務主任に提出し、管理職は使用教材のチェックをすること、
定期考査の問題について、生徒が公正かつ客観的な見方や考え方を表現できる問題にすること、
といった内容で、要するに政府の政策に批判的な内容を授業やテストで扱ってはいけないという通知だ。
10月10日には、「学校における補助教材の適正な取り扱いについて」という通知が教育長名で出された。公立中学の社会科の授業で不適切な内容の教材が使われていたということで、今後補助教材の使用について、校長の責任で適切に取り扱うことを徹底するようにという内容だ。
さらに10月には「校内人事の決定及び職員会議の運営に関わる聞き取り調査」が行われた。大阪で起こったことに端を発した文科省による全国調査だが、9月締切で文科省の調査は終了したのに、都教委だけは10月になって全都立高校に2名の職員を派遣し、教職員に直接面談で聞き取り調査を行った。全く異常という他ない調査だ。
11月には、沖縄に修学旅行に行くことになっている学校に、都教委から電話で、朝日新聞社が発行した「知る沖縄戦」という学習資料を修学旅行の事前学習に使用しているかどうかの調査が入った。衆院文部科学委員会で義家前議員と田沼前議員が不適切と指摘したことが発端なのだが、こうした発言に教育委員会が過剰に反応する状況は恐ろしい。
これほどに教育内容への妨害、介入が続いては、現場の教員は萎縮せざるを得ないだろう。
今年2月に、いきなり新教科「人間と社会(仮称)」を来年度から全都立高校で試行するということが発表された。小中での道徳の教科化に足並みをそろえたのだろうが、こんな時期の決定に学校現場は混乱を極めている。職場では、そのうち教育勅語を暗唱させられるようになるだろうと冗談を言い合っているが、これが冗談ですまなくなる日が来ることを私は危惧している。
こんな状況の中で私たちの闘いはますます重要性を増している。
2月14日に行われた「卒業式直前総決起集会」では、現場の教員からの生々しい話を聞くことが出来た。一番印象に残ったのは、生徒が答辞に土曜授業が入学後突然導入されたことへの批判を書いていたのを、校長が削除させたというある学校の話だ。
1月に行った沖縄修学旅行で、元ひめゆり学徒の方や沖縄平和ネットワークの方が繰り返し言っていたのは、「真実を見極めてほしい。情報を鵜呑みにしないで、自分の頭で考えて自分の考えを持ってほしい。」ということだった。それが平和を守るために一番重要なことなのだ。しかし、今の都立高校で、真実を見極める力や批判力を身に付けさせることは出来るのだろうか。
評論家・吉武輝子の女学校の教員は戦後彼女に「批判のない真面目さは悪をなします。」と語ったそうだ。最近の若い教員はとても真面目で優秀だ。その真面目さが悪をなさないよう、そして私たち自身も悪をなさないよう目を光らせる(?)ことは、現場で働いているものの使命だと思う。
川村佐和
『被処分者の会通信 第98号』(2015/3/17)
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